表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/62

地獄の終わり~ジゴクのハジマリ

 ~あらすじ~

 酷いイジメをうけていたが両親が気付いた。


 ※カタカナは、仁にとって、大した事なかったり、勘違いだったりします。

 三人称です。

 

 仁の体を見た陸は、酷く憤った。それを聞いた奏海は一晩中、仁に気付かれないように泣いた。


 明くる日、両親は話しあって仕事を辞めて、陸の友達がいる東京に引っ越しする事にした。


 陸は最初、訴えようと思ったが、冷静に話しあって仁が矢面にたつことを嫌い、泣き寝入りだがそれをやめた。


 イジメの問題はニュースでよくみるが、悲しいことにほとんどが被害者(子供)が、どうにも出来なくなってからでしかニュースにならない。きっと泣き寝入りしている被害者(子供や親族)は沢山いる…。


 閑話休題。


 仁は引きこもって、3ヶ月くらい、死ぬ(いなくなる)事ばかり考えていたが、死ぬ方法などがわからず自殺できないでいた。


 そんな事を考えている時に、引っ越しをした。


 陸の就職が決まっていないので、日雇いの仕事をしながら就職活動をしていた。


 その頃、リーマンショックの影響でなかなか決まらず、貯金と家を売ったお金で生活していたので、年季の入ったアパートに住んでいた。


 生活が落ち着くと奏海は、

「なんか若い頃を思いだすね」と陸と影ながらイチャイチャしていた。仁は知らなかったが…


 閑話休題。


 アパートは前の家より狭く、仁の部屋はなかった。

 そのため、最初はぎこちない会話だったが、家族と話す事が多くなり、自分()を両親が全然嫌ってない事がわかり、佐藤家全員で泣いたり、加害者に憤ったりしていた。


 両親と普通に話せるようになる頃になると、陸の就職が決まり、アパートから引っ越す事も出来たが、奏海が反対したのでそのままだった。


 仁は6年生になった。


 都立の学校に転校したのだが、体の傷はなくなったが心の傷は深く残っていて、他人が怖くなっていた。

 保健室登校で学校に通い、休日はカウンセリングにいく生活を送っていた。


 最初は怖かった、保健室の先生とカウンセリングの先生に話しをするようになり、(ども)りながらも話はできていた。


 そんな生活をしていて、少しずつであるが、自分に自信がつき、保険室の先生とカウンセラーには、吃って話す事も少なくなってきた。


 小学校を卒業して、中学生になったが、同級生くらいの子はまだ怖く、中学校でも保健室登校だった。


 それで1ヶ月が過ぎた頃、保健室に生徒二人がサボりに来て、ネット小説の話をしていた。

 それを聞いて、面白そうと思い、ネット小説をみるようになった。


 スマホは、中学校入学と同時に渡されたが、両親と連絡する以外使っていなかった。


 この一年間で、保健室でネット小説の話をする友達もでき、中学2年生から普通に登校する事になった。


 仁は、身長は低いが(成長期にイジメであまり食べてなかったため)、顔が良いのと、私立の小学校に通っていたので頭も良く、陸の影響で優しい性格だったので、すぐに(特に女子から)受け入れられ、帰宅部だが普通の学生生活を送っていた。


 夏休みの終わりに、カウンセリングに行かなくても、大丈夫になり、奏海は泣いて喜んだ。

 陸はジンや奏海に隠れて一人で泣いた。


 12月の休日に、クリスマス前だったので、()と一緒に買い物に出かけていた。


 その頃に、日本人初の9秒台ということで、ニュースになっていて、また短距離走をしたくなっていた。クラスの友達にも誘われていた。


 その人が使っているスパイクの値段をみて、ビックリ(買えない)したりして楽しんでいた。


 陸が飲み物を買いにいって、(父さん遅いなー)と思いながら1人で休憩していると、知らない女がいきなり包丁を持って仁に襲いかかり、女が馬乗りの状態で


「あんたがいるから、陸さんは幸せになれないのよ!!」


 そう言いながら包丁を振り上げ、仁の胸めがけて振り下ろした。

 仁は目を瞑り痛みを耐えようとした。だが、痛みが来ない……。


「そんな…。陸さん……。」


 その女の声で仁が恐る恐る目を開けると、陸がいた…。頭にないものがある状態で…。


「うわーっと」と叫びながら女は走ってどこかにいった。


「父さん…。」と言っても返事がない…。


 騒ぎを聞きつけ人が集まり119番等をして事態を収拾しようとする人もいたが、スマホを持って撮影する人もいた。


 前者は、人として当たり前だが立派だ。

 後者、いなくなれば良いのに。


 閑話休題。  


 人が沢山集まってパニックになり、現実を受け止められずに仁は意識を失った。

 女の「あんたが━━のよ」という言葉を胸に残して……。


 陸は即死だった…。


 その後、イカれた女は自宅で自殺していた。


 女は陸が勤める会社の事務員だった。

 少し残念な顔の持ち主で、妄想癖のある孤児だった。男に優しくされた経験がなかった(覚えてなかった)


