3. チョコレートはそのままで
ここまでが短編と同内容の改訂版となります。
凛翔が自室での作業を終え、いつもの定位置でゴロゴロしようと共用部屋に行けば、灯が何やらテーブルにフルーツやらマシュマロやらをセッティングしており、部屋中に甘い匂いを漂わせていた。
「電池式のフォンデュ鍋を頂いたので、チョコレートフォンデュを作ってみました。りーさんもおやつにどうですか?」
友人(本人曰く)が要らなくなったから〜、とワッフルメーカーや鯛焼き器、小型のたこ焼き器といい小型で家族で使うには小さいサイズの便利家電を度々、知り合いから押し付けられている。
一緒に暮らし始めてから度々こういったことがあり、体良くゴミ処理係にされているのではないかとさえ思う。
まあ、本人は「やったー、何か貰っちゃいました〜」といつも喜んでいるので口出しするのは野暮だろう。
てか電池式とかそんなのあるんだ、電力不足で電池交換のスパン短そう。使ってみてゴミだったんじゃ?
……というか、テーブルに見覚えのあるボトルを見つけうげっとなる。
「……それ、例のサイダー入れてないよね?」
「レシピには載ってないから入ってないけど、どうして?」
「いや、隠し味にブランデー混ぜたりとかは聞いたことがあるから…」
この人ならやりかねないと思いつつ、凛翔はホッとした。
本人が飲んでるだけなら良い。正直トラウマだ、二度と味わいたくない。
しかもアレ(・・)は、普通のスーパーに売ってない上にバラエティショップの罰ゲームコーナーとかに置いてあった代物だ。
何でそんなモノを好んで飲んでいるのか、永遠の謎である。
「うーん、でもチョコレートの味が勝ってしまうと思うから」
「いや、いい勝負になると思う……」
あの超劇的サイダーの味が隠れるか!
むしろ、納豆が勝利を納めるだろう。
「えっ、じゃあやってみ「ちょ!いやいや大丈夫だから!!今絶賛チョコ週間作ってるくらいそのまま食べるチョコにハマってるから、是非そのまま頂きます!」
余計なことを言わなければ良かった!
破茶滅茶な言い訳を勢いで言いきり、嫌な汗がダクダクと背中を伝う。
この時ばかりは、チョコレート命だった。
あの時は近年稀に見るくらいに全力を振り絞った気がすると、のちに別の住人に凛翔は語ることとなる。
お読みいただきありがとうございます。
こちらの作品を気に入っていただけましたら、旧版である短編と読み比べてみると面白いかもしれません。
ここまでで一旦完結とさせていただきます。
続きは気が向いたら、ぼちぼち書くかもしれません。




