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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第一章 オーブ編

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19.束の間の休息

 2つ目のオーブへの魔力の注入も無事終わり、数日かけて王都・フォースに帰ってきた。

 カレン、アニスの二人とも、今日でお別れだ。


「「嫌です蓮華お姉様ぁぁぁー!!」」


 と言って離れないのをどうしようか。

 ほら、ポータルの前で二人がそんな事言ってるから、通行人の人達が驚いてるよ。

 ん?驚いてる?

 そこへ、もう一人のインペリアルナイトであるセシルさんがやってきた。


「お勤めを無事終えられた事、まずは感謝を、蓮華様」


 恭しく礼をする。

 こちらも礼を返す。


「いえ。カレンとアニスの助けがあればこそですよ」


 と笑顔で返す。

 その言葉に驚いた様子のセシルさん。


「蓮華様は、不思議な方ですね。カレン卿にアニス卿が呼び捨てを許容するなんて、今まではあり得ませんでした」


 そんな事を言ってくる。

 そんな事言われても、なんでかこうなっただけだしなぁと。


「ほらカレン、アニス、そろそろ離れて。私帰らないといけないし」


「「嫌です蓮華お姉様!」」


 ……これだもんなぁ。

 どうすれば良いんだ。

 そんな時に、セシルさんが助け船を出してくれた。


「カレン卿にアニス卿、蓮華様はまだ、お勤めがあるのだ。我儘を言うものではない」


 その言葉に、うっとなった二人は、渋々私から離れる。


「ありがとうセシルさん」


「いえ。ですが、こちらとしても驚いているのです。まさかカレン卿にアニス卿が、女性である貴女にここまで心酔するとは、と」


「あぁー……」


 言葉を濁す。

 だって私も驚いてるからね。

 そんな事を言っていたら、二人がとんでもない事を言い出す。


「「私達は蓮華お姉様の物ですから」」


 その言葉に凍りつく私とセシルさん。

 周りで見守っていた人達も、信じられないモノを見た顔をしているのが分かる。

 氷からいち早く溶けた私は叫ぶ。


「だから、誤解されるような事を言うなと言ってるでしょー!?」


 それはもう全力で。

 セシルさんが少し笑っている。


「ふふ、まさかカレン卿にアニス卿がそこまで……蓮華様、いったいどんなマジックを使ったんです?」


 なんて、心底興味深そうに聞いてくる。


「さ、さぁ。私もなんでこうなったのかさっぱり……」


 と素直に答えたんだけど。


「成程、無自覚なのですね。もしかしたら蓮華様は、天性の人たらしなのかもしれませんね」


 なんて笑顔で言ってくる。

 いやいや、私はモテた事ありませんよ。

 モテてたら独身でいませんって。

 考えてて悲しくなってきた。


「蓮華お姉様、本当に行ってしまわれるのですか?」


 なんて悲しそうな顔で言ってくるカレン。

 いや、そりゃね……。


「うん、まだもう一つのオーブも行かなきゃならないし、もう半分を行ってくれてる奴が遅かったら、手伝うつもりだし。まぁ、あいつの事だから大丈夫だとは思うんだけどね」


 と苦笑しながら言ったら。


「「蓮華お姉様、あいつとは誰ですか」」


 なんて姉妹揃ってくいついてきた。

 えぇぇ……そこにくいつくの。


「ほら、二人は聞いてるんじゃない?私ともう一人、オーブの事で旅立った人が居るのを」


 その言葉に。


「「あぁ!」」


 と納得したようだった。

 なんでこの二人、私が絡むとアホになってるんですかね……。

 それを見ていたセシルさんが凄い笑っている。


「ははっ……蓮華様といるカレン卿にアニス卿はとても楽しそうだ。願わくば、蓮華様にはこの国に居て貰いたい程だ」


 なんて言ってきた。

 私は苦笑する。


「しかし、それが今はできないのは重々承知しております。ですから……また、いらしてください。我々は蓮華様をいつでも歓迎いたします」


