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01

 第一部



「ちょっと、あんた達いい加減に出てってよ!」


 あたし──、いや、わたくしは非致傷術法でチンピラたちを神殿から叩きだしました。


 夕暮れの神殿街に、似合わない汚い服装の男が三人、大通りの上に石のように転がると。


 大通りを歩く様々な神格の神官や巫女、それに「参拝客」達が一斉にこちらを向きます。


 もう、なんなのですかこの人達は。


 しつこくつきまとって。


 わたくし、ケイト・ハービンはいつものように、オアーン神殿の酒場、そして「奉仕」の客引きをしておりました。


 そうしましたら、ここには似合わない顔つきと服装の男たちが三人やってきたのです。


「ちょっと、俺達の相手をしない?」


 わたくしは最初、嫌々ながら付き合おうかと思い、奉仕の金額を提示いたしましたら。


 突然、わたくしが首にかけている、自慢のベンダントを見て、


「それをちょっとくれないかな? ケイティニアちゃん」


 と言い出したのです。


 なぜ、それを。と思いながら、


「いやです。お断りいたします」


 わたくしは断りました。


 けれども、あまりにもしつこくつきまとってくるので、わたくしは実力行使に出たのです。


 もう、一体なんなのかしら。わたくしの名前を知っているなんて。


 通りに転がったチンピラたちは起き上がると、


「いい度胸じゃないですか姫様。こうなったら無理矢理にでも連れて行きましょうか?」


 と、にやりとしながらわたくしに向かって言い放ちました。


「いやですわ」


 一言言うと、チンピラたちを睨みつけました。


 高級な風俗街、いえ神殿街に似つかわない、安っぽい革鎧の男が三人。


 これぐらいなら、わたくしの術法で十分ですわね。


 気がつけば、騒ぎを聞きつけて野次馬などが集まってきていました。


 もう。神殿街の巫女騎士とかが駆けつける前に、やっつけてしまいましょうか。


 わたくしが、袖の広い巫女装束の広い裾をまくった時でした。


「……なんだあれ?」


「なにか落ちてくるぞ?」


 野次馬たちから、別のざわめき声が上がりました。


 皆、一様に空を見上げています。


 なにかしら。わたくしも空を見上げました。すると。


 空から、何かがこちらに向かって落ちて来るのが見えました。


 さらにその上空、遠くを小さな点が飛び去っていきます。


 あれは……。隣の島国、ブリティアの降下用ポッド、通称<棺桶>?


 多分、あの遠ざかる小さな点は飛空艦ですわね。


 あんなものがなんで一つだけ落とされてくるのかしら……?


 そしてあの棺桶……。落ちてくる速度が速くないですか?


 しかもそれがこっちに向かってきますわよ!?


「ちょ、ちょっと──!?」


「お、おい! こっちに向かって落ちてくるぞ!」


「うああー! 逃げろー!!」


 わあっと叫び声や悲鳴が上がります。


 ある一点を中心に、神官や巫女、参拝客達が逃げ出して輪を作ります。


 そして次の瞬間。


 その中心に、黒く細長い<棺桶>は神殿前の道路に激突いたしました。


 衝突する寸前、黒い万年筆のようなそれは何かを周囲に吹き出しました。


 もうもうと煙が上がったので、防御術法でその煙を払いのけます。


 ……みっ、見えない。あれ、どうなったのかしら。


 その白い煙が晴れ始めると。


 降下用ポッドは、グシャリと潰れ、変わり果てた姿になっていました。


 ああ……。衝撃を受け止められなかったのかしら。


 中の人は、生きているのでしょうか。


 息を呑みながら煙の隙間から残骸を見ると。


 黒い残骸の隙間から、何かが覗いていました。


 あれは、人の影……。


「まだ生きているのかしら!?」


「おい、ちょっとどこ行くんだよケイティニアちゃん!?」


「ちょっと待ちなって!」


「俺達を無視すんなよ!」


 チンピラたちを無視してその脇を通りすぎ、残骸へと駆け寄ります。


 残骸の破片を手で払いのけました。すると。


 旅人の服装をした男が、横たわっていました。五体満足な姿です。


 かなり高級そうな服装ですわね……。


 思わずそばに駆け寄り、体を抱き起こします。


 手に伝わる重さ。


 重い。かなりがっしりとした体つきですわね……。


 これなら蘇生術法で蘇らせても、あまり精神などの損失はないみたいですわね。


 そう思いながら、殿方の顔を見ると。


 彼の顔つきは、わたくしよりも少し歳上に見えます。


 その顔はどこか荒々しく見えて、ブリティアの王族特有のナイーブさを持っておりました。


 青年の顔を見て、首を傾げました。


「この殿方……。まさか、ブリティアの第三王子ジャーヴィス殿下?」


 けれどもこの穏やかな顔つき、あの暴君剣士と呼ばれたジャーヴィス王子とは似つかない。


 むしろ第四王子の、ひきこもり王子クロヴィスに似ているような。


 この人、一体……?


