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地獄の始まり

 ※このページはイジメ表現があります。苦手な方は、飛ばして読んでください。

 全部、三人称にしました。

 仁は、運動会を途中で抜けて、体を洗い部屋に入ると、不思議な感覚のせいか、すぐ眠った。


 そして、2日半振りに目が覚めた。振り替え休日が、終わっていた。


 この、2日間、両親や真理姉が何度も来たが、仁が全く応答しなかったので、仁が引きこもったんだと思い、今はそっとしておこう。と無理矢理起こす事はなかった。


 振替休日が終わり、仁が部屋から出てきた。

 あの事で真理姉が、変わってしまうのではないかとビクビク、ドキドキしていたのだが、いつものように真理が迎えにきて、仁は安心した。仁以上に両親と真理は、もっと安心した。


 登校中、真理が仁を気づかって、

「仁、あまり気にしちゃダメよ」


 仁は、ビクビクしていた事を、見透かされたみたいで恥ずかしく


「ぜっ、全然気にしてないし…」

 強がった。


 真理は強がっている事には、気づいたが、

「そう…。なら良いんだけど。ちなみに運動会は優勝したわよっ!!最後に優勝するなんてやっぱり私ってもってるわ」

 明るいニュースを言って、誤魔化した。


「一応俺も頑張ったんだけど……」


「そうね。あんたも少しは頑張ったわね」


「リレーで勝ったから優勝したんじゃないか……。ウ○コを漏らしてまで頑張ったのに…。」と小さく呟いた


「仁、なにか言った?」


「なっ、何でもないよ。」


「そう…ならいいわよ。」


 仁の最後の呟きは真理姉になんて言ったか聞こえなかったが、その呟きを聞いていた人がいた……。


 ちゃんと聞こえれば、別の結末があったのかもしれないが、小さく呟いただけだったので、中途半端にしか聞きとれなかった。


 その後、仁は同級生と会い、いつものように、どうでもいい会話をしながら学校に着いた。


 その日の昼休みに、あの後、禅になにがあったかを聞いた仁は、申し訳ない気持ちになり、謝ろうと禅君のクラスに行ったが休みであった。


 運動会が終わって、2週間が過ぎるまではあの事で、多少イジららることはあっても、普通に学校に行っていた。


 仁は、考え過ぎてただけか……。とホッとしていた。


 2週間が過ぎ、未だに禅君は休んでいた。

 (ただ単に、禅が転けた拍子に肘の骨にヒビが入ってしまったので、大事をとって休む事にしたのだが、一家は自分の可愛い孫、

息子が笑われて少し腹をたてて、あえて連絡をしなかったのだ。)


 仁の呟きを聞いた人は、禅君のクラスメートで、ファンクラブの1人であった。


 その子は、

「禅君が休んでいるのに、原因を作った(コイツ)がのほほんと、学校に来てるなんて許せない!!」

 と、正義感が湧いてきた。


 その変な正義感でファンクラブに、仁の呟きは中途半端にしか、聞こえなかったので拾った言葉を悪くなるように、歪曲した話を考えそれをファンクラブに話した。


 ファンクラブの人達も、仁が普通に学校に来ている事が、許せなかった。

 だから、変な話を信じ、仁のネガティブキャンペーンが始まった。


 なんでも、「抜かされそうになったから、わざとウ○コを漏らして禅を転ばせた。」と、なんともバカげた噂で、初めはファンクラブと、ちょっと頭がおかしい人以外は誰も信じなかった。


 禅が学校に来なくなって、1ヶ月が過ぎてしまった。先生や校長先生が連絡しても、お手伝いさんしか繋がらなく、「坊っちゃんは療養中です」しか言わない。


 療養中ってどこが悪いんだ……。もしかしたら、笑われたショックで、精神的に参っているのかも……。それじゃあ私と自分の子供が原因になってしまわないかと考え、大半の生徒の保護者が焦った。


 保護者だけじゃなく、大半の先生も焦った。


 なぜなら、日下部家を敵にまわすとこの市では生きていけない。

 また、先生も名誉理事長(禅君の祖父)禅君の母の父(文科省の事務次官)の顔がちらついてみえる……。


 そんな時に、仁の噂を聞いていた事を、思い出した大人達は自分達や、自分達の家族を守る為に、噂を真実のようにして、(人身御供)を矢面に立たせて、自分の子供にも、仁には関わらないようにした。


 このヘンテコな話が真実のようになってしまった瞬間であった。

 噂も、尾ひれがついたり、ないことが、あることになったりしていた。


 それを日下部家は、そんなバカな。と思ったが、禅の母親が万が一の事を考え、学校に行く事を止めて、有名中学校の受験の準備を前倒しで進める事になり、禅が小学校に来ることはなくなった。


