けんか. 6
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「くくく、親父受けする女と、ロリ受けする女がまた、魔法を覚えに来たのか!魅力が5割増しになって、クリスマスまでには、パパ活し放題だなー!」
「………」
扉がいつものようにおかしなことをしゃべっている。壊しちゃお♪
私がにこにこしながら拳を振り上げると、サーナちゃんが私の腕にぶら下がってだっこちゃん。
「だ、だめですよ、マキちゃん!壊しちゃだめです!」
「……まぁ。サーナちゃんに免じて」
ホントに優しい子。あまりに良い子だから頭をなでなでしてあげると、嬉しそうにする。
「えへへ」
「にゃん」
はいはい。あんずもなでなで。しかし、トトちゃんはどうして口が悪いのか。現実世界にこんな奴がいたら、パワハラとか言われそうだ。
「ありがとうよ、サーナ。お前のそのポイント稼ぎ的なやり方は嫌いじゃないぜ?」
「ふふ。壊しちゃおっか♪」
サーナちゃんが、その辺の草を伸ばしてトトちゃんの顔のある部分をペシペシする。
「さ、サーナちゃん、落ち着いて」
思わず声をかけるとにっこりと笑って見てくる。
「教会でもたまにいるんだ、こう言う人を馬鹿にしてくる人。雑草でぐるぐる巻きにしたら謝ってくれたけど、カナリア先生に叱られちゃった」
う、うーん。サーナちゃんを怒らせては行けないね。
でも、言うべきことは言わないと。
「ふひ~。俺様が悪かったよ~」
「分かれば良し」
サーナちゃんもすぐに魔法を解く。
「サーナちゃん、えと……」
「魔法をそう言うことに使うのは駄目だよ」
「……でも、マキちゃんも今、拳を振るおうとしたよね?」
サーナちゃんはどこか納得しないようにこちらを見てくる。
頬を膨らませているのもかわいい。いや、そうじゃなくて。
「私は、途中で止めようとしたよ」
「私が、止めなきゃトトちゃんを叩いていたもん!」
「……お、おい、俺様の前で喧嘩は止めろよ?」
「殴ってないよ。扉だから叩いていたけど」
「そう言うくだらないこと言わないでくれるかな!?」
「あ、おい!危ないぞ!」
サーナちゃんは、あかんべーをすると走って行ってしまった。
すぐに人混みに紛れて見えなくなる。
なによ。私が悪いの。ムスッとしたまま立ち尽くしている。
そして、ちらりと屋根の上を見ると猫が任せとけと、二三度瞬きすると駆け出して行く
「あ、マキさん、いらっしゃい!」
外は賑やかだけど、ここは静かでゆったりした時間か流れている。
「……どうかしましたの?ありがとうございました!」
冒険者らしき、買い物客に礼を言ってマナはこちらにイスを進める。
「……これ」
依頼料を渡してイスに座ると、今起きたことを話す。
「……まあ、喧嘩なんて珍しいですの」
紅茶を淹れて私の前に置いてくれる。良い匂いだ。
一口飲むと、だんだんと落ち着いて来る。あ~、やっちゃった~!
「小さい子相手になにを怒ってるんだ私は~」
「そうですの。サーナちゃんはしっかりしてるけど、まだ子供ですの。手分けして探しましょう」
「ありがとう、マナ」
「ふふ。いいですの。私がフラれた時に一緒にいてくれましたの」
立ち上がるマナは手早くコートを羽織る。そして、箒を手に取る。
「ん?箒?」
「私は、魔女ですよ?」
マナはにっこり微笑むと、扉を開けるとトトちゃんのお口にチャック。
「もがもか」
「お口が悪い人の罰ですの」
「私は、空から探しますの、マキちゃんは心当たりのある場所を地上から」
「ええ、分かったよ」
いつも、ほわほわしてる感じだけど頼りになるね。
二手に別れようとして邪魔が入る。あの男だ。マナの元カレ。領主代理の息子。名前なんだっけ?ムスノコタロウだっけ?息子だけに。
「マナ。今、いいか?」
「!!」
マナの表情が強張る。私が庇おうとしてマナがそれを押し止める。
「……マナ」
「大丈夫ですの。なにかご用ですか、まーく……マスィータ様」
「おいおい。随分と他人口調だな、マナ。いつもみたいにまーくんと呼んでくれよ」
なに、こいつー。まーくんて呼ばれてんの?噴き出しそうなのを堪える。
「あなたとは、お別れしましたので」
「もう一度、やり直せないか?お前が忘れられないんだ」
へらへらして、マナの目を見ないで胸ばかり見てる。キレないように深呼吸を繰り返す。お前って言うな。中身スカスカのマッチョが。
「ごめんなさい。私には今、大切な用事がありますの」
丁重にお断りをする。しかし、そんなので納得しないようだ。しろよ。
「お前、領主代理の息子のお願いを断るのか?この店がどうなっても……」
「あー、うるさいな、マスオ」
思わず割って入る。カッとなって私を睨みつけて来る。
「誰が、マスオだ!」
周りの通行人に見られても気にしないのかこの人。私は目立ちたくない。
「もう、フラれたのあなたは。他の恋人たちのとこに行きなさい」
「この!」
「待って!」
マナが私を庇いキッとマスオを見ると怯んだかのように立ち止まる。
「私は、この街に来て、みぎもひだりも分からなくて、あなたに優しい言葉をかけてもらえて嬉しかったですの」
「だったら、やり直そう?な?」
「ごめんなさい。私はあなたへの想いは覚めました」
ぺこりと頭を下げる。屈辱と思ったのかマスオは捨て台詞を吐いて行こうとして、魔法屋の扉がいきなり開くとマスオが激突して、また扉が閉じる。トトちゃんだな。ナイス。
「お、おほえへいほよ!」
鼻を押さえながらなにかを言ってるけど分かりませんよ。
そのまま、通行人を掻き分けて行ってしまったよ。さようなら。
私は、心の中であかんべーをしてやる。もう、来ないでね。
つづく
この後、マスィータは騒ぎを起こしたから、父親にかんかんに説教されたんだよ