 陸も同じ孤児だったのと、女性に凄く甘かったので優しく、いろいろな相談を受けていた。

 その時に自分の失敗談や仁の話をしてしまった。


 仁の事を聞いて、(陸さんは私の事が好きなのに、その子がいるから私と結ばれないのね。可哀想に。)と考えるようになった。


 もちろん陸は、奏海とのノロケ話もしていたが、(というより半分以上はノロケ話だった)聞いてなかったか、自分に都合が良いように受け取った。


 それで「あなたがいるから、(私と結ばれず)陸さんは幸せになれないのよ!!」という意味の言葉だったが、目撃者は違う意味に受けとった。


 警察が目撃者や陸の同僚に事情聴取したときに、「あなたが━━のよ!!」と女が言っていたことや「会社が終わって、よく2人でよく会っていた」などの憶測で、証言した。


 警察は、2人は『親しかった』と思い、警察は報道官に、それらをそのまま流した。


 この事は全国的ニュースになり、「痴情のもつれによる犯行」と報道された。


 マスコミも目撃者や同僚に取材をして、そんな(『親しかった』)事しか流されなかった。


 コメンテーターなどは不倫はどうの、こうのと陸が不倫していた事を前提に話をしていた。


 全国ニュースになったので、陸の葬式にはデリカシーをどこかに落とした、マスコミが多数来て奏海に取材をした。


 奏海は取材をうけ「夫から彼女の事を聞いていました。夫は不倫なんてしていません!!」と不倫を否定したが、そんな事はなかったかのようにカットされ、他のところばかりテレビに流れた。


 ネットでは、加害者が死んでいて孤児だったので、仁に矛先が向いた。


 前の学校でイジメてた人達、主に、禅のファンクラブだった人や腰巾着、仁の同級生達が、仁はいかに悪い奴か、ある事ない事ネットに書き込んで、仁がやらかした運動会の映像も拡散されていった。


 それを信じたバカなコメンテーターは、「ネットの事は信用できません」と以前話していたのに、仁は問題ある子供みたいに話していた。

 それには、奏海は激怒し、テレビ局に猛抗議して放送があった翌日に、そのバカなコメンテーターは謝罪していた。


 そんな時に仁は都立病院で目を覚まし、奏海は泣いて陸の(死んだこと)を話した。


 仁は最初、奏海()がなにを言っているのかがわからなかった。

 あの時(事件)の記憶がなかったのだ。


 ただ、()が死んだことだけ理解して、泣くのを我慢して「女性を泣かすなって言ってたのに、父さんが泣かしてるじゃないか」と言ったり、奏海の話を聞いてあげたりして、奏海を慰めていた。


 奏海が落ちつき、仁に少し遅れたクリスマスプレゼントを渡した。

 あのビックリしたスパイクだった。陸が飲み物を買いにいった時に、こっそり購入した物だった…。


 しばらくしてトイレに行き、トイレで1人声を我慢して泣いた…。


 翌日からいろいろな検査をしているうちに、体に異常はなかったが事件の事を思いだし、奏海以外の女性が怖くなっていた。


 カウンセリングが必要だが以前お世話になったカウンセラーは女性だった為、違う病院を紹介してもらい退院する事になった。


 仁が退院する頃は、日下部のニュースがワイドショーを賑わせ、陸の事件は、風化していた為に、マスコミはいなくなっていた。


 閑話休題。


 退院しても学校に行けなくて、紹介された心療内科の病院に通っていた。


 遠藤 玄二という人のカウンセリングを受けていた。バツイチ子持ち(子供は元妻が連れていった)の先生で、大柄で熊みたいな人だった。


 病院が少し遠かったので、近くのアパートに引っ越した。


 女性と話す事が出来るまで、2ヶ月ほどかかり、1月にあった修学旅行に行けなくて残念だったが、学校に行けるようになった。


 クラスに入ると、微妙な雰囲気で実際は気にしていたが、気にしていない風を装って、自分の席に着いた。


 いつもは友達が来て、小説など話をするのだが、誰も寄ってこない。


 仁は事件の影響かなと思っていた。


 微妙な雰囲気になっていたのは事件のこともあるが、修学旅行で学校のアイドル(実際、人気若手女優で次回の朝のドラマで、最年少主演が決まっている)の、(かえで)絵莉(えり)が修学旅行で仁の事が好きだと、女友達に告白したのだ。


 その事を、絵莉のファンが聞いてしまい、修学旅行中に、同学年全員に知れ渡り、修学旅行から帰って1週間で学校中に知れ渡ってしまった。


 絵莉を好きな人は沢山いる。男子は勿論の事、女子にも性的に好きな人がいる。なかには、男子アイドルグループのメンバーもいた。


 そのなかには、その事(絵莉が仁の事が好き)が気に入らない人も沢山いた。


 やはり人は自分の都合に良い事は信じる生き物で、ネットのデマを信じ正義感で仁をイジメ初めた。


 仁の地獄の第二章の始まりだった?

 お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