第百七十四話
俊達がキリス星系に到着した時にはウェルストンの率いる艦隊と犯罪者の艦隊が激しく撃ち合いをしていた。
ウェルストン側の戦力を見るに演習に出していた以外にも艦を所有していたようで犯罪者の艦隊を包囲するように布陣していた。
「ウェルストン卿。加勢します」
俊はそう言って包囲の薄い箇所に率いる艦隊を配置する。
演習でやりあったとは言え、いきなり連携が取れるわけでもない。
それがわかっているのだろう。
ウェルストンの部下たちはその場を俊達に譲り味方の艦隊と合流していった。
「それにしても・・・」
俊はあまりの状況に絶句する。
犯罪者たちの率いる戦力があまりにも多い。
ウェルストンと接した感じ無能というわけではない。
だというのにこの数だ。
ハーリー星系や俊の開発している宙域にも大量の宇宙海賊がいたがキリス星系の犯罪者もそれに負けていない。
それに、行動を起こした犯罪者はほんの一部でまだまだステーションにはまだ犯罪者が残っているはずだ。
そんなことを考えている間に犯罪者たちの艦隊に動きがあった。
無秩序に応戦していた先程と違い戦力を中央に集めている。
大型の艦が外を固め突破を図る。
「これは・・・」
俊は犯罪者たちの意図を理解したがここからでは援護は難しい。
足の速い突撃艦のエルフィンドなら間に合うかもしれない。
だが、味方であるウェルストンの率いる艦隊が混乱する可能性もある。
それでは意味がない。
混乱すれば逆に味方の被害が広がる可能性があった。
中央の味方の艦隊に被害が広がる。
そこで、ウェルストン側の艦隊にも動きがあった。
中央をわざとあけ突破する犯罪者達を見逃すことにしたようだ。
ウェルストンの目的は犯罪者を減らすことだが、味方の被害を無視するわけにもいかなかったのだろう。
見逃された犯罪者達はどこかでまた犯罪を犯す可能性が高い。
俊はせめて少しでも数を減らそうとエルフィンドに指示を出し突破した犯罪者の艦隊に追撃をかける。
初動が遅れたので追撃で落とせた数は少なかったが、それでもこれでよしとするしかないだろう。
戦闘が落ち着きウェルストンが通信を送ってくる。
「俊殿。協力に感謝します」
「かなり被害が出たようですが、大丈夫ですか?」
「今、脱出した部下を回収させていますが人的被害は思ったより少なそうです」
その言葉に俊はほっとする。
艦隊にかなり被害が多かったので戦力としては痛いだろう。
失った艦はまた作ればいい。
だが、人命はそうはいかなかった。




