???の卵
※マリンとカンナを奴隷に戻すの忘れていました。【赦免書】をもらったところで、奴隷に戻りました。
俺達は【黒ランプ】に戻ってきた。
俺は、マリンが買った【???の卵】をどうするか考えていた。
もちろん、俺が捨ててと言えば、捨てるだろう。だが、マリンは悲しむし、飼ったペットを捨てるようでなんか嫌だった。
捨てるかどうかは、マリンに決めてもらおうと、マリンだけ呼び出して、
「マリン、少し聞いてくれ。マリンが落札した花の宝石は、ただの宝石ではなく、卵だ。しかもなんの卵かは、俺でも分からない。危険な生物の卵かもしれないし、逆に良い生物の卵かもしれない。どうするかは、マリンが決めてくれ。マリンが落札したんだからな。マリンがどんな選択をしても、それを俺は尊重する。」
カンナが聞くと、多分反対する。それに俺は同意してしまうのでマリンだけに話した。
その後、マリンは難しい顔をして、身につけている卵を触って考えていた。
しばらくすると、
「ご主人様、この事は皆にも話しましょう。これは、私の一存で決める事ではないです。ただ、ご主人様がいると、私を含めて皆、ご主人様の意見になるので、少し待ってください。そして、最後にご主人様の意見を教えてください。」
俺が、分かった。というと、マリンだけ部屋に入っていった。
俺は動物が好きだが、飼ったことはない。
それは、最後まで責任をとれるかが不安だったからだ。
途中で飽きたから、捨てるという選択は、周りに迷惑だし、なにより飼っていたペットが可哀想だ。
捨て犬、猫を見るたびに、一時の同情だけで飼う事はできない。と諦めていた。
リスクをとって持ってるか、安全を考えて買った責任で、ころ…処分するのか、どんな話になっているんだ。と珍しく神妙な顔になっていたと思う。
しばらく待っていると、中から「かわいい。」と三人の声が聞こえてきた。ハッ?…と思い急いでなかに入ると、驚くべき光景を見た。
卵がなくなり、なんかよく分からない生物が、エリーゼの腕のなかにいた。
虎柄の猫なんだが、背中に黒い羽根が生えていた。
確かにかわいい。だが、困った事に【神鑑定】しても弾いてしまうし、なにも分からないのに、MPが減った。
とりあえず、鑑定を諦めて、状況の説明をお願いした。
すると、マリンが謝って状況を話し始めた。
マリンが状況を説明してもらってる間、なんか、謎の生物がめっちゃ俺を威嚇してくるんだが…。他の三人には、凄くなついているのに…。
それでマリンの説明を纏めると、俺と話してる時に卵を触ったら、MPが減って、宝石が1つくすんでしまった。
それを見てマリンは、複合属性の魔術書に似てると思ったらしい。
それで、試しにカンナが触ると、また1つくすんだ。
その後、三人で相談して、卵を孵してみて、悪い生物や、モンスターだったら殺そうという意見になって、エリーゼが触ったら孵ったらしい。
俺に言わなかった理由は、カンナが教えてくれた。
生物を殺すのに、慣れていく事を気にしてるみたいだったから、そんな俺に相談出来なかったみたいだ。
そうだな。確かに気にしてた。
それに俺には、産まれたばかりの生物を殺す事が出来なかったかもしれないな…。敵対するならまだしも、なにもしてないのに殺す事が出来なかったと思う。
前の世界と違って、その辺はシビアなんだろう。まぁ、モンスターに前の世界の愛護団体みたいな事は、言ってられないんだろうな。
状況は分かって、どうするかも決まってるみたいだが、危険性も伝えておこう。
「説明ありがとう。この謎の生物は、俺の鑑定を弾く。一応聞くが、この子をどうするんだ?」
神妙な面持ちで、喋ると予想外の事を言われた。
「えっ…。ご主人様、この子鑑定できないんですか?二人はどう?」
はっ…。なんで?と思っていると、カンナとエリーは出来ると言っていた。
魔力を分けたとか、初めて見た相手だから、お母さんって思ってるのか?多分、そんな感じなのかもな。
それで謎の生物の事を聞いてみると、ステータスの値は分かるが、種族が分からなかった。なにか言ってるが、なんて言っているのかが分からなかった。
どう言えばいいのか…。そうだな、日本語で喋っているのに、種族の部分だけ、自分の知らない外国語になる感じだ。
マリン達も初めて聞く種族らしい。ちなみに性別はないみたいだ。
まぁ、モンスターではないだろう。モンスターは人を見ると、必ず襲うみたいだからな。動物とか、なんかなんだろう。
「結局、どうするんだ?」
まぁ、結果は分かっているが聞いた。
三人とも飼いたいと言ったので、飼うことになった。
それから、名前を決める事になった。
俺は【クゥト】、カンナは【ポチ】、エリーゼは【ウィンガーキャット】、マリンは、マリンの名誉の為に言わない。カンナの教えて、マリンのを教えない事で察してくれ。
俺の【クゥト】は、キャットのC、ウィングのW、タイガーのTを合わせて、CWTでクゥトだ。
俺は、英語が苦手なので、これでクゥトと読むかは知らないが、俺はクゥトと読んだ。
