1話
6月20日(土)午後8時
白峰市朝日町7-1 長谷川宅
仕事から帰り、玄関先に置いてある荷物を持ち上げた。
見慣れたHACOのロゴに、気が緩む。
「今日、何か届くようになってたかな⋯?」
素早く箱を開け、中を見た。
「っ⋯!?び、ビキニ⋯?」
慌てて納品書を手に取る。
「⋯田中、真由美?って、これ⋯俺宛じゃないじゃん⋯!」
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6月21日(日)午前10時
白峰市朝日町1-7 田中宅
朝食の片付けも終わり、ホッと息をつく。
出掛ける準備をしようと立ち上がった途端、玄関のチャイムが聞こえた。
「はーい!⋯どちら様でしょう?」
「あっ⋯!⋯これ⋯間違えて届いてたのに、気付かず開けてしまって⋯ごめんなさい⋯!」
差し出された箱を受け取り、中を覗く。
「⋯これ、美咲の⋯」
思わず呟き、深々と頭を下げる青年に微笑み掛けた。
「⋯頭を上げて下さい⋯!わざわざ届けてくださって、ありがとうございます」
「いえ⋯箱を開ける前に、気付けば良かったんですが⋯」
「⋯まさか、他人の荷物が届くなんて⋯思わないですよ」
苦笑を漏らすと、目の前の青年がホッとしたように微笑んだ。
「⋯良かった⋯俺、怒られるかと思って⋯あっ⋯俺、長谷川って言います!」
「長谷川さん⋯お若そうですけど⋯」
「28です!⋯その水着、奥さんのですか?」
「いえ⋯娘のなんです」
「娘さんが居るんですね」
「ええ⋯娘は16なんですけど⋯長谷川さんみたいに好青年な方とは、恥ずかしくて話せないと思います」
私の言葉に、長谷川さんがクスッと笑う。
「⋯そんな、好青年だなんて⋯」
「ママ〜!早く、出掛けようよ〜!」
走って来る息子を、そっと抱き上げる。
「ちょっと待ってね⋯」
「⋯すみません⋯!長々と⋯」
「いえ⋯!こちらこそ⋯」
「⋯これから、ご家族でお出掛けですか?」
「ええ⋯近場ですけど⋯」
「⋯気を付けて、楽しんできて下さい⋯」
「ありがとうございます」
長谷川さんを見送り、部屋へと戻る。
「美咲、はい⋯頼んでた水着、届いたわよ」
「⋯何で開いてるの?」
「誤配があったみたいで、気付かず開けちゃったんだって⋯」
「え!?何それ!?最悪〜」
「感じの良いお兄さんだったわよ」
「っ⋯男性だったの!?」
「ええ⋯美咲も顔出せば良かったのに⋯」
「っ⋯!絶対に嫌⋯!」
真っ赤な顔で部屋へと戻る娘を、笑いながら見送った。
家族で過ごす、いつもと変わらない楽しい1日。
これからも、変わらず暮らしていけると信じていた⋯




