13 逃げる反逆者たち
その頃、良門と伊賀寿は、少しずつ仲間を増やし、反乱軍の兵力を整えつつあった。
そしてまさに頼信を大将とした討伐軍に瀧夜叉が討たれた少し後、良門たちは満開の桜の下で呑気に花見をしていた。
良門は、酒の肴に、妖術を使って野原の石ころを沢山の蝦蟇に変えた。
そして、その蝦蟇たちを戦わせて、蝦蟇合戦に興じていた。
右側の蝦蟇たちを自分達になぞらえて応援した。
しかし次第に右の蝦蟇軍は劣勢となり、大将の蝦蟇が食い殺された。
すると、他の蝦蟇たちは元の小石に戻った。
「ただの遊びとはいえ、応援していた蝦蟇が負けるとは不吉だ」
そう言うが早いか、瀧夜叉の手下が、鎧と陣笠のまま下総国から駆けつけた。
その手下は、頼信たち討伐軍によって瀧夜叉たちが滅ぼされたことを良門に伝えた。
そして討伐軍は、良門たちを成敗するために、こちらへ向かっていることも。
これを聞いた良門は、怒りを顕にし、すぐに戦さの準備をしろと叫んだ。
しかしこれを聞いた伊賀寿太郎は、冷静に言った。
「今の我々の兵力では、とても頼信たち討伐軍には敵いません。悔しいですが、ここは一旦逃げて、もっと兵力を蓄えてから戦いに挑むべきです」
そう言われても良門の怒りは収まらない。
そこへ、雲に乗った蝦蟇仙人の肉芝仙が現れて言う。
「伊賀寿の言う通り、今の状態では我々に勝ち目はない。ここは一旦、九州へ逃げて身を隠し、もっと兵力を蓄えてから次の戦いに備えるべきだ」
そして、既に次の計画も進行中だと言う。
「私は今、土蜘蛛を使った謀略を頼光と頼信に対して仕掛けている。それがうまくいけば、その時こそ、お前たちの出番だ」
こう言われて、良門もやっと少し冷静さを取り戻し、逃げる準備を始めた。
山東京伝の「善知安方忠義伝」はここで終わっている。
その後書かれるはずだった後編の予告が、この後に少し書かれている。
しかし残念ながら、その後編は書かれることがなかった。
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