それから、誰の名前が気に入ったか、謎の生物に決めてもらった。謎の生物は頭が良く、俺達の言うことを理解してるみたいだった。
四人並んで、呼んで欲しい名前を考えた人に飛び込む。という方法にした。
謎の生物は、俺の前に来たが、飛び込んでこない。
多分、名前は俺のが良いが、俺に飛び込みたくないのだろう。
すると、隣にいたマリンが謎の生物を抱こうと近づいた瞬間、急いで俺に飛び込んできた。
さすがに、マリンの名前は嫌だったようだ。
本当に理解しているみたいだな。
マリンが残念そうに、「…今からクゥトですね。」と言って、皆が同意した後、すぐに俺を引っ掻いて離れられたが…。
これで謎の生物の名前は、クゥトになった。
クゥトと名付け親になったので、鑑定してみたが、それでも弾かれた。その際、クゥトに笑われた気がした。
それから、女将さんに報告した。
「分かった。だが、あんた達はどうやって帰るんだい?その子は移装置は使えないよ。」
そうだった。転移装置は人しか使えなかった…。というか、本当にクゥトはなんなんだろう。
それより、現実的な事を聞こう。
「ここから、転移装置使わずにどのくらいで、【アナライ】に着きますか?」
「そうだね…。モン車使ったら1ヶ月、歩いたら半年くらいかね。」
モン車とは、陸を走る客船みたいなものだ。【ブライゼン】は、早朝、昼、夜、夜中に出発する。空を飛ぶものはなかった。
「モン車使っても1ヶ月ですか…。結構遠いですね…。」
「まぁね。転移装置がないと会議なんか来れないよ。【アナライ】までモン車は来てないからね。来ても困る事が増えるだろうから、私はどっちでも良いけどね。」
「そうですね。…門番の仕事は大丈夫ですか?」
「出来れば一緒に帰って、すぐに迷宮討伐の準備をしたかったんだが、その事は別に気にしなくていいよ。」
師匠…なんかすみません。凄く決意して言ってくれたのに…。
そういえば師匠がいない。
「すみません。そういえば、師匠はどこかにいったんですか?」
「あぁ、ボルドーは今、迷宮にいるよ。ここの迷宮にはレベルが高いところもあるからね。なんか、最後の仕上げだ。って言って気合い入れて出ていったよ。まぁ、ボルドーは帰ったら討伐に行く気満々だからね…。」
マジだ…。師匠マジだよ。
うわーっ、マジで言いにくいんだけど…。
師匠に会う前に出ていきたい…。
だが、いくらなんでもそれはないな…。
「ジンは相変わらず分かりやすいね。でも大丈夫だ。そもそもジン達がいなきゃ、挑戦も出来なかったんだ。ボルドーも分かってくれるだろう。」
そうなんだけど、そうじゃないんだよな。女将さん…。
あの時の師匠の決意を聞いているからなんです。
一人の男や、カンナの父親として、格好良く決意を言っていた。それで、多分あの時、そんな事を言う自分に酔っていたと思う。
俺も男だから、男として決意を言ったら、自分に酔いたくなる気持ちが分かる。
それでいざ蓋を開けると、挑戦も出来ないです。とは言えない…。が、言わないといけない…。
師匠の決意を女将さんや、パーティーメンバーに言うのも、なんか違うし…。
師匠どんな顔をするんだろう…。それで俺はどんな顔をすればいいんだ。ダメだけど、マジで逃げたい…。
そうだ。ここはプラスに考えよう。
師匠の死亡フラグを折るためと。そうだ。俺は死亡フラグを折ったんだ。と。
…違う。折ったのクゥトじゃん。
産まれただけで師匠の命を救ったぞ。俺は救ってもらう事ばかりで、師匠を一度も救った事ないのに…。
なんか…悲しいな。
とりあえず、この事は横に置いといて、女将さんや、パーティーメンバーと、どういう道順で帰るかの話と、モン車の手配等、旅の準備をした。
準備が終わり、5人で食事をしながら、師匠の帰りを待った。
そして、その時がやって来た。
師匠が笑顔で帰ってきて、帰れない事を伝えると、一瞬固まって、「…そ、そうか。」とだけ言って、部屋から出て行った。
師匠の顔からいろんな感情が入り乱れていた。あんな顔は初めて見た。
あんな師匠を、もう見たくなかったという想いと、早く挑戦させてあげないといけない。と俺は思ったので、もう夜だったが、カンナの反対を押しきり、【ブライゼン】を出る事にした。
良かった。モン車のチケット、1ヶ月間乗り放題にしていて…。
普通なら片道分でいいが、俺達の旅が普通にいく訳がない。想定外になる事を見据えて、乗り放題にしていたのだ。早速役に立った。
それにもしかしたら、乗り放題にしといたら、トラブル無く普通に着くかもしれない。という願掛けもあった。
今から出れば十分間に合うはずだ。モン車の停留所に向かい、モン車に乗って【ブライゼン】を出た。
これから、いろんな事があるだろうが、この四人なら、「ガプッ」痛ってー。この猫もどき噛みやがった。
…この四人と一匹とならどんな事が起きようと大丈夫だろう。
そんな気がする。
お読み頂きありがとうございます。
とりあえず、これで完結です。




