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《48》
「だから、誰かの名前を覚えたら、その人はボクにとって大切な人になってしまう」
「考えすぎじゃねえのか?」
重要でないことを忘れてしまうっていうのはわからなくもない。
けど普通の人は誰かの名前を覚えたからって、その人が大切だなんていちいち思わないだろう。
「ボクにとってはそうなんだ」
「だとしても、それはそれでいいじゃねえか。パティだって仕事で関わるなら、それなりに大切な相手だろ」
明日から同行するならなおさらだ。
「大切な人なんて持ちたくないよ。もしそんな人がいたら、ボクの知らないところでケガしたり病気になったり死んだりしてないかって心配になる」
「まあ、否定はしねえけど」
俺だって社畜になって恋愛どころじゃなくなる前には彼女がいた時期があったから、大切な人を想う気持ちには一応覚えがある。
アニーの場合は極端な気もするけど。




