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私立薬師寺学院特進科!5  作者: 有栖川優悟
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30*Aspiration

Aspiration――憧れ


私立薬師寺学院 対病原生物科教室


 私立薬師寺学院対病原生物科。クラスカラーは紫。‬

 ここには問題児組と呼ばれる薬たちがいる。


「毎度お疲れ様、皆さん」

 C13H10N2O4・サリドマイド。

 非バルビツール酸系の化合物である。

 催眠作用と催奇形性を持ち、抗多発性骨髄腫薬、ハンセン病の2型らい反応の治療薬としても知られる。

 彼女は世界規模の薬害『サリドマイド禍』を引き起こしてしまった薬である。そのため、薬害防止への観点から、日本では使用にあたって『サリドマイド製剤安全管理手順』の遵守が求められる。

 普段は車椅子に乗って行動している。


「やー…イソミンは心配しなくていいんじゃね?」

 C18H26ClN3・クロロキン。

 抗マラリア剤の一種である。

 マラリアの治療もしくは予防のために用いられる。

 彼の長期投与により眼底黄斑が障害され、網膜血管が細くなり視野が狭くなってしまうという重篤な副作用があり、それらは『クロロキン網膜症』と呼ばれた。これらに対し何ら効果はないにもかかわらず、慢性腎炎やてんかんなどに効果があるとされたことが、薬害患者の大量発生に繋がった。

 普段サリドマイドの車椅子を押しているのは彼である。


 かつてはC9H5ClINO・クリオキノールやC11H13BrN2O6・ソリブジンという生徒もいたが、既に退学している。

 彼らは『薬物』ではなく『医薬品』であるため、特進科の薬が人間に対して起こす諸問題とは異なり、彼らの問題は『薬害』として扱われることが多い。

「特進科の子達、大丈夫なの?」

「大丈夫じゃねーの?放っとけよ、イソミンは」

「でも…」


『C19H20N2O3S・ピオグリタゾン、及び学級委員の皆さん。至急生徒会室に集まるように。繰り返します。C19H20N2O3S・ピオグリタゾン、及び学級委員の皆さん――』


「…あ、行かなきゃ。行こう、クロロキン」

「おっけー」

 クロロキンがサリドマイドの車椅子を押し、2人は教室を出た。


数分後 私立薬師寺学院生徒会室


「普通科生徒会長の、C19H20N2O3S・ピオグリタゾンです」

「特進科生徒会長の、C17H19NO3・モルヒネだ」


「それでー…今日はどんな議題ですか?」

「カロナール…」

「私とロゼレムの時間を奪わないでくださいね?」

 神経系科の学級委員、C8H9NO2・アセトアミノフェン。‬

 彼女は同性のラメルテオンに想いを寄せており、彼女との時間が奪われることに何より憤りを感じている。‬


「そうだな…私達の方で信じられないと判断した場合、お前ら生徒会長2人に調査を入れてもいいくらいなんだが」

 器官系科の学級委員、C19H28O2・テストステロン。

 彼は薬には珍しく眼鏡をかけているが、メサドンと同じくあくまでも伊達である。


「…それがしは某自身の意思に従うまで』

 代謝科の学級委員、C8H15NO2・トラネキサム酸。

 彼は人工的に生み出されたアミノ酸で、フェンタニルに匹敵する冷静な性格である。


「あわわ…皆さん怖いですよぉ…」

 組織細胞機能科の学級委員、C32H39NO4・フェキソフェナジン。

 彼女は常におどおどしており、争いを好まない。


「大丈夫だよ、アレグラ」

 生薬・漢方科の学級委員、甘草。

 彼女を始めとする生薬・漢方科の生徒は化学式を名乗らない。


「私も、貴方達が本当のことを言わないと判断したら、即貴方達から離れますからね」

 対病原生物科の学級委員、C13H10N2O4・サリドマイド。

 彼女の車椅子を押して運んでいたクロロキンは既に退室している。


「そーだぞ!くだらねえこと言ったら今すぐぶっ千切るぞ羽虫共!」

 副治療科の学級委員、C4H7Cl2O4P・ジクロルボス。

 彼は殺虫剤ということもあり、副治療科の中でも血の気が多い。


「…ねえ皆、落ち着いたら?」

 特進科の学級委員、C21H27NO・メサドン。

 彼は特進科として頭一つ抜けた薬効を持っており、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬に指定されている。


