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離してあげないから。

内心戸惑っている私にアマリアは言葉を重ねる。


「あのとき、ハルカが私自身を認めてくれた。私がもっとも大切で努力している『可愛さ』を知ってくれた。誰も認めてくれなかった私の努力をあなただけが認めてくれたの。真っ直ぐな言葉に惹かれない方が無理に決まってるわ」


「アマリア…」


私は彼女の言葉に嬉しさを感じる。

あの時はただただアマリアに落ち込んで泣いて欲しくなかった。

影で努力している彼女のことを私は知っていた。

だから私は自分の気持ちを伝えたに過ぎない。

彼女に前を向いて欲しかったから。


だけど、まさかそれが切っ掛けで気に入られるなんて思いもしなかったけど。


「でも、アマリア…私たちは友達で、それに…」


「悪いがアマリア嬢。きみは女性だ。それに彼女は僕の婚約者だから、きみの想いに応えることはできない。諦めてくれ」


いつの間にか私の隣に立っていたユーリ様がアマリアにキッパリとそう言った。

だが、アマリアは平然とした表情でユーリ様に近づき、ガンを飛ばしながら言う。


「悪いけど私、男だから」


へ?

男って…?アマリアが…?

それはどういうこと…??


内心混乱する私に彼女は説明する。


「私は元々人魚族の王族の人間。女性しかいないと言われている人魚族唯一の男性。だから幼い頃から姫として育てられてきたの。この格好は私の趣味ね。私可愛いのが好きだから」


『人魚の涙』は人魚の姫であるアマリアの悲しき物語だが、小説の中で彼女は女性だった。

ユーリ様の心に惹かれて、恋に落ちてしまい、最後は己の恋を成就できずに消滅しまう。

そんな物語だ。


ここは小説の中の世界だけれど誰もが生きている。

アマリアが女性ではなく男性ということに対しても、それはそれで納得はできてしまうかもしれない。


「じゃあ、どうしてあなたはユーリ様のことを想っていたの…」


思わず自分の言葉を彼女に口にする。

アマリアはため息をつきながら髪をかきあげるように言った。


「私は美しいものが好きなのよ。性別なんて関係ない。彼は顔が美しかった。だから欲しかったの。それだけの理由」


「それって、つまり…ユーリ様が自分に靡かなかったから…ムキになっちゃっていたということなの…?」

「平たく言ったらそうなるわね」


彼女の言葉に私は思わず脱力してしまう。

私の苦労は一体何だったんだろう…。


(ちょっと、待って!まだ肝心なこと忘れている!!)

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