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「ウッソ、盛りすぎの話じゃ全然なくマジガチのイケ男クンじゃないのよっ。チョ
ット私、ビビっちゃうんだけど~」
「‥‥失礼だないきなり。くだらん用で起こすな、て言うか話しかけないでくれ。
面倒クサいし、会話を続けられるネタなんかないんで」
「ワ~、イケ男ならではのフローズンな言い殴りぃ。てか寝覚めにコーヒー飲んじ
ゃわなぁい? わざわざ駅向こうまで行って仕入れて来たの」
「‥‥‥‥」屈託などまるでない蜷源るりに、眠気が失せる魁だった。
「自前のマグボトルに淹れてもらうなんて初めてだから、美味しいかわからないけ
ど、高かったから高級よきっと。生チョコプリンのツンブロードってのも買って来
たし~、大好物なのよねっ?」
「‥‥‥‥」
魁は顔をタオルの枕に戻し、あからさまにシカトを主張しつつ、あらためてシカ
トを決め込みにかかる。
「てか私、蜷源るりって言うの。黝糾女学寮高校の三年生だし、蜷源武昌の直系三
七代目なのよ一応。この辺りで蜷が付く苗字だと、かつては間違いなく私んチの家
来だったんだから、キミの態度も結構失礼じゃないかしら~」
「‥‥知りませんてのっ、そんな大昔のこと。て言うか何で? 他校の生徒が入っ
て来ていいわけないでしょうが」
さすがにシカトを決め込みきれず、魁は、上半身を跳ね起こしてまでの非難浴び
せをしてしまった。
同様のことが中学時代にもあって、結構な面倒に発展したせいでもある。
「ちゃんと許可は取ってあるもの。県内でも、ここにしかないクラスがあると見学
はいつでもОKだから、ある意味不用心よねぇ」
蜷源るりは正式に受付を済ませた証し、首から下げていたヴィジターパスをドヤ
顔で突き出し見せて、軽く鼻でも笑う。
「何でそこまでしてわざわざ‥‥目上相手にオレも失礼だったのは謝りますけど、
でもフツウあり得ませんし、許可を取っていようが不審者ですって」
「まぁいいじゃない別に、普段から私、よく言うとフレンドリーなカンジなんで」
「‥‥‥‥」
「わざわざ来させられたのはねぇ、私のコンちゃんが、ど~しても蜷威クンとお話
ししたいからって、それはモォ~熱く熱く頼まれちゃったからなのよねっ」
「‥‥コンちゃんって、コンフィダント? 腹心化までしてるPAのことですか」
「そ、それそれ~」
「スマホが手放せないってのは、オレたちの年代ならフツウかもしれないけど、蜷
源さんみたいな、よく言えばフレンドリーな人までPA依存なんですか?」
「それって、チョット確実に失礼かも~」
「‥‥すみませんね。でもチョット意外だったんで」
「てか私、悪く言うとガサツなカンジだからぁ、PAに頼らないと初対面で最悪に
なることも多いのよね、今さっきの蜷威クンみたく」
「‥‥そう、ですか‥‥」オモシロくなさそうだった魁の顔が、疑うべくもなきオ
モシロくない顔になる。
「そっ。まぁでも、頼ればうまくいくから、コンちゃんと呼べるまでの仲になっち
ゃうわけ~」




