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のんびりしたいのに.2

授業も終わり放課後。教室は一気に騒がしくなって部活に行く琴美やクラスメイトと別れて帰宅する時のことだった。


「真姫。私は部活に行くけど私のことは忘れないでね」

「なに大袈裟に言ってるの?部活頑張って」

「うう。真姫、冷たい。冷えピタよりもなお冷たいわ。本当ならここで私を引き止めて遊びに誘うとこでしょ?」

「なら俺とヒキガエルを見ながら引き笑いを練習しようぜ」

あ。クラスメイトの某くんだ。琴美によく絡んで来ては変なこと言ってる人。


「はぁ~ん?凄いイケメンならそれもいいけど~」

「琴美、言いんだ」

「言い訳ないでしょ。なんでヒキガエルなのよ。もう行く。部活にイク!」

行くの発音が変だったけどスルーしよう。

琴美に手を振り残念そうにガックリ肩を落とすクラスメイトにもさよならをして廊下へ出る。






「ちょいとそこのお嬢さん」


「はい?」

校門のとこに生えている木々の影から現れたのはおばあさん。魔女の服装をしているおばあさん。ハロウィンのコスプレみたいだけどまだまだ早いよね?いや、コスプレイヤーなのかな?




「あなたは………素敵なおばあさん」

「ウフフ。お嬢さんに見える?」

「あ、いえ」

「いえ?」

お嬢さんには到底見えないけれど、否定するのも失礼だよね。

しかし、昨日助けたおばあさんがどうしてこにいるのか?す、ストーカーじゃないよね?





「あなたに昨日のお礼をしたくて来たの。ホントにありがとね。あなたのお陰で命拾いしたわ」

ど、どうしてここが、分かったのだろうか?