「モルヒネさん、議題は?」

「えー…現在、特進科で問題が発生している。だからと言って、あまり首を突っ込もうとしないように。特進科の問題は、こっちで解決するから。…普通科の方は?」

「私?えっと…そうですねー、もし特進科から何か手伝いを求められたら、出来る限りで応えましょう!特にサリドマイドはチオペンタールと仲間だったわね?」

「はい…彼はバルビツール酸系で、私は非バルビツール酸という違いはありますが」

 サリドマイドら非バルビツール酸系は、チオペンタールらバルビツール酸系の致死性や依存性といった副作用を改良しようと合成された物質の総称である。依存、乱用、催奇性などの副作用が問題となり、多くは市場から消えていった。

「それに私には、クロロキンやクラビットもいますから」

 C18H20FN3O4・レボフロキサシン。商品名はクラビット。

 ケタミンやモルヒネのように、WHO必須医薬品モデル・リストに収録されている。


「あ…私もプソイドエフェドリンさんとは仲良いので、協力できますよ…!」

「フェキソフェナジンは、彼とディレグラ配合錠としてよく顔を合わせるものね」


 C10H15NO・プソイドエフェドリン。

 充血除去薬または局部麻酔時の低血圧に対処するために使われる交感神経興奮剤であり、特進科の生徒・エフェドリンのもう一つの人格である。

 魔王を自称する自信家のエフェドリンと違い、やや弱気でおどおどしている。

 ディレグラ配合錠は、フェキソフェナジンにプソイドエフェドリンを配合したものである。


「私も…ロゼレムに危害を加えないと約束するのなら。リタリンの為でもありますからね…ストラテラや、テトラミドにリフレックス、ロキソニンやブルフェンもいますし」


 C16H21NO2・ラメルテオン。商品名はロゼレム。

 メラトニン受容体アゴニストの一つである。

 体内ではホルモンのメラトニンがこの受容体に結合し、入眠のリズムを司っているが、彼女はその作用を模倣している。

 アセトアミノフェンから寄せられる想いには気づいていない。


 C17H21NO・アトモキセチン。商品名はストラテラ。

 ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の一つである。

 日本では『コンサータ』としてのメチルフェニデートと同じく、注意欠陥多動性障害に適応している。

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における劇薬である。


 C18H20N2・ミアンセリン。商品名はテトラミド。

 四環系抗うつ薬の一つである。

 ミルタザピンの双子の姉であり、彼を『ミルタ』と呼ぶ。

 メチルフェニデートと同じく、ラセミ体である。


 C17H19N3・ミルタザピン。商品名はリフレックス。

 四環系抗うつ薬の一つである。

 ミアンセリンの双子の弟であり、彼女を『ミアン』と呼ぶ。

 ベンゾジアゼピン系などの鎮静剤とは相加的な鎮静作用が考えられるため、併用注意とされている。


 C15H18O3・ロキソプロフェン。商品名はロキソニン。

 プロピオン酸系の消炎鎮痛剤の一つである。

 彼女のコマーシャルにはかつてモデルだった青葉あおばクリスティーナが出ていたことがある。


 C13H18O2・イブプロフェン。商品名はブルフェン。

 プロピオン酸系の消炎鎮痛剤の一つである。

 WHO必須医薬品モデル・リストに含まれている医薬品でもある。


「こちらにも、クロペラスチンやカルボシステインがいるさ」


 C20H24ClNO・クロペラスチン。商品名はフスタゾール。

 C5H9NO4S・カルボシステイン。商品名はムコダイン。

 共に、去痰薬に用いられる医薬品である。


「よし、安心ね。薬師寺学院の未来は明るいわ!」

「いや、そうじゃない。――他の生徒があまり特進科に関わるのは、俺としては勧められないんだけどな…」


 ***


「貴方ほどの強さを持つのなら、特進科にいてもおかしくないのだけどね…」

「特進科なあ…行きてえなー…」

 彼の分身わかちみの原体は毒物及び劇物取締法で劇物に、乳剤は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で劇薬に指定されているものの、依存性などがないせいか特進科に準ずる扱いはされていない。

 ただし一度火がつくと止まらないため、その際は彼が有機リン化合物であることを利用し、代謝科のプラリドキシムヨウ化メチルや器官系科のアトロピンがストッパーに回る。

「あー…せめてオレがパラチオンくらい強けりゃな…!」

 C10H14NO5PS・パラチオン。

 ジクロルボスと同じく、副治療科に属する有機リン化合物である。

 特進科には属していないものの、薬物及び劇物取締法の特定毒物に指定されており、非常に厳重な規制がなされている。民生利用はほぼ不可能であり、研究目的での製造・使用にも官公庁への申請と認可が必要である。

「強かったら?」

「師匠とおんなじところに行けるのになー、って」

「そうね…ジクロルボスはフルニトラゼパムに憧れているものね」

 ジクロルボスは神経科時代のフルニトラゼパムの治療を見て以降彼に憧れ、彼の外見や口調などを真似ている。ただし、ジクロルボス自身の直情的かつ好戦的な性格は真似する前から変わっていない。

