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《12》
親しみも愛情もこめずに発した俺の問いに対して、彼女は当然のようにうなずいた。
「はい。ワタクシは国王陛下より、国の窮状を救うために異世界から勇者を召喚する命を受けました。それで召喚の儀式を行った結果、あなた様が現れたのですから、あなた様が勇者様なのです」
「……」
さっきからうすうす感じてたイヤな予感が、最悪の形で的中した。
異世界から召喚されるなんて、ゲームやラノベの中だけの話だよなんて常識人ぶってみても、ここまではっきり明言されては返す言葉もない。
落城有馬、29歳独身、元会社員。
無職になって最初の朝を、異世界で迎えてしまった次第。