 人間は人間を痛めつける事は、一部のイカれた人以外嫌悪感を感じるのだが、そこに正義があると進んでやるらしく、学校ぐるみでイジメをやるようになった。


 4年生の、残りの4ヶ月間は真理姉や、庇ってくれる先生もいたので耐えられた。

 イジメは無視とか、物を隠す程度のイジメであった。


 その為、仁は、親には内緒にしてほしい、と真理姉や先生に頼んだ。

 病弱の母親に心配かけたくなかったのと、恥ずかしくて自分がイジメられてるといえなかった。(どちらからも両親に話してバレていた。なぜなら、陸が有休をとって、他県に面接に行っていた。)


 この頃に仁は、陸上部も辞めた……。両親は、なにもいわなかった。


 本当の地獄の始まりは5年生の春からだ。


 4年生の時に、庇ってくれてた真理姉は卒業し、庇っていた先生は全員、校長の忖度で学校を去っていった。


 庇っていた先生が去ってしまったので、仁を守る事は悪だと、大半の生徒が子供ながらに、子供だからこそ思ってしまった。


 仁は悪で、それを退()()する自分達は正義だと…。


 ウ○コ、バイ菌扱いは、学校にいる人全てのデフォルトで、禅の腰巾着達(6年生)は「禅の(かたき)」と思い、仁をサンドバッグにして、悪を退治する自分に酔っていた。


 仁の同級生からは、仁の机は、ゴミ箱の前にあり、他の机から離れていた。仁の机にはひどい落書き、机のなかやロッカー、ランドセルはゴミ箱扱いになっていた。


 そんな状態でも先生は、見て見ぬふり。だけじゃなく、生徒と一緒にいじめていた。


 靴やシューズは、濡らされたり、画ビョウを仕込む事があるので、下駄箱ではなく隠し場所を作って、そこに入れていたが、隠し場所が見つかっては、そうされた。


 そんな毎日を過ごしていくと、仁は本当に自分は悪ではないかと思うようになっていた。


 それが、そうだと信じてしまう事になる。


 いつものように腰巾着に、サンドバッグされている時に、

 「お前のせいで(ボコッ)お前の父親(ボコッ)下請け工場(バコッ)の社員になったんだよ」

 と言われて、それが事実だと知ってしまった。


 その夜、陸が久しぶりに早く帰ってきて、風呂に入ろうとして脱衣場に仁がいた。


 仁の体に無数のアザがあり、言葉を失った。


 まさか、ここまで酷いイジメだと思わず、見ていられなくなり、抱きしめてあげたかったが、痛そうにしている息子を思って、抱きしめる事ができず、そして言葉もみつからず、そんな自分に情けなくなり、涙を浮かべ脱衣場から逃げてしまった。


 逃げてしまった陸を見て、仁は、

「大好きな父さんに迷惑をかけて、嫌われた。もしかしたら母さんにも迷惑をかけてるかもしれない…。今は前と変わらず、優しく大好きだが嫌われるかもしれない…。俺は本当に悪人でバイ菌なんだ。」


 そんな風に考えてしまった。

 その日から、仁は部屋に引きこもった。


 仁の思うように両親も、大変な目にあっていた。陸は今年こそは、昇進だと思っていたのに左遷され、慣れない仕事に手こずり、毎日のようにサービス残業の日々で、休日もろくとれなかった(その為転職活動ができなかった)が、仁に気付かれないようにしていたので、腰巾着に言われるまで、仁は気付いていなかった。


 奏海の方は、PTAの集まりでいつもは無視されるのだが、誰もがやりたくない役割があると「仁君の現状を変えるため」と言われた。

 それをいわれると食欲がなく、元気がなくなった息子…。学校のことを聞くと、前は笑顔で話す息子が苦笑いして、明らかに嘘を話す息子のために、母親としてはやるしかない。それで少しでも仁のためになるならと…。

 面倒臭い役割をこなすのに、仁に向ける時間が、少なくなってしまった。


 もちろん仁の現状が良くなることもなく、ただ単に利用されていただけだったのだが…。


 4年生の頃は、仁を助けてくれてた真理や先生がいたので、両親は仁の学校での事を知ることができたが、今の現状(地獄)を仁はもちろん、教えてくれる人がいなかったので、現状を知ることができなかった。


 仁が引きこもったのは、運動会が終わって、もうすぐ1年の5年生の秋頃だった…。

 読んで頂きありがとうございます。

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