「フルニトラゼパムは今外に出てるのよね。連絡機に電話かけてみたら?」

「はい、そうしますね!」

 薬師寺学院の生徒を含むヒュギエイア機関の薬は、担任の付き添いなしで外を出歩く際は形だけ携帯電話に類する通信機を持たされている。

 ただ、持たされるのはあくまでも『担任の付き添いなし』で『外を出歩く際』に限られているので、普段は特進科と普通科の間の連絡は取られていない。

「…師匠が外に行っているうちに!」


同時刻 瑠璃光総合病院 ロビー


 C16H12FN3O3・フルニトラゼパム。デバイスの色は橙色。

 ベンゾジアゼピン系の向精神薬の一種である。

 投与量ベースで最も強力なベンゾジアゼピン睡眠薬の一つとされており、その強さに憧れる薬も約一定数いる。

 麻薬及び向精神薬取締法で第二種向精神薬に指定されている。


 彼は梅枝うめがえ凛々りりからと共に瑠璃光総合病院に来ていた。凛々香と、彼女の後輩・神宮寺じんぐうじ彼方かなたとの再会に付き合う形ではあるが。


「…って、リタリンじゃねえか!」


 そこにいたのはC14H19NO2・メチルフェニデート。デバイスの色は白。

 彼方が服用している、精神刺激薬の一種である。

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で処方箋医薬品・劇薬に、麻薬及び向精神薬取締法で第一種向精神薬に指定されている。

「私がここにいたら、何かおかしいことでも?」

「いや…まさかここに来ること知ってて…!」

「カナの学友が来ることは聞いていましたが、ロヒプノールさんの事までは…」


 RRRRRR…RRRRRR…


 その時、フルニトラゼパムの通信機が鳴動した。

「ロヒプノールさん電話ですか?下行った方が…」

 瑠璃光総合病院では、病棟での通話は禁止されている。今いるここは、ロビーとはいえ病棟の中なのである。

「あ…そっか。下行ってくる!」


病院前


「あー…もしもし、C16H12FN3O3・フルニトラゼパムだ」

『C4H7Cl2O4P・ジクロルボスです!』

「…って…お前何かあったのか?お前からオレに連絡寄越すって珍しくねえか?」

『特進科と普通科の間の連絡って、基本的に取られないじゃないっすか。オレまだ特進科に入れてないんで、師匠に連絡するには師匠が出かけてる時しかないと思って!』

「いや…わざわざ特進科に入ろうなんて思わなくていいから…って連絡事項って何だよ?」


『師匠は、最近何かあったんですか』


 ――いや、そっち?

 ――お前の方に何かあるんじゃなくて、こっちに何かがあるのかを知りたかったのか?


 特進科生徒は、基本的に普通科に事情を知らせることはない。また、逆も然りである。

 加えてフルニトラゼパム自身が、他人を巻き込むことを嫌う性格でもあった。


「…ないって言えば嘘になるけどなあ…」

『師匠らしいですね。オレは別に師匠の事情に巻き込まれるなら本望なのに。仮にも弟子なんすから』

「いや、師弟ってそういうんじゃねえだろ…お前は知らなくていいことだよ」

『知らなくていいって…人間に関することですか』


 ジクロルボスら副治療科は、名の通り人間の治療を主目的としない薬物達の科であり、調剤用薬、診断用薬、公衆衛生用薬、体外診断用医薬品、絆創膏などに分けられる。

 殺虫剤であるジクロルボスは、公衆衛生用薬に入る。


「それもそうだな。お前は人間の治療はしないだろ?」

『そうですね。羽虫共をぶっ千切るのがオレの役目ですからっ!』

「相変わらず過激だよなあ、お前。…知らなくていいって言ったのは、今の特進科で何があるか、ってことだな」

『特進科っていうくらいだから、強い薬達の集まりなんですよね?まあ問題が起きるのもある程度想像できますよ?』

「いや…お前が思ってるほど特進科は単純じゃねえよ」


「お前が行こうとしてる特進科は、覚醒剤とか、ヘロインとか、とにかく他の薬より毒性や依存性が高い奴らの集まりなんだ。成績がいい奴の集まりなんて便宜上の理由に過ぎねえよ。他の薬より厳しい法律で取り締まられることになったから入ってるだけだ!お前は自ら自由を手放そうとしているのと一緒なんだよ!」

