けんか.5
「はい、確かに!あざーす!」
エレンさんに報酬を渡すついでに、制服とかみんなの洋服の合成をお願いする。
ややこしいのは、防具はガレフモキアさんのとこで、洋服はエレンさんのとこ。方法は企業秘密とのことだよ。みんな秘密を持っているからね。今、着ているのはこちらの世界の服。動きやすいようにスカートじゃなくてパンツです。下着の方じゃないよ。ズボンの方のパンツだから。
サーナちゃんはピンクのワンピース。私はリア充と違って服の名前に疎い。琴美に連れられて服を買いには行くけれどね。
「さてさて。ひんむく楽しみは取っといてあの地下迷宮で手に入った鉱石で合成するんだね?」
「にゃん」
何故か、あんずが答える。猫耳としっぽも合成してもらえるみたい。
アダマン鉱石と、銀色鉱石を渡す。今回は、金色鉱石はないけどいっか。
「そだ。クリスマスはどうすんの?誰かにひんむかれる?」
「ひんむかれません。猫カフェの手伝いかもですね。もしくは、依頼とか」
花のJkなのに少し寂しすぎるよね。去年は、琴美と弟とクラスの女子たちと遊んだっけ。
「あ、うちでパーティーするんだよ」
宿屋のことだろうか。
「そーなの?」
「うん。リーンちゃんも来るんだよ。ここんとこ忙しくて言ってなかったよ、ごめんね」
いいよ。サーナちゃんかわいいから。て、謝ることでもないしね
「ま、それなら準備を手伝うよ」
「えへへ、ありがとう。でも、猫カフェもあるから無理しないでね」
「うん。そうだね。ありがと」
「う~ん。そっか。それは残念」
「エレンさん、なにかあるの?」
「いや~、広場で出張店舗でも出そうかなと……」
「そうなんだ。ごめんね」
「いいって、いいって」
自分の胸の前で両手を振ると笑顔になる。
クリスマス期間は、市場が沢山立ち並び、魔法のイルミネーションが煌めくらしい。
そう言うのは、どこの世界も一緒だよね。
その後で、ガレフモキアさんのとこに行くと、何時ものように興奮された。
「……これは、この世界では希に見る鉱石。わしの親父は頑固頭じゃったが、その頭より固いぞ!」
まあ、そうでしょうね。それより、落ち着いて欲しいんだけどね。
「いいじゃろう、いいじゃろう!最高の武器と防具にしてやるわ!」
「は、はあ、お願いします」
「おじいちゃん、相変わらずだね」
「ふん。サーナは相変わらずかわいいの」
そうしておやつのドーナツみたいのを私たちにくれる。
「わーい!ありがとう!」
「ありがとう……おいし」
甘くて、ふわふわのドーナツ。よく、琴美と駅前のチェーン店に行ったっけ。
「あなたが、作ったの?」
「まさか。わしのかみさんじゃ」
「そっか。今はいないの?」
「まあの。仕事じゃ」
大通りの広場でお店を出してるとのこと。沢山のお店があるからね。
「おじいちゃん、クリスマスにはパーティーやるから来てね!」
「おお、おお、行くからの!さて、楽しみの鍛冶の時間じゃ!」
わくわくしているガレフモキアに苦笑しつつ、あそこまで情熱を注ぐことが出来るのは羨ましいなと思う。
前は、無関心だったから余計に今はそう思う。道場の稽古もそれなりに真剣だったけど、寂しさをまぎらわすためでもあったから。
「サーナちゃん、何時も元気だね!」
「サーナちゃん、これ持ってきな!」
「ありがとうございます!」
「サーナちゃん、か、か、かわいいね!ハァ…ハァ…」
「ありがとうございます?」
サーナちゃんに声をかけるいつもの面々。たまに鼻息が荒い人がいるのもいつものことか。いつもの人だし。よくよく、回りの人から聞いてみれば、その人は、ものすごい人見知りで鼻が悪いのだとか。紛らわしい。けど、悪いことしたかな。変態扱いして。
「あ、マキさん、サーナちゃん!」
うんしょ、うんしょと重たい荷物を持っているのは、かりんと足元にハリィ。
「にゃん!」
「ハリリ!」
うんを仲良くじゃれあって楽しそう。ほっこりするよ。
「こんにちわ、かりんちゃん、ハリィ!」
「丁度よかった。これわたしたかったんだ」
アイテム袋から取り出したのは、分割した依頼料。
分割しても相手は、レアな亀さんなので金貨がいっぱい。
「あ、いえ。私はいいです」
途端に顔を曇らせる。どしたの?
「え、なんで?」
「そうだよ?みんな大好きなお金だよ?」
あまり、サーナちゃんからそのような言葉は聞きたくないな。
「私は、あまり役に立てなかったから」
「それでも、一緒に依頼を受けたんだし。生活も大変なんだし、遠慮しない」
「あ、うう…」
「そんなに、気にするなら強くなって下さい。そして、私たちが困った時に助けて」
「………じゃあ、いただきます」
おずおずと金貨の袋を受け取る。
「あと、クリスマスはうちでパーティーするから来てね!」
「うん。行けたら行きたいけど、お店があるから」
「そっか。その荷物重たそうだから手伝うよ」
「いいです、いいです……あれ?」
遠慮していたかりんがなにかに気づく。屋根の上を見ているのでそちらに目をやるとフクロウ?
「あれ?あのフクロウって……」
「フクちゃん?」
それは、リーンのペットだ。
「にゃん」
「ハリィ?」
あんずとハリィが呼びかけると、無言でどこかへ羽ばたいて行ってしまった。
「あの子、フリーダムなの?」
「さあ。もしかしたら、逃げ出しちゃった?」
あわあわしてるサーナちゃん。しかし、さっき見たリーンちゃんは普通だったけどね。
「……お願いね」
いつものようについて来ていた猫たちに頼むと、その意図を察したのか、野良猫たちは去っていく。
猫使いとしてのレベルざ上がった実感があるので、あれから猫たちと意志疎通が出来るようになっている。
つづく
マキは、この街の全ての野良猫を救いたいと思いながらも、無責任に飼うわけにも行かなくて、切ないんだよ