 もう一度首を傾げたその時。わたくしは気が付きました。


 手に伝わる脈動に。


 この人、生きてる──!


 わたくしが驚いて体を離した瞬間。



 男が、目覚めました。


                     *



心の奥底で、チクタク、という音が鳴り響いていた。


 その音が、どこかへと遠ざかっていく。


 それと同時に、ぼく、ジャーヴィスは目を覚ました。


 ……生きているのか。


 水底から急に浮かび上がる魚のように、はっと目が覚める。


 頭に柔らかい母親の感触がした。


 誰かに抱きかかえられていることに、気づく。


 視界がはっきりしてくる。


 飛び込んできたのは、目鼻のはっきりとした、高貴な顔立ちの少女の顔。


 ぼくより少し年下に思える、その女神のような美しさに、ぼくは思わずつぶやいた。


「……いい顔、ですね」


 その言葉に、少女は目を丸くした。


 次の瞬間、少女は顔を真っ赤にすると、ぼくを強引に起き上がらせ。


 手で僕の頬を、一発、叩いた。


 痛い。


「あああああなた命の恩人になんて言い草ですか!?」


 頬を抑えながら少女の顔を見ると、金色の髪とヴェールがふわっと広がっていった。


 彼女が着ているのは、白に金の刺繍をあしらった、巫女装束だ。


 装束の下に、大きくて丸い二つの胸に引き締まった腹、突き出た尻が浮き上がっている。


 胸の前で、金細工に青い色の宝石がはめ込まれたベンダントが揺れていた。


 この巫女装束は、オアーン神のか。


 怒りというよりは、恥ずかしそうな巫女の顔立ちだ。


 そんなに恥ずかしがらなくてもいい。君の顔は、笑ったらいい笑顔になる顔だ。


 こういう笑顔を持つ娘は、ぜひとも妃にしたい。


「いや、褒めたんですが……」


「褒めたって何もでませんわよ! もう、びっくりいたしましたわよ!」


「なぜ、ですか……」


「死んだかと思っておりましたから!」


「はい、すいません……」


「すいませんじゃないわよ! 今わたくし大変なんですから!」


「なんでしょうか……」


「今わたくし変な客に絡まれてるのですよ! それを何とかしようとした時にあなたが空から落ちてきて!」


「変な客、ですか……」


「そうでございますわよ!」


 巫女が振り向く。


 そちらの方を見るついでに、周囲を見た。


 ここは……。神々しい。けれども、眩しい場所だ。


 大きな神殿が、何軒も並び立っている。


 その神殿が、数多くの派手な術法看板で彩られている。


 周りで野次馬達が、ぼくを見ながらひそひそ話をしている。


 彼らは、ぼくが乗ってきたスタルク武器工廠製降下ポッド、通称<棺桶>だったものを、この場にはそぐわないもののように見つめていた。


 それはそうだ。降下鞘は新しい軍用兵器だし、この神殿街という重厚な歴史を持つ街には似つかわしくないとは思う。


 目の前で、少女が向こうを向いている。


 腰に太く赤い帯を巻き、薄い布の衣裳から肌が見え隠れする、色っぽい巫女装束の娘だ。


 やっぱり、綺麗、だな。


 少女の視線の向こうに、いかにもという風情の小悪党が三人いる。


 こいつら、なんなんだろう。


「おい、お前。なんだよ!?」


 チンピラの一人、茶色の革製の服を着た男が顔をしかめて言う。


 それとほぼ同時に、金髪碧眼の美少女巫女がぼくの方に視線を戻し、問いかける。


「そう言えばあなた……」


「なんですか」


「ねえ、あなた。もしかして……?」


 もしかして、って。ぼくに見覚えがあるのか……。


 ぼくも彼女に見覚えはある気がするけど。でも、ぼくはこの娘の知り合いじゃない。


 そういう顔つきをしていると、彼女はそのまま言うのをやめた。


 なんだろう……。


 疑問をすぐに遮るように、どこにでもいるようなチンピラ達が、ぼくを見るなり後退りする。


「……てっ、てめえ! なんだ!?」


 なんてお約束なんだ。我慢できない。


 思わず吹き出してしまったぼくを見て、チンピラ達は顔の赤みを増した。


「なっ、何がおかしい!?」


 続けざまに飛び出たことばが更におかしい。ぼくはまた数度吹き出した。


「てめぇ、ぶっ殺されてえのか!?」


 そう言いながら、チンピラの一人がぼくに短刀をちらつかせる。


 本当、おかしいよなあ。こいつらもお約束でおかしいけど、ぼくの方もおかしい。


 空から男が降ってきた。これをおかしい、冗談と言わずしてなんというのだろう。


 まるで、軽小説みたいだ。


「あなた方の応対が、あまりにもどこでも見かけるもので」