『…えっ、そんなところに師匠が?』

「ああ。オレはデートレイプドラッグとして、色々な人間を手にかけた。だから取り締まられることになったんだ」

『そうなんですか…だから…』

「だから、オレみたいになろうだなんて思わなくていい!オレはお前が思ってるほど強くねえし綺麗でもねえ、憧れられるような薬じゃねえよ!人助けなんてそんなかっこいいもんじゃねえ!オレはただ――」


「罪を償うために、ここにいるんだよ!」


 ***


 RRRRRR…RRRRRR…

「…僕まで?」

 ブロチゾラムの連絡機も鳴動した。


『もう、レン遅くない?』

「…ドラールさん」


 アメリカ支部に所属しているのは、C15H10BrClN4S・ブロチゾラムだけではない。

 C17H11N2・クアゼパム。

 ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の一つである。

 アメリカでは規制物質法のスケジュールIVに、日本では医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で習慣性医薬品に、麻薬及び向精神薬取締法で第三種向精神薬に指定されている。


 C15H11N3O3・ニトラゼパム。

 ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の一つである。

 アメリカでは規制物質法のスケジュールIVに、日本では医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で習慣性医薬品に、麻薬及び向精神薬取締法で第三種向精神薬に指定されている。

 フルニトラゼパムに対して姉のような振る舞いをしているが、その割にかなりだらけている。


 C21H25N3O2S・クエチアピン。

 ジベンゾチアゼピン系の非定型抗精神病薬の一つである。

 アメリカでの適応は統合失調症と双極性障害である。

 日本では医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で劇薬に指定されている。


 C18H13ClFN3O2・シノラゼパム。

 ベンゾジアゼピン系の抗不安薬の一つである。

 アメリカでは規制物質法のスケジュールIVに指定されている。


 その他、日本支部から移された薬なども在籍している。

 例えばC12H18N2O3、セコバルビタール。

 バルビツール酸系に属する薬である。

 アメリカでは規制物質法のスケジュールIIに、日本では麻薬及び向精神薬取締法で第一種向精神薬に指定されている。

 ――即ち、メチルフェニデートと指定区分が同じ薬である。

 フルニトラゼパムは、転級当初のメチルフェニデートに対して『セコバルビタールは治療に当たっているかもしれない』とごまかしていた。だが、実は彼女の転級と同じくらいのタイミングで、アメリカ支部に移されていたのだ。


「待ってください、今はお姉ちゃんを…参考服薬者を待っているんです」

『それならある程度仕方ないけどね…帰る時は連絡するんだよ?』

「わかってますよー」

 ブロチゾラムは連絡機を切った。彼女の瞳は、病棟から出てくる凛々香の姿を捉える。

「…お姉ちゃん!皆と会うのは終わったの?」

「うん。アタシ達そろそろ家帰らなきゃ…って」

「僕も、アメリカ支部に行かなきゃね」


 彼女達は、目の前にフルニトラゼパムがいるのを見つけた。

「ロヒプノール!」

「…なんでこんな所にいるんですか?」

「オレも普通科の奴と連絡とってたんだよ!」

「そっか、ロヒプノールにも仲間がいるんだよなっ」

「まあなー…普通科の奴はそうだけど、特進科なんて…仲間なんてぬるいもんじゃねえよ」

「…特進科って、何だ?」


 凛々香は特進科を知らない。

 彼ら薬が集められた目的も、法的にどういう存在であるかも。

「特進科がどうとかって、ロヒプノールよく言うよな?特進科とやらで何かあったのか?」


 特進科の事情を知らないのは普通科の薬もそうだが、人間はそれ以上に知らない。そもそも薬に意思があることすら知らない人間もいる。それもあり、薬の事情に人間を巻き込むことは、普通科の薬を巻き込むこと以上に忌避されている。


 普通科の薬と特進科の薬は、あくまでも分類や規制する法律が違うだけで同種族である。

 薬と人間は、根本的に種族が違うのだから。


「何かあったらごめん。離れてたアタシのせいだね…薬のことでもなんでもいいから、何かあったらアタシに…」

 凛々香はフルニトラゼパムの力になることを望んだ。かつて眠れなかった自分を助けてくれた彼を、今度は自分が助けたいと。

 しかし、フルニトラゼパムはそれを拒絶する。

「…駄目だ。リリィ、これ以上薬の事に関わろうとするのはやめとけ。これはオレ達薬の問題であって、リリィが――人間が関わっていいことじゃねえんだ」

「そっか…アタシは人間だもんなぁ」


「お姉ちゃん、帰ろう?他の薬とはさよならしたでしょ?」

「まあ、病室を出るときにな。…よし、行くか!またな、ロヒプノール!」


 凛々香はフルニトラゼパムに手を振った。ブロチゾラムは、一瞥しただけであったが。

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