結婚
結婚式当日。
朝から支度でバタバタだった。
花嫁と前日から会うのもダメらしく昨日からフィンに会ってない。
普通なら、前日は親子で過ごすのだろうが孤児の私には過ごす親はいない。
だから昨日は1日教会で過ごしお手伝いをした。
フィンの邸の玄関ホールや玄関に近い部屋には、結婚のお祝いの贈り物が沢山並べられていた。
階段や廊下も邸中を花で飾りお祝い一色だった。
ウェディングドレスを身にまとい、今日、私はフィンと結婚する。
「エスカ様、迎えの馬車が来ました。」
支度を整え、玄関の大階段のしたには、正装した騎士団長が立っていた。
私には一緒に歩く父親がいない為、陛下やフィンが騎士団長に頼んだらしい。
騎士団長に引かれ白い馬車に乗り込み、フィンの待つ大聖堂へ、馬車でいった。
大きな大聖堂の扉の前で、この先にフィンがいる。
動悸が止まらない。
そんな私を察したのか騎士団長が声をかけた。
「エスカ様、フィンはいい男です。今までご苦労されたでしょうが、フィンなら必ず幸せにします。どうか信じて下さい。」
「はい、フィンを信じてます。」
騎士団長の言葉に深呼吸をした。
「騎士団長様、ありがとうございます。今までよくして下さり感謝の言葉もありません。」
「…ここに立っているからでしょうか。なんだか父親になった気分です。」
騎士団長と微笑み、扉が音を立てて開き始めた。
音楽と共に、ヴァージンロードを歩く。
まるでフィンの元に、光が繋がっているようだった。
フィンの横に立ち、フィンがベールを上げる。
私の大好きなあの優しい笑顔だ
豊穣と加護の双神様の像の前で結婚の誓いをする。
フィンに逢えて本当に良かった。
この人と一生生きるのだ。
誓いが終わり大聖堂を出ると、フィンと馬車に乗る。
行きの馬車と違い、今度は屋根がない。
二人で皆に手を振りながら、馬車は進む。
「エスカと結婚出来るなんて夢のようだ。必ず幸せにする。」
「フィンに逢えて本当に良かったです。」
フィンが、抱き寄せ二人で寄り添って、歓声の中、なおも馬車は進んでいった。




