けんか.1
それは、バトルが終わり地上へと戻った時のこと。
「さすが、マキだな。あの化け物を倒すだなんて」
「ホントにな!サーナちゃんの認めた女だぜ」
「ところでその猫耳なんだ?萌えるんだけど」
私は、冒険者の言葉に猫耳を外す。しっぽも。忘れてた。
大勢の冒険者に見られるとはね!穴があったら入りたいよ~!
「よく倒してくれたみんな。原因は取り除かれ、街の人達もまた普通に暮らせるよ」
ギルドマスター,エアハルトの言葉にみんなが喜びの声を上げる。
「とっとと、依頼報告して来ようぜ?」
私たちのことを気遣ったのか、ドロンは人々の目を惹き付けるためにサーナフィギュア1/2をみんなに見せる。おい。
「おお!何てすごい精巧さ!」
「スカートの中までバッチリか!」
「惜しくは、フルカラーでないことだけだ!」
冒険者たちが騒いでる隙に受付へ、体力的には高級傷薬でへーきだけど、精神的にはそうはいかないよね。早く休みたいな。グーパンはしないでおいて上げよう。
色々とフィギュアについてドロンに文句を言ってやりたいけど、疲れてるからね。
「皆さん、お疲れさま!よく無事で!」
クインさん、そんな涙ぐまなくてもね。
「国は、選ぶって税金納めろって言うだけで、地下迷宮をクリアしてくれないんだもん。
おかげで、変な震動で揺れて眠れなかったのよ」
「は、はあ」
きっと、ストレスが凄かったんだね。
早く、依頼書にスタンプ押してほしいんだけど。
「オイ、ネーチャン!こちとら疲れてんだ!スタンプ押してくれ!」
「ああ、はい。すみません私としたことが…」
自分の愚痴に苦笑しつつ、依頼書にポンとスタンプを押す。ドロン、ガラの悪い。
あれ、スタンプ押すのなんか気持ち良さそうだな。
「はい、確かに………て、倒したのアダマンクラッシャー!?」
いや、今さら!?依頼書を見直していたクインの大声にみんながざわつく。サーナちゃんをちやほやしていた人達も振り返るくらいだ。
ともかく、サーナちゃんから離れろ、ロリたち!て、違うか。よく見たら、小さい子の健闘に称えているみたい。ごめん。
「アダマンクラッシャーなんて、化け物を倒したの!?」
「そうだぜ?証拠もある」
中から素材を出して見せると冒険者たちは、拍手喝采だよ。
「凄いぞ、サーナちゃん!」
「さすがマキ!親父受けすること間違いなし!」
「さすが、天使の微笑み…ハァ…ハァ」
いや。普通に褒めてくれない?そして、報酬の金貨は、偉く重かった。人生の重さほどではない。
「おめでとう、マキさん。ランクEからDに昇格です!」
「ホントに?」
「わ~い!やったね、マキちゃん!これでもっと凄い依頼を受けて、稼げるね♪」
天使の微笑みでキュンとしつつもそんなこと言われると複雑~。
「ギルドも、俺を認めたか!」
「ふふ。嬉しいですの!」
みんな、それぞれランクアップ!私と、サーナちゃん。ドロンにマナはランクD。エレンさんたちのランクは知らないけど、かりんはランクEだよ。
「アダマンクラッシャーは、存在が、貴重で希にしか見かけない。見かけても並大抵の冒険者じゃ倒せないだろうね」
感心したようにエアハルトが説明してくれる。
盛り上がるとこ悪いけど、帰ります。空気読むより、寝床で休む。肩に乗るあんずはうとうとしてるし。
外に出ると、猫たちが待っていた。
ムータとじゃれあってるのは、再会の喜びか。
「……ふん。人間の強さを見せてもらったぞ」
「いいから行くよ、兄さん。素直に褒めればいいの!」
「あまりお役に立てなくて、すみません」
エルフの兄妹が去った後に、かりんがうつ向くのでその頭をくしゃっとしてあげるよ。
「きゃっ!?もう、なにするんですか~」
「ハリィを助けられただけで良かったじゃない、ね?落ち込む暇あったら、今日はハリィと一緒に美味しいご飯食べて寝なさいよ」
「ハリィ!」
「うん、そうする。ありがとう、マキさん」
ハリィを抱えてぺこり。手を振って私たちは宿屋へと戻る。
説明はコッセルたちに任せよう。ごめんね。報酬は後日分けることにしたよ。信用はしてもらえてるのかな?
「おお……おお」
宿屋に帰ると、おじさんが出迎えてくれた。食い気味で。
「よくぞ……よくぞ……その制服で活躍してくれた!その制服の評判は広がり……」
うるさいやい。
「はは。おじさん、相変わらず……」
言いかけたサーナちゃんは、おおと声を上げる。ロッカーさんたちがいたからだ。見たこともない赤毛のエルフもいる。何て綺麗な人なんだろ。
「わーい!」
「よくがんば……あれ?」
腕を広げたロッカーさんをスルーして赤毛のエルフに抱きつくサーナちゃん。あらら。
「お疲れ様、サーナちゃん」
「ただいま、ティナ先生!そして、おかえりなさい!えへへ」
嬉しそうに抱きついてる。よっぽど好きな人なのかな?
「皆さん、おかえりなさい、食事にします?お風呂にします?」
「それとも、俺にするか?」
ソナタに続いて、クランツがにやにやしながら言う。エロ親父の発想け!
「そもそも、こんな忙しい時にロッカーさんたちはなにしてましたの?」
「そうだぞ!でかい亀みたいなのが襲いかかって来たんだぞ!」
「かめぇ?」
ロッカーたちは、顔を見合わせる。詳しく話すとどうやら、そこまで聞いてなかったのか。渋い顔をする。
「あいつら、そんなことまでしてやがったのか」
「俺等でさえ魔界に、言った時くらいだよな、あんな化け物とバトルしたのは?」
「そうね。クランツがビビって震えていたのは覚えてるわ」
「おめーだって、彼氏にフラれてべそかいてただろうが!」
なにやら、やいやい話し始めたので、取り敢えず風呂!シャワー!
「じゃあ、私は帰りますの」
「なんか、遠慮してる?汗くらい流して行きなよ」
「そうだよ。遠慮しないの!」
サーナちゃんにまでそんなこと言われてる。
「そ、それではお世話になります」
なにをかしこまってるのか。バトルしてる時は過激なのに、素は人見知りするからなこの子は。
「あんず、行くよ~?」
て、いない。逃げたな。ま、いいか。明日でも。
一仕事後のシャワーはいい。猫カフェの方はお風呂もあるのだ。
「ふん、ふん、ふ~ん♪」
サーナちゃんが湯船で鼻歌を歌ってる。おっさんみたいに思えるのは私だけか。
「明日はゆっくりしたいですの」
「そうだね。のんびり散歩したいな~。お菓子食べたいな~」
「くす。マキちゃんたら」
「えへへ。いいでしょ~?サーナちゃんもお菓子好きでしょ?アイスとか、アイスとか、あ、あとアイスとか?」
「全部、アイスじゃない!」
「そうですの!もっと他にも、恋とか……」
「マナの男の趣味はなんとかした報告がいいと思うよ」
嫌な奴は、記憶から除外する。せっかくの熱々の湯船なのにいい気分が台無しだよ。
ああ、目の前にマナのマスクメロンが浮いている。見事なものだ。
じゃなくて!風呂上がったら、あの暗殺者たちのことを相談してみるかな。猫カフェのことも。
つづく
猫たちは、ソナタに洗ってもらってるんだよ。洗い方が上手なんだよ