 そう、言ってくれた。


「はい、ありがとうございます」


 と笑顔で答えておいた。

 そうしたら、カレンが私を真剣に見つめてくる。


「蓮華お姉様、私、絶対に蓮華お姉様に追いついて見せます。妹と一緒に。だから……待っていてください。必ず……蓮華お姉様のお役に立てるように、力をつけておきます」


 なんて、決意を秘めた眼で言われたら。


「うん、楽しみにしてるね」


 と、言うしかないじゃないか。

 その言葉に。


「「はいっ!蓮華お姉様!」


 とびきりの笑顔で言ってくれたのは、言うまでもない。


 二人とセシルさんを背に、ポータルを起動する。


「またね」


 そう一言残して。

 泉へついた。

 一瞬すぎて、なんだかなぁという気持ちになる。

 家へと歩く。

 外からだが、なんだか声が聞こえる。

 もしかしてと思い扉を開ける。


「ただいまー」


「レンちゃぁぁぁぁんっ!!」


 なんて言いながら母さんが抱きついてきた。

 エスパーかこの人は。


「か、母さん、相変わらず苦しいから!」


 でも離れない。


「だって、だってぇ。レンちゃんが全然帰ってこないから、心配で心配でぇぇぇ……」


 全然って、まぁ確かに前回より長かったけど、遠かったんだから仕方ないじゃないか。


「ああ蓮華、無事で良かった。私ももう少し遅ければ、遺跡へ向かう所でしたよ」


 と兄さんがアーネストを抱えながら言ってきた。

 なにしてんだこの人。


「お、おぅ蓮華。兄貴をなんとかしてくれ。さっきから抱きついて離れないんだよ」


 あぁ……。


「私もその洗礼は受けたから、諦めろアーネスト……」


 と今もなお母さんに抱きつかれてる私が言うのを見て、アーネストががっくりと項垂れる。

 でも、ふっと顔を上げて。


「「ぷっ……あははははっ!」」


 なんて、二人してお互いを見て笑ってしまう。

 それを見た母さんと兄さんも、つられて笑う。

 あぁ、私はこの三人が大好きだ。

 それから居間へ入って、アーネストと情報交換をしあう。

 母さんと兄さんも、横に座ってニコニコしながら話を聞いている。


「なんでっ……なんでだっ!蓮華にばっかり女の子で、俺は野郎共ばっかりとかイジメかっ!」


 と叫んだ。


「そう言われても……」


 なんとも言えない私だった。

 アーネストは、聞けば最初の1つ目は私より遅かったが、2つ目が私より少し早かったみたいだ。

 私の少し前に帰ってきて、今に至るというわけだ。


「まぁ何にしても、あと1つずつだし。まだ時間もかなり残ってるし、ちょっと休息してから、次は行かないかアーネスト。せっかく会えたんだし」


 その提案に。


「おぅ、そーだな。俺もそうしないかって言うつもりだったんだ」


 と乗ってくるアーネスト。

 その言葉に、明らかに嬉しそうにする人達が二人。

 うん、何も言わないよ。

 アーネストも気付いてるけど、触れない。

 だって言ったら、先が分かるから。

 話題を変えるように、思い出したので伝える。


「そいえば、2つ目のオーブの所に、魔神・ゼクンドゥスってのと会ったんだけどさ」


 その言葉に、母さんと兄さんの表情が変わったのを、私は見逃さなかった。

 アーネストは、魔神?ってなんだそれって感じだ。


「私も種族については知らなかったんだけど、強かったよ。ちょっと本気出しちゃったよ」


「蓮華が本気出したのかよ。そいつはやべーな……」


 アーネストが深刻そうな顔で言う。


「蓮華、帰ってこれたという事は、見逃してもらえたのですか?」


 兄さんがそんな事を言う。


「ううん、ちゃんと倒したよ?マルコゲにして」


 その言葉に驚いた顔をした兄さんだったけど。


「……成程。マーガリン師匠、アーネスト、蓮華。私は少し出ます。すぐに帰ってきますから、心配しないでくださいね」


 と言って、外に出てしまった。

 なんだろう、兄さんが外に出るなんて珍しいな。

