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「ふぁーすとこんたくと」

episode2

「ふぁーすとこんたくと」


午後6時15分・・・・・

いや、20分ぐらいだろうか。

とにかく僕は書庫に忍び込むことに成功した。随分あっけなかった。

「とりあえず8時頃までは読めるな。」

好奇心が抑えられず独り言も出てしまう。

この時のために準備に準備を重ねてきた。

家にだってここ最近はコンビニなどで暇を潰した後、8時や9時頃にわざと帰るようにして、今日が不自然にならないようにもしている。


「さぁ、何から読もう。」

ガタッ

「ん?」

積まれていた本が1つ落ちてしまった。

「そうだな、これから読むか。」

僕はその本を開いた。

「えーと、「学校で困った時の対処方」か・・・・・、まぁ、読んでいて損は無いかな。」

僕はそれを読み始めた。

数10ページ読んだ時、後ろのページに紙か何かが挟まっているのに気づいた。

とりあえずしおりを挟み、僕はその挟まっていた紙を手に取る。

するとそこにはお世辞にも綺麗とは言えない字で、

《学校で困ったならなんでも怪決!

お代は頂きません!

七不思議幽霊事務所

旧校舎2階女子トイレで

依頼受け付け中! 》


と書かれていた。


本をよく読むのですぐに気づいた。

誤字がある。それも盛大な。

「解決が怪決になってるじゃん、字も汚いし・・・・・、これじゃダメだよ」

と言いつつも僕の興味はチラシの内容に削がれていく。

今なら教師も全員職員室だ、バレる事もないし・・・・・。

なにより僕はこういうホラーな展開が嫌いではない。



「ちょっと行ってみようかな」


僕は旧校舎へと向かった。

女子トイレなんて普段は入れないが旧校舎なのだ、誰もいないだろう。

まぁ、いなかったらいなかったで面白みは無いが事案になるよりはマシだ。

旧校舎は本校舎の南、体育館の裏にある。

よく知らないが噂では怪奇現象がよく起こるらしい。本気にはしていないが玄関に貼られているお守りのような物を見ると背筋は冷たくなる。

そんな事を思いながら鍵の壊れた玄関を開けて、真っ暗な旧校舎の階段を上がった。


「ふぅん・・・・・、怖そうな雰囲気は出てるね・・・・・。お化け屋敷みたいだ・・・・・。」

正直に言うと少し怖い。

だが、それよりもワクワクが勝っている。

僕は2階の女子トイレ前に来た。

案外汚くはない。異臭も特にしない。

誰もいないことを確認してドアを開け

女子トイレの中に入る。

個室が3つと用具入れが1つ。個室の2つはドアが開いている。

「花子さんか、まぁ呼び出し方は知ってるがな」


コンコン


「花子さん、遊びましょ」


シーン・・・・・


何も起こらない。花子さんが飛び出て来るかと思ったらそうではなかった。

「・・・・・・・・・・なんだ、結局嘘か。」

やれやれと肩を落とし、僕はトイレのドアを開けて外に出


ガチャッ


ようとした。


ガチャ


開かない。


「え?おかしいな・・・・・、カギはかかってなかったぞ・・・・・。」


その瞬間、後ろから冷たい風が吹いた。

僕は閉めようと思い後ろを向いた。

「なんだ?窓でも開いたのk」


するとそこには


花子さんがいた。

「!?う、うわ、うわあああ!!」

まるで体の細胞一つ一つが逃亡を命じているかのようだった。

恐ろしい、逃げたい。

しかし、金縛りにあったように体が動かない。

花子さんは小さな体の小さな口で

「何かご用?」

とめんどくさそうに言った。

これが僕と花子さんのファーストコンタクトだった。

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