「はなこさん」
episode3
「はなこさん」
「え、あ、その・・・・・」
本当にいるなんて思うわけがない。
もしかしたら夢かも知れない。
いや、きっと夢だろう。
・・・・・というか本当に小学生だなこれ。
はたから見たら事案じゃなかろうか?
しどろもどろしている僕に花子さんは言う。
「・・・・・?依頼があって来たんじゃないの?何年ぶりの依頼かしら。なんて考えながら慌てて出てきたのに行っちゃおうとするからドア閉めたけど、びっくりした?」
「え、えと、その」
「質問、いいですか・・・・・?」
まずい、このままじゃ冷やかしだと思われる。
相手は幽霊の類だ。何をされるかわからない。
とりあえず気になる事を質問して時間を稼いでおこう。
そうだ、そうしよう。
「質問?えぇ、いいわよ」
「あの玄関に貼ってあったお守りはなんなんですか?」
これはわりかし気になっていた。
「・・・・・、あぁ、あれ?」
花子さんは空中に浮きながら足を組み、あたかも椅子があるかのような素振りを見せる。
「あれは脅しよ。昔冷やかしで来るやつが多かったからさ。めんどくさいのよね、冷やかしで来られると。だからここには何かいるぞ、っていうのを貼っといてアピールしてたわけ。」
「あ、そうなんですか、はは」
まずい。
まずい。
完璧に僕じゃないか。
生きてる心地がしない。
もう寿命が10年は縮んだようだ。
「?・・・・・あんた大丈夫?顔が青いけど。」
「あ、あはは大丈夫です。大丈夫、大丈夫ですから。」
「ふぅん、で、依頼は?」
あ、もういい。テキトーに誤魔化せ。
「え、えとですね。最近なんか幽霊がいるような感覚がしまして、それでチラシ見て相談に来たんですよ」
なんだそれ。
いやなんだそれ。
なんだ幽霊がいる感覚って。
花子さんは慌てている僕に近づいて肩を触る。
あ、ダメだこのまま肩からビームかなんか食らって死ぬんだ。
そんな事を考えていた時、思いもしなかった言葉が飛んできた。
「妖気がある。」
「え?あ、え?」
「あんたの肩に妖気が付いてる。随分新しいね、今日誰かに肩触られた?」
花子さんは僕の肩をさする。
「え、あの僕」
「答えなさい。かなり強くベタベタした妖気だし、早めに元を割らないと大変な事になるわ。」
肩を触られたなんて、そんな事
あ。
「あ、そういえば肩・・・・・触られました。」
「・・・・・誰に?クラスメイト?」
「えっと・・・・・」
「真也くん、もう6時よ。帰りなさい。」
肩をぽんぽん叩かれた。ちょっと嬉しい。
「あ、わかりました。失礼します。」
受け付けのお姉さんも言っている事だし、
とりあえず図書室から出よう。
僕は席を立った。
「受け付けの・・・・・図書室にいる受け付けのお姉さんにです・・・・・。」
「よし、そいつね。」
花子さんは大きく息を吸い込み
「その依頼、この花子さんが引き受けた!」
と言った。
どうせ夢だろうしテキトーにしよう。
「あ、ありがとうございます!」
言っとけ言っとけ。どうせ覚める夢だしな。