 母さんを見れば、真剣な表情をしている。

 どうしたんだろう。と思っていたら


「アーちゃん、レンちゃん。少しの間ゆっくりするんだよね?なら、まずはお風呂に入ってらっしゃい。その間に、おいしいご飯を用意してあげるからね」


 なんて言葉に。


「「はいっ!」」


 アーネストと揃って言ったのは言うまでもない。



-ロキ視点-



 ここですね。

 アーネストと蓮華が住む場所とは遠く離れた地、魔界。

 その更に奥地。

 魔界に住む者でも、滅多に近寄らない僻地に来ていた。


「居るんでしょうゼクス。入りますよ」


 扉を開け、中に入る。

 そこには、グラスを傾け、上質と見て取れるワインを飲みながら、読書に耽る男がいた。

 魔神・ゼクンドゥスだ。


「おお、ロキではないか。どうした、お前ほどの神が、俺を尋ねに来てくれたのか?」


 と上機嫌に答える。

 その理由は察しているが、それを思い通りにしてやるつもりはない。

 だからこそ、私は来たのだから。


「ゼクス、少し前に少女と戦いましたね?」


 その言葉に、僅かに動揺したのを私は見逃さない。


「あぁ、答えなくて構いませんよ。知っていますのでね。それについて、一言だけ言いに来たのですよ」


ゼクスは黙って聞いている。


「もし、彼女を殺したら……お前を殺す、ゼクス」


 と、凄まじい魔力と殺気を込めて言い放つ。

 それには驚いたのか、慌てて言う。


「な、何故だ。お前ほどの神が、たった一人の人間の女に、そこまで入れ込むというのか!?」


 フン、と鼻を鳴らす。


「アレは人間ではありませんよ。だが、神でも無い。私の興味対象です。それを消す事は、この私が許さない。貴方は顔が広い、他の魔神達にも知らせておきなさい」


 ゴクリ、と唾を飲み込むのが見える。


「わ、分かった。俺もロキを敵に回したくはない。だが、遊ぶのは構わんだろう?」


 あまり束縛しすぎるのも良い結果にはならないか。

 そう判断する。


「良いでしょう、そこまで貴方達を制限するつもりはありませんから」


 と答え、その場を後にした。



-ロキ視点・了-



 お風呂から上がって、食事をしている時に兄さんが帰ってきた。


「お帰りなさい兄さん」


「お帰り兄貴!」


 二人で笑顔で迎える。

 そんな私達に。


「ああ、ただいまアーネスト、蓮華」


 と笑顔で言ってくれた。

 相変わらずのイケメンである。

 この人に愛の告白をされて、断れる女性なんて少ないと思う。


「あ、お帰りロキー。無事に終わった?」


 なんてよく分からない事を母さんが言っている。


「ええ、大丈夫ですよマーガリン師匠」


 と兄さんが答えた。


「そっか、流石ね」


 と母さんと兄さんが答えるのを、不思議な感じで私達は眺めていた。

 そして食事を終えて。


「なぁ蓮華、ちょっと良いか?」


 なんてアーネストが言ってきたので。

 ぐでーっとソファーで横になっている私は言う。


「めんどくさいからパスー」


 と。


「なんでだよ!めっちゃ暇そうだろ!付き合えよ!」


 なんて言ってくる。


「アーちゃん、レンちゃんが可愛いからって、無理やり付き合えはダメだよー?」


 なんて母さんが悪乗りする。


「ちっがーう!俺は蓮華になんか全っ然欲情しませんから!まだ母さんのが魅力的だから!」


 と全力で答えてる。

 母さんのが魅力的なのは認めるけどね。


「言ったなアーネスト!?」


 と悪乗りに便乗する私。


「ああ言ったね!真実だからな!」


「オーケィ、表に出ろアーネスト。一回ボコボコにしてやる!」


「望むところだ!」


「ボコボコにされるのを望むなんて、アーネストったらMだったのか」


「ちげぇよ!?分かってて言ってるだろ蓮華!?」


「もちろん」


「くぅっ……!」


っていう漫才みたいな話をしながら外へ出る私達を、母さんと兄さんは笑って見ていた。




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