水瓶座の辞典(用語録)
○変革 New Age
ネットゲーム「New Age」がサービス終了した日。またはその前後の期間を指して〈変革〉と呼ぶ。
○意識混濁性消失障害 Lost body
ネットゲームの世界に存在を囚われ、ログアウトできなくなる現象。
現実の肉体は消失。関わりのあった現実の人々の記憶からも剥離しており、また痕跡は見えているが認識を逸らされている。
New Ageの世界の住人は彼等の事を〈上界の移人〉と呼んでおり、その名称は〈変革〉後、より浸透した。
意識混濁性消失障害へ陥る際、元々New Ageを遊んでいたプレイヤーなら、その瞬間におけるキャラクターの職、Lv、装備などが反映される。
ただし、肉体や性別などは現実の本人に限りなく近く同調される。どうやら頭髪、瞳色などはキャラクターよりに依存気味。
一部、魔術抵抗の高い人間の場合はこれの限りではない。
New Age未経験者が意識混濁性消失障害へ巻き込まれた場合、Lvは初期値から開始となり、職も一方的に定められてしまう。
意識混濁性消失障害になっても、Lv、職、スキルなどが適用されており、それぞれ肉体的な補正や幻想的な恩恵を実感できる。
〈変革〉以前、一部の宿泊施設や飲食店などは無償で利用できたが、〈変革〉を境にその形は失われた。
○箱庭の小人 Create body
ネットゲーム「New Age」がサービス開始する以前より、その世界に生を授かっていた存在の総称。
彼等の価値観は必ずしも現実世界と一致するものではなく、独特の体裁や受容などを見せている。
意識混濁性消失障害とは違い、Lv、職やスキルなどの恩恵は与えられておらず、比較的戦闘力は低い。
ただ宝星具の存在により、その認識が必ずしも当てはまるとは言い難い。
ほとんどが移人に対して友好的であり、箱庭の上界より降り立つ移人の現象に疑問を抱いていない。
○宝瓶の座 Entity
通称は「エント」。「New Age」の世界に満ちている天色(蒼色)の粒子。
エントは空気や水分などに等しく、生きる上で必要不可欠なものとされている。
またエントを対価として、魔術の詠唱など様々な事象を可能とする。
しかし、エントは多量に摂取したり、枯渇状態が頻発したりと不安定な周期を繰り返している内に中毒性を孕む危険性がある。
名をそのまま流用し、エントの枯渇した地〈障害の座〉と区別する為、エントの蔓延した地域を指す言葉としても使われる。
○障害の座 Sol
エントが枯渇した地帯。主に未開領域の奥を指し示す単語。
枯渇しているのはエントだけであり、荒廃した印象を受けやすいが、そういった景観は稀な方で多くは雄大な自然に囲まれている。
○未開領域 Ascension
「New Age」の世界を代表する三大国〈Bnburio〉、〈WelzNeil〉、〈Nanokeria〉の統治外となる領域。
〈宝瓶の座〉と〈障害の座〉の境界線は未開領域内に存在している。
○存在過剰摂取二次発症者 Nekurofago
エントの過剰摂取や還元枯渇により発症する中毒症状が悪化した状態。
眼球は蒼く染まり、自制心は著しく低下。徐々に理性が薄れていく。
末期症状まで陥ると、エントを求め人喰行為に走る。
○言葉の鳥 Bird of Language
現実世界には存在していない「New Age」独自の言語形式。
淡く蒼色に発光する粒子の集合体であり、文字列を象っていながら、鳥を真似て軽やかに飛び交う。
箱庭の小人にも解読不能であり、言葉の鳥に込められた意図は不明となっている。
○記調律 Asterism
唐突に空に顕現されるという未知なる文字列。
言葉の鳥の群れを伴って蒼い光柱を地に注ぐ。
言葉の鳥同様、どういった意図が含まれているのかは不明。
○理想郷の先駆者 New Ager
詳細不明。
上界の移人でありながら、強制書換を扱える人物を指していると思われる。
現時点で判明している理想郷の先駆者は下記の三人。
ギルド「ゾディアーク教団」の滅竜士バルド。
ギルド「ハンプティ・ダンプティ」のお姫様メリーベル・アン・ラズベリー。
そして蒼焔の少年メイジ。
○葬儀人 ???
「New Age」の世界を侵す異常や歪みを糺す存在。
各々が強制書簡を扱え、また黒衣型の光学迷彩を身に纏っている。
宝星具「水瓶座の時代」を行使し現実との繋がりを遮断、〈変革〉を招いた元凶。
○強制書換 Breaker
文字列を組み替え様々な現象を引き起こす物体、或いは現象そのものを示す名称。
所有者によって形状や規模など得意となる分野性にやや違いがある。
総合して言えるのは、書き換える際に蒼い粒子が噴出すること。