ガシッと私の手を掴んで離さない。



「い、いえ。それはどうも。でも、お礼のお言葉だけで結構ですから」

あの。このおばあさん、私の手を握ったまま離してくれないんだけど……?妙に力があるわ。腕相撲をした時のお父さんみたい。



「そうは言わずに、ね、ね?寂しい孤独なおばあちゃんの孤独を埋める相手をしてちょうだい!」


「あ、あはは。ちょっと忙しいので!」

ぐいぐいと引っ張らないでほしいな。


「ほらほら!いやよいやよも好きののうちって言うでしょ?」

そんなこと聞いたこともないよ。

あまりにもしつこいので、仕方無い。興味はないけど、話し相手くらいしてあげよう。

うちのおばあちゃんは無関心な私をそれでも遊びに行けば可愛がってくれたっけ。恩返しする前に無くなってしまったけど。




なんだかんだでリムジンに乗せられ、ちょっと高めのレストランに案内は、なんか怖いので、ファミレスにしてもらう。やはり、このおばあちゃんは金持ちなのだろう。


「そんな、遠慮しなくても

「いえ。遠慮してませんよ。あまり高い料理だと緊張してしまうんで」

「そうなの?あなたなんてモテモテだからこれから金持ちのおじさんに奢って貰えるかもしれないわよ」

なに言ってるのこの人?そんな人に奢って貰いたくないんだけど。


ファミレスに着くとウェイトレスに案内され窓際の席に着く。

ドリンクバーを二つ頼み、持ってくる。おばあちゃんはコーヒー。私はカフェラテ。


「ありがとね、えーと」

「あ、橋本真姫です」

「真姫ちゃん。昨日はホントに助けてくれてありがとうね」

「……はあ」

「私は、吉田香耶よ。香蚊帳の外にされてる老人じゃないからね」

「は、はは。いい名前ですね」

おやじぎゃぐ的なものだろうか。あまりにも興味はないけど失礼の無いようにしなきゃ。


「……あなた。あんまり他人に興味ない?」

適当に流してたらそう思われた。でも、そうなんだけどね。


「あ、はい。不愉快にさせたらごめんなさい」

気を悪くされてなければいいけどね。


小さい頃はそれで、興味もたれない同級生に怒られて、気づけば孤立していた。それすらもどうでもよかったんだけどね。近所の猫カフェに行けば癒されたし。


「いいえ。別にいいのよ。あなたとの性格と私を助けてくれたことは関係ないもの」

そう言ってくれる人は、ホントに助かる。その人に興味持たないと、相手は離れていくのでなんか、無理に興味持てと言われているようで嫌なのだ。




「あ、そうだわ。あなたなにかほしいものとかないの?お礼をちゃんとしたいの」


「ここの食事だけで十分ですよ」


「でも、……あ、そうだわ。良ければこれ受け取って」


「え?」

渡されたのは紙袋。電気屋のロゴが入っている。

「これは?」


「VRMMOの最新版よ」


「ば…VRMMO!?」

ばあちゃんうんぬん言いそうになって止める。

おばあちゃん、ゲームが好きなのかな?今は、年輩の方でもゲームをするらしい。ゲーセン好きの男子が話していたな。



「これ、私の孫が開発したのよ。あのまごまごしていたあの子がね~」

もしかして、またも親父ギャグ的なものだろうか。そのVRMMOを差し出す。

「良かったらこれ使って~」


「いや、でも…」

高いだろうなと思ったので、断ろうとするもおばあちゃんの表情が曇るので、断りづらい。老獪と言う奴か?



相変わらず力強さで押しつけて来るので受け取ってしまった。

「分かりました。じゃあ、受け取っておきますね」

仕方ないか。弟が喜ぶかもだし。用意周到なおばあさんめ。


「ありがとうね。楽しんでもらえるといいのだけれど」

その時、頼んでいたメニューが運ばれて来たので話しは中断された。




父が厳しい人なので、食事中はしゃべるなとか、色々言われたから、色々とめんどくさくなって興味なくしたのかもしれないな。

その父は口煩いくせに他の女と不倫ばっかりで、こちらを見もしなかった。

母親もご多分に漏れず不倫をしていた。

毎日のように喧嘩をしているのに世間体悪いからと離婚しない。

いや、離婚してる人なんて沢山いるしね。


だから余計に人に無関心になったのかもしれない。

結婚した以上は子育てに命かけろって文句を言いたくなる。









家に帰宅すると、自分のベッドに入ってベッドに倒れ込む。弟はまだ帰ってなかった。


すると、三毛猫のあんずがじゃれついてくる。

私が小さい頃に拾ったのだ。親も猫は好きなのか反対されなかった。


「うにゃにゃ~♪」

嬉しそうにスリスリしてくるとこちらも、嬉しくなる。興味のない私の数少ない興味のある存在の一人……いや、一匹と呼ぶのは嫌なので、一にゃんと数えている。

背中を撫でると恍惚とした表情になる。気持ち良さそうだな。




「そうだ」

ベッドから起き上がり、スマホでメッセージを送る。

おばあさんのことを話題にしてみた。

琴美からの返事が秒で来る。

『エロゲした?』

『するわけないでしょー!わーるどうぉーくなるゲームが着いていたけど』

『それ、新作じゃない!私も買うからそしたら一緒にプレイしようよ!』

『いいけど私一人でのんびり異世界旅行とかしたいなー』

『連れない生娘め!むしろ、レベル上げたりしないの?』

『え?現実で部活とかで鍛えてるのに、ゲームでも鍛えるなんておかしい』

『あなたの方がおかしいと思うけど』

結論。どっちもおかしいってことで笑う。まあともかくプレイして見ることにした。いや待て。生娘って呼んだ?



どんな世界が広がっているのかな。この時は、あまり興味はなかったものの、友達とプレイ出来るのならまあいいかな。そう言う気持ちもあった。




まさか、あんなおかしな事態になるなんて思わなかったんだ。




つづく


おばあちゃんはその昔、腕相撲の名手だったから力が強いみたいだよ。


あんずは泣く泣く前の飼い主に捨てられたんだよ。

でも真姫に拾われて満足してるよ。



おばあちゃんはその昔、腕相撲の名手だったから力が強いみたいだよ。



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