「かいけつさくさん」
episode10
「かいけつさくさん」
旧校舎3階、音楽室。
そこの前で花子さんが止まって振り返り
少しばかりの催促をする。
「遅いわよ真也」
「はぁ・・・・・、はぁ・・・・・」
「私と並走できないの?」
それは無理な事だ。
旧校舎とはいえ決して小さいわけではない。
こっちは階段を駆け上がり、廊下を走り抜け、やっとの思いで追いついたのだ。そうまで言われることはない。
あと並走ってなんだ走ってないだろ。
「ぜぇ・・・・・、ここ・・・・・ですか?その・・・・・えと・・・・・なんだっけ?」
「・・・・・翠先生。私の恩人・・・・・・・・・・いえ、恩霊で霊の事に詳しいのよ。」
「それで、冥さんの事で解決策を貰いに・・・・・?」
「ちょっと違うけどまぁそんなところね」
質問したがる僕から逃げるように、花子さんは音楽室の扉を開けて中に入る。
ガラ
「あ、いらっしゃい花子。そっちは?」
「久しぶりね先生、この子は真也っていうんだけどなんかなつかれちゃって」
そこにいたのは大学生くらいの男の霊で
生前はモテていたであろう。
高身長で結構な美形。
ちょっとダサいメガネをかけていて人当たりが良さそう・・・・・。
そんな雰囲気だった。
すると翠先生は僕に優しく話しかける。
「真也くん、だよね?そんなところにいないで入っておいでよ。積もる話もありそうだし、ほら、椅子座る?」
・・・・・。
「花子さんとは大違いだ」
「(あっ)」
思った事が口に出てしまった。
やばいと思った瞬間、
パシッ
「がさつで悪かったわね」
花子さんに頭を叩かれた。
特に痛くはなかったが悲しい思いをさせたかとちょっと心配になった。
そんな僕には目もくれず、
花子さんは少し焦ったような口調で
「そんな事より、冥の事。・・・・・先生、霊のトランス状態を治すのってどうやるの?いつもは先生がやってくれてるけど真也もいるし、私だけで対処しなきゃならない時も来るだろうから知っておきたいの。」
と言うと、翠先生は焦る花子さんをなだめるようにゆっくりと話し始めた。
「じゃあ、そこの真也くんに教えよう。」
・・・・・ん?なんだって?
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