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プロローグ

窓から差し込む茜色の夕日の光に照らされる。

王都アルナリア学園の廊下で私は目の前にいる金髪碧眼、容姿端麗で誰もが見惚れる顔が良い男。

アルダナ王国第一王子ユーリ・アルダナ様に緊張した面持ちで、しかしはっきりとした口調で告げた。


「わ、私と婚約破棄して下さい!」


ついに言った!

これでユーリ様が私と婚約破棄をしてくれればユーリ様は人魚の姫のアマリアとくっついて結ばれる。

そうすれば私は二人を陰ながら見守り、適当にそこら辺の貴族男性に嫁げば良い。

流石に変態貴族や老人の夫は嫌だけど。

そこそこ安泰した人生を送れれば満足。


肝心なことはアマリアが死なずにユーリ様と幸せになる瞬間をこの眼球に焼き付けることだ。

何なら結婚式に呼んで欲しい!

最前列で是非とも見たい!


「愛しのハルカ。僕の愛を試しているの?それともふざけてるのかな?冗談にしては笑えないよ」


ユーリ様は笑顔で私に近づき、スっと私の髪に手で触れる。

至近距離で彼の顔が近づく。


(近い、近い、近い、ちかぁいいいってば!!)


さすが人魚の姫の運命の相手。

顔が良い分、破壊力が凄まじい。


「あ、あの…殿下…近いですよ…」

「うん。こうでもしないと、きみはすぐ逃げちゃうからね」


どうしたら良いんだろう…。

この状況…。

ただ私は婚約破棄を申し出る為、ユーリ様と二人きりになる為に生徒達が下校した時間をみはらかって、ここに彼を呼び出した。

誰も助けてくれる人なんていない。

二人きり。


ユーリ様は私に顔を近づけながら甘い声で囁くように言う。


「僕がきみのことをどれだけ愛しているのか、理解していないなら、ここでたっぷりと教えてあげるよ」


ユーリ様の顔が私に近付いて来る。

それはキスをする距離で。

あと数センチの距離とも言えた。


「あ、あのユーリ様…」


しどろもどろになってしまう。

このまま彼とキスをしてはいけない。

どうしよう…。どうすればいい…。


「ちょっと、私の恋人に近づかないで下さいますか!」


突然、ぐいっと何かに引き寄せられた私は顔を上げる。

そこには人魚の姫のアマリアが私を自分の胸に抱きしめながら護るようにユーリ様を睨んでいた。


(あああアマリア!!!)


心の中で私の絶叫が響き渡る。

この状況は何!?

私抱きしめられてる!


ど、どうしよう…。

花のように甘い香りがするし、超絶可愛いし、普段も可愛いけど、怒った顔も可愛いよ!


で、でもアマリア。

私、あなたの恋人じゃないよ。

運命の相手はユーリ様だよ。


そんな私の心配を余所にアマリアは私の頬にそっと手を触れて、私に愛しそうな視線を向ける。


「あなたから、婚約破棄するなんて上出来よ。本当は私が奪ってあげたかったけど、別に良いわ。これであなたは私のものよ」


「あ、あの…手を離してくれるかな…?寧ろ、私なんかよりお二人の方がお似合いだと思うのだけど…」


「「は?」」


アマリアとユーリ様の二人揃って心底嫌そうな顔をする。


「どうして、僕がこんな女を愛さなければならないんだい。生憎だけど僕は計算高い女は嫌いなんだ。純粋なきみと違ってね」


「お生憎様。それはこっちのセリフだわ。顔は良いかもしれないけど、しつこくて執着気質の男なんて、面倒くさそうだわ!」


いがみ合う二人を見て私はあわわっと慌ててしまう。

この二人ってこんなに仲が悪かった?

前まではそんなことなかったじゃない。

もしかして、私が物語に介入したせいで二人の仲まで変わってしまったというの…!


突然、ユーリ様は私に顔を向けて指で顎クイをして来る。

私を見つめる優しい眼差しと甘い声を使って私を虜にしようとする。


「ハルカ、きみは僕の婚約者だ。僕を捨てるなんて許さないよ。そうだ、いっそのこと式を挙げてしまおう。そうすればきみは一生僕のものだ」


「あ、あの…」


「ちょっと、何言ってるのよ!」


左から私の腕にぎゅっと抱きつくような体制で私に甘えるように、強請るような視線を向けて来る。


「あなたが好きなのは私でしょう?私をこんなふうにした責任取ってよね」


右にはこの国の第一王子であるユーリ様。

左にはアマリア。


どうして、こんなことになってしまったの?

私はただ、アマリアの幸せな光景を見たかっただけなのに。


(私、どうしたらいいの~~~~!!)


新連載になります。

すこしでも楽しんで貰えたら嬉しいです。

宜しくお願いします!

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