 チンピラの一人が、ぼくの体を上から下までジロジロ見て、頭目らしい皮服姿のチンピラに言った。


「こいつ、騎士かなにかみたいですぜ。やばいんじゃないですか……」


「そっそれに、デカブツで空から落ちてきやがって、壊れても死にませんでしたし。どうします……」


 二人のチンピラが、凶悪な顔つきの首領格に尋ねる。


「……構うもんか。依頼主の言うとおり、やることはやるんだ」


 頭目は、子分どもをけしかけた。


 すると二人の手下は、


「そうだったぜ。ほらよ、ケイティニアちゃん、いいから俺達と一緒に来るんだ」


 そう言いながら、美少女巫女の方へ、わずかに体を動かそうとした。


「嫌です!」


 ケイティニア……。


 このタイクニアの現、いや、今は元第一王女(なのか?)と同じ名前だな。


 それはともかく、そういうことか。


 どうやらこいつらはこの巫女を、強引に連れて行っていこうと言うわけか。誰かに頼まれて。


 ああ、嫌になるほど普通のチンピラなんだな。がっかり。


「なるほど。わかりました」


 ぼくは巫女の娘に頷く。


 そして巫女とチンピラ達の間に、巨人を遮る壁のように立つ。


 チンピラ達の間に動揺が走ったのが、表情から見て取れた。わかりやすいなあ。


「なっ、なんだよお前」


「君達、やめなさい。その娘が迷惑しているじゃないですか」


「なっ……」


「やめなさい。何者でもない、チンピラさん達」


「この……!」


 顔を紅潮させ、チンピラの頭目が、頼りない短刀をぼくに向かって突き刺そうとする。


 遅いなあ。ぼくは相手にみぞおちに軽く一発入れた。


 ぐえ、と音を吐き出して、お約束チンピラの頭目は吹き飛ばされ、転がった。


「お、親分!!」


 悲鳴を上げながら、お約束チンピラの子分二人組は、ぐったりとした頭目に駆け寄る。


 そして二人で、気絶した親分を肩で抱え上げ、


「お、覚えてやがれ! お前なんて『ジョン・ドゥ』様に始末されちゃえばいいんだ!」


「やられちゃえ!」


 負け惜しみを叫びながら、神殿街の入口の方へと猫のように逃げ出していった。


 喜劇のような騒動の終わりを見ると、野次馬達の多くはあっという間に去っていく。


 やれやれ、あまりにも普通のチンピラ達だったな。


 胸をなでおろしたその時だった。


「あなた……!」


 その時、驚きを含んだ声が、後ろから飛んできた。


 振り向くと、先ほど助けた格好になった巫女嬢が、目をまん丸くしていた。


 頭の白いヴェールがふぁっと広がる。


 両腕のいくつもの腕輪がぶつかり合って、甲高い音を立てた。


「あなた一体何者よ!? あたしがあいつらをやっつけて、盛り上げようと思ったのに! なんで突然空からやってきて、美味しいところを全部頂いてしまったのよ!?」


 びっくり。きみに、そんな抗議をされるとは思わなかった。


 そしてもう一度、美少女巫女の全身を見やる。


 体は突き出た胸と尻が美しいラインを描いていて、結構好みだ。


 金髪碧眼、白い肌。筋肉質の体についた、二つの大きく丸い胸。


 そしてその体に、胸を大きく空けた白に金の刺繍の入った上着に、赤い帯を締め、そこに何枚かの布を挟み込んで袴とする、オアーンの神殿巫女の標準的な装束をまとっている。


 なぜこんなところにいるのかが不思議なくらい、気高い雰囲気が体から滲み出ていた。


「わたしは、ただの旅人ですが……」


「空から落ちてきて何が『ただの旅人よ』!? その事自体が普通じゃないわよ!?」


 ぼくの言葉に、高貴系人種の巫女は、目尻を鋭くする。


 明らかに、不機嫌な表情だ。


「それに何よ!? 空から落ちてきてあの棺桶が潰れて死んだかと思えば生きていたし! びっくりしたわよもう!? こっちが死ぬかと思ったわよ!?」


「それは、失礼しました……」


「失礼って何よ!? 莫迦にしてるの!?」


「そういうわけでは、ないですが」


「一体どうしてあの飛空艦から落とされてきたのよ!?」


「見てたんですか」


「見上げたら見えましたからね! で、どうしてよ!?」


 ぼくはちょっと首をかしげ、片手を首の後にやる。


 どうしようか。まあ、ちょっとごまかせばいいか。


 答えを口にする。


「ちょっと、家から追い出されて」


「はぁ?」


「部下のディレンに無理やりポッドに載せられて、落とされてきたもので……」


「斬新な追い出され方ね!? それにしても理由がございますでしょう!?」


「いや、修行に出てこいと言われたものでして」


「その体、修行しなくてもいいように思えますわね……」


