閑話③
「しょうがない人ね」
「この世界に未練などありません」
「本当に、しょうがない人」
「あなたを生かしておいて良かった」
「この儀式の部屋に、ずいぶんな者を並べたわね」
「我々も必死だったのです。
研究を続けても、ここまでが精一杯でした。
歴代の聖女の遺骨から不死の妙薬を求めて幾星霜。
ゆっくりとした研究に拍車をかけた聖女の失踪。
しかし、結果はさんざんでした。
どうしても、醜い肉塊にしか変貌せず。
人の姿を成す者はいまだ一人も現れません。
おそらくこのまま待っても、私の死の間際でさえ完成することはないでしょう」
「聖女の力が遺骨に残存するなんてまやかしよ。
ただの迷信。
生きている私だって、子を産めば受け継がれ、何も残らないのだから。
これほどまでに失われやすく、消えてしまう力よ。
残された遺骨に一体何が残ると言うのかしら」
「それでも、あなたが失踪した事情故、私たちはすがるしかなかった」
「他の司祭はもういないのね」
「あなたの不死の施しを受けること叶わず、私以外天に召されました。
2年前、とうとう司祭は私一人となったのです。
このままでは、私も滅んでしまう。
私が滅べば、理想もまた泡と消えてしまう」
「20年前にすべて終わったのよ。
何もかも終わったの。
あなたの理想もすべて夢幻」
「儀式を行います」
「この世界を見限って、
レオンが飛んだ次元に行こうとしているのでしょう」
「あなたとこの肉塊と化した人々の命。
それらを引き換えに、もう一度やり直すのです」
「理想と小さな命、天秤にかけるのも本当はおかしいのでしょうけど。
過去の理想なんて、
今を暮らす人の営みにはすでにいらないものとなっている、
どうしてそう思えないのかしら」
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