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けんか.2

とある貴族の視点


なんだと言うのだ。なぜ、ことごとく私の作戦が失敗すると言うのだ。

貴族だぞ?この完璧な貴族である私が作戦ミス……することはあるものの、たまにない。

しかし、わざわざ魔界から密輸したアダマンクラッシャーを倒されるとはな。


昨日のメイドは、自ら動いて愛してくれる素晴らしいメイドだったと言うのに、朝になって暗殺者の報告を受けて気分がイラつくものだ。



「貴様たちは、なにをしているのだ!たかだか、子供一人に!」

すると、部屋の隅の影からなにかが盛り上がるそれは、人間とは思えぬ肌の悪さと頭に生えた角。魔族だった。

「……分かっているが、図に乗るなよ?貴様たち下等種族が魔族を馬鹿にするのは許せぬ」

魔族の放った威圧で、コテンと腰を抜かす私は尚更ムカついた。

地の底に閉じ込められた分際で、貴族である選ばれた私を威圧するなどと。

「まあ、落ち着け、シストリス」

「カタトルフィスか」

シストリスの仲間か。そいつがこちらを見る。な、なんだ。不気味な奴め。影からいちいち出てくるなというに。

なにかされるかと思い、衛兵を呼べるようにしておく。

いや、衛兵なのではどうにもならんのも分かっている。暗殺者共は控えてはいるがな。

「カタトルフィスと言ったか?私の断りもなくこの屋敷に入るなど無礼だぞ!」

「これは、失礼した」

さもおかしそうに一礼する。馬鹿にしておるな。いるんだ、こう言う奴が。雰囲気でこちらを馬鹿にしてるのは分かっているのに、「馬鹿にしてるだろう?」そう問えば馬鹿にしてないと言い放つ。

まあいい。私は登り詰めたからな。そう言う馬鹿にしていた奴等は蹴落として来たからいいがな。



「……で、なんの用か?」

「話しは聞いている陛下。その邪魔な子供や冒険者だったか?」

「ああ……こら、そいつらにまで茶など淹れるな。それとまだ陛下ではない。滅多なことを申すな」

私の注意にいつものようにしれっとした顔をして一礼して下がる執事。

それを見て訝しく思うものの魔族の二人はなにも言わない。

魔族の驚異種や狂暴種ともなれば、その姿を見ただけで気が狂っておかしくなるのだけど、あやつは普通のままだ。


「その子供たちをここに呼び寄せれば良いのではないか?」

「カタトルフィス。あの子供たちの存在が知れたら、その地の貴族。レイナード伯爵に匿われてしまうかもしれん」

「もうすぐ、血祭りなのだろう?」

「物騒なかとを言うな」

「ぷふっ!」

執事が吹き出したので、みんなの視線がそちらに向くと執事は、冷静に謝罪する。

「これは、失礼しました」

「おほん。それで?」

「その祭りで、どさくさ紛れに始末してしまえばよいと思うぞ」

「そうだな。この街は、路地が多いからな。魔族が潜むにはうってつけだ」

魔族二人の笑いを受けて、私はそうか。そうして見るかと思う。

「……よし。手筈を整えよう」

私は、窓際に立ってこの美しい街並みを眺める。

今は、王国の千年の誕生祭で賑わっている。これが、しばらく続き終わる頃には私の物になっているのだ。そして、私の邪魔をする冒険者は、親父受けすると言うではないか。是非、相手してもらいたいものだ。






マキの視点


次の日はだらだらしてしまった。朝からお寝坊してしまい。起きると掛け布団の中にあんずが丸まっていた。

「あんず、おはよ」

「にゃ」

あんずが眠たげに細目で短く鳴くので顎の下を撫でてやるとまた寝ちゃうかな?

昼近くにあんずと階下へ降りると、ソナタだけだった。



「あ、おはようございます」

「おはよ、ソナタ。みんなは?」

「サーナちゃんは、ドロンさんと一緒に教会へ行きましたよ」

「そっか。今日は勉強かな」

ドロンと一緒なのは、若干不安であるけど。下を見るとあんずがこむすびとすりすりして挨拶してる。ゆずやあんこは、バベルの塔もといキャットタワーで遊んでいる。

「マナさんは、お家へ帰りましたよ」

「そかそか」

魔法屋を開店してるんだ。元気出たから。

「あれ?あそこあんなのあったっけ?」

見るといつの間にか、天井に猫の通り道の板が通してある。

そこをムータが得意気に歩いている。ムータ良かったね。

私がぼけっとしている間にも、パンやスープが運ばれてくる。

これは、良い人材と出会えたのではと思う。ロナンの愛人なんてもったいないよ。私より働き者だもん。

着々と猫のカフェの準備が出来ているようだ。


「……ソナタは、イキイキしてるねー」

「そうですか?もしそうなら、マキさんのおかげですよ」

「ああ、さん付けしなくていいよ。年上でしょ?」

「そうですけど、恩人でもありますから」

おしゃべりしながらも、コロコロみたいので、カーペットの猫の毛を取っていく。

「それに、家事仕事は正に合っているみたいです。

あの人の愛人だった頃はメイドがしてくれていてあまりすることがありませんでしたから」

「今が、楽しいなら良かったよ。ま、ロナンがなにかして来たら……いや、あの鬼奥様がなにかしてきたら言ってね。なんとかしてみるから」

「はい。ありがとうございます」

うん。良い笑顔だ。さてと。

「いただきまーす」

朝食と言うよりもう昼だが、ソナタの作る料理は美味しい。

「あの」

「はーい」

「その猫耳としっぽはなんですか?」

「ふへ?」

触ってみると触り心地の良い猫耳が。お尻を触ってみるともふもふさた猫のしっぽが。

「うわわ!は、はずかし~」

昨日装備を外したはずなのにまた、いつの間にか装備されているよ!なんなの~!頭を抱えたよ。




つづく

マキの隙を突いては、猫耳としっぽがそうびされているんだよ。

猫たちはそれを見て安心するんだよ

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