「それは、どうも」


「だからその落ち着きぶりが嫌なのです!」


「そう、ですか」


「でーすーかーらー!」


 再び、野次馬のざわめきが耳に届きだした。


 中には、ケイトに似た若い声色の少女の、


「ケイト、あんたそうやって客を引っ掛けようとして! ずるい!」


 という声が飛剣のように投げかけられる。


 それに対しケイトと呼ばれた少女は、


「アレサ! 貴女は黙ってて!」


 とこれまた鋭い飛剣を投げ返す。


 仲、良さそうですね。心のなかで苦笑する。


「ま」


 ケイトと、呼ばれた巫女は先ほどとは異なる質の頬の赤らみを見せて言う。


「……助けてくれたことは礼を言うわよ。でもね、あなたの始末に巻き込まれて、あたしいい迷惑だわ」


「いい迷惑でしたか。それなら助けなかったほうが……」


「だから助けてくれて感謝いたしますと言っておりますでしょう!」


「そう、ですか」


 また、首のあたりに手をやって一つ掻いた。


 そして思った。思ったつもりが。


「こんなことになるんだったら、リュビ・ポミエの本でも持ってくるんだったかな」


 口から秘宝が転びでてしまった。


 リュビ・ポミエ。この国、タイクニアの女流覆面作家だ。


 ポミエは、神殿巫女を題材とした作品を書くことが多い。


 ポミエの本は、タイクニアだけではなく、ぼくの国、ブリティアなどでも人気だ。


 無理やり連れて行かれるんだったら、自主的に行って、そのお供にポミエの本でも持っていけばよかったかな、と思ったのけれども。


 次の瞬間、金属がぶつかり合って発する甲高い音が、いくつも鳴り響いた。


 見ると、ケイトが目を大きくしていた。


 その顔に浮かぶのは、動揺の色。


 首からぶら下がっているペンダントが左右に大きく揺れる。


「どう、しました……」


「なんでもございません! そう、なんでも、ないですから……」


「その割には、動揺、していますね。ポミエさんと、知り合いなのですか……」


「……あー、そうよ! そう! あたし、彼女と知り合いで、彼女の取材を受けたこともあるのよ! ねっ、すごいでしょ!」


「すごいと、言われても……」


 ぼくは再び首のあたりに手をやって掻いた。


 それにしては、おかしい。


 まるで、ケイトとポミエが同一人物か、身内、のような。そこまで考えた時だった。


「ケイト、今日の客はこの人で決まりね! あー、人気ある子はホント違うよね!」


 と、先ほどのアレサという少女の声が飛ぶ。


 ぼくらはそちらの方を見る。


 神殿の入口から少し離れたところに、野次馬と共に、少女と似た装束の巫女達が数名いた。


 彼女らは、ぼくら、いや少女に、羨望とも皮肉とも取れる笑顔を見せている。


 ケイトは軽く舌を出して、


「アレサ、だったらあなたも絡まれればよかったでしょ!」


 と、してやったりという笑みを浮かべる。


 ああ、この娘達は、なかなか仲がよろしいようで。


 それにケイトと言う娘。その笑顔。やっぱりいい笑顔、ですね。ぜひとも妃にしたい。


 そんなことを思いながら、アレサ達とケイトの顔を交互に見ていると、


「何よアレサたちの方を見てニヤニヤして。あの娘達のほうが絡まれていればよかった?」


 ケイトが、睨みつけてきた。


 ぼくはまた後頭部のあたりに手をやる。そういう訳じゃない、んですけど。


 ケイトにぼくが反論しようとした、その時だった。


 強く誰かに肩を叩かれた。


「あー、ちょっと。貴方、よろしいでしょうか?」


「はい?」


 気がつくと、重厚な鎧を着た騎士や騎士巫女達に、取り囲まれていた。


 お固い、正義神や司法神の神官や巫女達だ。


 え、いつの間に。


「貴方を暴行容疑で、逮捕します」


 そう言われた次の瞬間、何かを体に打ち込まれる感覚がした。


 体から力が抜けた。動かない。空気が抜けるようにその場に倒れこむ。


 これは麻痺呪文か……。


 そして騎士達はぼくの両腕を抱えると、近くにあった神殿警察の自動馬車まで連れて行く。


 ちょっと。あのチンピラ達を追い払っただけなんだけど!


 おい!


 叫ぼうにも声が出ない。


 背中より遠く、ぼくがいた位置辺りでケイトが、


「えっ、ええーっ!? なんで、なんでこうなってしまうの!?」


 と両目を丸くして叫んでいた。



 そう言いたいのは、ぼくの方、なんですが……。


                     *


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