仲間たち.1
「マキちゃん!大変だよ!」
サーナちゃんがあわあわして部屋に入ってきたよ。
可愛い子は、慌てても可愛いのか。うむむ。じゃなくてどうしたんだろう。
「どうしたの?なにかあった」
次の日の朝。井戸で顔を洗って部屋に戻って着替えながらこれからどうしようかと考えていたら、サーナちゃんが来たと言うことだ。
「ドロンさんと、マナさんが!」
「あの二人がどうしたの?」
マナはともかく、ドロンは大丈夫じゃないかな?調子いいから。ま、いいか。
階下に降りると、肩を落として項垂れるドロンと、子供みたいにえんえんと泣くマナがいた。マナ、私より年上だよね?
まだ、他の宿泊客が寝ているから良いものの……はっ!これは、従業員視点ではないか。
「マナ、どした?」
「びえぇ~ん!マキちゃん~!私、振られちゃったよ~!」
私にしがみつき、びぇんびぇん泣いているよ。あの、大きな胸を押しつけないで。かわいそうではあるけど、打たれ強くなるしかないよ。冷たい家庭で育った身としては、恋と言われてもいまいちピンと来ない。
でも、マナが傷ついているから。
落ち着くまでそのままにさせておく。
「ドロンさんは、どうしてへこんでいるの?」
「いや~、泥族が気持ち悪いから、大家に追い出されたんだ」
「……え?なにそれ」
この気分の悪さ。こっちの世界にも差別とかあるんだ。
自分だって大したこともないのに、相手を下に見てバカにする。
学校でもあった。もちろん庇ったら孤立したけども、元々、こりつしていたからね。いんだよ、それは。
でもそのクラスメイトは学校に来なくなったな。元気かな。
「……確かに俺は、造られた存在だけどよ。これでも村に仕送りするために働いていたのにな。
俺みたいな泥まみれは、冒険者とかしか出来ないのかな」
珍しいな。ドロンが落ち込んでるなんて。たまにイラつくこともあるけど。
「…ま、取り敢えず奥に行こう」
私たちは、猫カフェ兼自宅?に案内する。
チラリと猫カフェを見てびっくりする二人だけど、今は元気がないのかすぐにうつむく。
中に入ると、猫たちのお出迎え。おっと、ご飯だね。
「にゃおん」
「なーご!」
「ふにゃあぉ」
「サーナちゃん、ご飯の用意しよ」
「はーい」
ぱたぱたと調理場に移動する私たちは、魚を焼いて身をほぐす。
調理は、サーナちゃんの方が得意なので任せることにする。
その間にホットミルクを用意する私は、最近気づいたのは、食の事情だ。缶詰めとかはないけど、地球と類似する物が多いこと。
きっと私のようにこっちに転移した人が多いのかもしれない。
冷蔵庫があったのは、驚いた。氷の魔力が込められた動力源があるらしい。
もう、私もこれがゲームじゃないよねと気づいてもいる。ただ、証拠かないだけ。つまり、吉田さんに話しが出来ればいいんだけどね。死ねば分かると言うのは論外。
「はい」
二人に紅茶みたいな味のお茶を出して上げると静かに啜るドロンとマナ。なんか、かわいそうだよ。
無関心より、感心事が多いこの世界で、仲間がへこんでるのを見るのは悲しい。
「……マナはどうしてフラれたの?」
「カレね。私をいっぱい愛してくれたの」
「あ、うん」
ストレートにそんなこと聞くと、恥ずかしくて頬が赤くなる。
「あんなに愛してくれたのに、その後で言ったの」
「待って」
サーナちゃんのそばによって耳を塞ぐ。なんか聞かせては行けない気がする。
「マキちゃん?」
きょとんとしてるサーナちゃんがいることに今更ながら気づいたのか。
言葉を選んで話す。
「……捨てられたんだ。私。つまんない女だって」
「……そう」
何て言ったらいいか分からないけれど。ご飯を食べ終えた猫たちがドロンやマナにすり寄っている。
マナは、それに優しく微笑んで撫でている。ドロンは猫たちにされるがままです。
「よし!気分転換しよ」
「気分転換?」
二人が顔を上げると私を見上げる。この街を全部見回った訳ではない。
だから、みんなで見て回ろうと思ったのだ。それくらいしか思いつかない。
「さぁさ、出掛けるよー!」
「お、おい!押すなよ!」
「わ~い!みんなでおっでっかっけ~!」
「お、おい!制服も着ずにどこへいく?」
おじさんが、慌ててる。ごめんね。お土産買って来るから。
私戸惑いながらもとサーナちゃんに押されて、二人も渋々ついてくる。
宿屋は、近所のおじさんに任せて私たちは外に出る。
猫たちもついてくる者もいる。みんなでショッピングをしたり、劇場なんてものも合ったので中に入ると、婚約破棄されたお嬢様が復讐するドロドロした話しでなぜかドロンは、笑いを堪えてマナは、目が怖い。復讐しないように見ていないとね。
みんなで、カフェで食事して。猫用に食事を用意してもらうと足元で大人しく食べている。
ドロンは少し元気が出たみたいでサーナと何事か話している。
「サーナ。頼みがあるんだ」
「ドロンさん、なんですか?」
「サーナのフィギュアの水着バージョンの依頼が殺到してるんだ。作っていい?」
「だ、駄目ですよ!恥ずかしいですから!」
パタパタと顔の前で手を振りあせあせしてる。
「……そんなこと駄目だからね!」
「なんで、マキマキが怒るんだよ?」
「それは、その……」
サーナちゃんの前で言えない。それをエロい目で見る人もいることに。
「にゃん」
あんずが、下からジッとドロンを眺めると素直に頷く。
「……お前がそう言うなら止めとくよ」
「にゃん」
「えと、二人っていつ、そんなに仲良くなったの?」
「色々あるのさ、男同士にはな」
「ふにゃあ」
抱っこすると止めろよ、照れくさいだろと言うように鳴いた。
そうです。あんずは男の子です。
つづく
あんずは猫たちと一緒に、ドロンを追い出した家の屋根の上で鳴いて大家を寝不足にしたんだって




