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エピローグ?

しかし……朝10時にアリサがここに訪れ現在10時30分……成程……30分。僅か30分だ。たったの30分で、一つの工場が消えた。たった一人の幼女の手によって……まあそれに賛同する心強い仲間達も居たけれどもな。そしてその30分の間にも、ある程度の構想はあったものの、MADに相応しい素材を現地調達した挙句、それらを木林と口喧嘩をしながら編集し、作り上げた訳か……フム、全く……マルチタスクな幼女である。そして最近の携帯は編集速度が速いのだな。流石買ってもらったばかりの携帯である。

そして、それを見た木林は、何故か感動したのか? 最後にカツラを投げ捨て、頭だけは生まれたままの姿に還り、母親の英語読みを伸ばした感じの言葉を大声を叫び、立ち尽くした。彼も余りのそのクオリティに全身の体温が上昇し、夏の暑さに耐えられず上着を一枚脱ぐ感覚でカツラを外してしまったのだろう。うっかりさんであるな。ところがそのうっかりにより、一つの小さな幸せが訪れたのだ。その幸せとは? 泣き叫ぶ社長の右に40cm程離れたその下には偶然倒れていた存在がいたのだ。その存在に対しての幸せだ。

それは、木林製作所に


【ドワーフに酷似した男】


の君塚が居ると言う噂を耳にし、その真偽を確かめる為に、単身で旅行に来たはいい物の、その寒さに凍え、志半ばで意識を失い倒れていた


【ドワーフのクッツ】


である。だが、彼は木林が絶望の末手放されたカツラ。それは秋に舞い散る木の葉の様に重力に従い落下し、奇跡が起こった! それは偶然彼の背中に優しく包み込み、その優しー温かさに昏睡状態だった彼が奇跡的に意識を取り戻し、立ち上がったのである。

そして、今自分に起こった奇跡を瞬時に把握した彼は、尊敬の眼差しを向けつつ、泣き叫ぶ男に感謝のお礼をし、妖精界へと帰っていった。

木林もその美しいお辞儀を見て更なる涙を浮かべ、鼻や口からもピュアな涙を潤ませて流し始めたのだ。木林が初めて人の心を思い出した瞬間なのかもしれない……ぬ? クッツはカツラと共に帰って行く様だな。どうやら彼はこの防寒具(カツラ)(いた)く気に入り、私物化する予定なのだろう。クッツは木林からのプレゼントなんだと勘違いし、そのまま妖精界に持ち帰る様だ。返すつもりはない様だな。まあ木林も止める気配もなさそうなのでそう判断してもおかしくはない。それにクッツは自分に奇跡が起こったと考えている。そう、このカツラは、神が自分にのみくれた温かいやーつーなんだあ。と考えても自然だろうな。

勿論彼にも本来返さなくてはいけないという良識はある。だが、今の木林もう必要ない物であろう。何せ自暴自棄になっている状態。今更カツラで自分を良く見せようという気持ちは全く失われてしまっている状態なのだ。会社の悪事が全て鬼熊殺金造と監査官セブンの手によってこれから世界中に広められ、多くの人々にばれる事が確定してしまったのだからな。アリサの作成したMADもその一助となっている。故にこれから永遠に家に引きこもるであろう彼に、その帽子(カツラ)は必要ないのである。

それにその辺は人間界と妖精界の慣例の、すなわち種族間の一般常識の違いであろう。そう、木林日光一の物はクッツの物。そしてクッツの物はクッツの物という事を、銅鑼衛門の邪威暗(じゃいあん)も言っていたしな。故にクッツよ、返す必要はない。そのカツラが君の手に渡った瞬間、君の中の常識でそれを扱ってもよいのだ。返さないでおkだ。そしてもし気が向いたらでも良い。その実体験をベースとした、種族の異なる(キバヤシ)(クッツ)の友情の感動の話を小説として執筆し、ドワーフ界の小説投稿サイト、


【ノベルワッツプラス】


に投稿し、デイリー1位を取ってくれさえすればそれで良い。君の文章力ならきっと取れる筈だから……是非その真実の美しいストーリィを全宇宙のドワーフ達に喧伝してほしい! さすれば人間に対する不信も拭われていくのではないだろうか? だが、実際の木林はドワーフと人間の橋渡しとしては全く相応しくない事実もある。なので本来君を助けてくれた木林の名前をそのまま使うのは危険である。それを読んだドワーフの読者様が木林さんは素晴らしい人なんだ! 直接会いに行ってみようと異界の扉を使用し彼に会いに行った場合、恐らくその頃には引きこもっていて暗い心に支配されている状態の木林に無慈悲に全ての髭を毟られ殺害されてしまう危険性もあるのだ。そうなってしまえばもう永久に断絶関係に陥ってしまう危険もある。なので、彼の名前を別の本当に優しい人物、すなわち橋渡しとして相応しい人物に変更して伝える事を強く勧める。さすれば人間とドワーフ達が再び手を取り合う未来が訪れるかもしれぬ。任せたぞ! しかし、この幸せ単体では大した幸せではないかもしれない。だが、悪事を隠し通そうとした木林製作所が崩壊する幸せと、凍える体に降りかかった木林日光一のカツラの生温かさで助かったクッツの幸せを同時に引き起こせた事で、二つの幸せが入り混じった結果、大きな幸せへと昇華したのである。とんでもない奇跡である……! 


最後に、嫌な印象を与え、ちゃうになった内藤の抜け殻について語ろう。

その後、朽ち果てるかと思いきや、風化する事なく何故か地面に根付いてしまったのだ。そして、日に日に地面を潜っていく何か。そのお陰でどうやっても取れなくなってしまった。早期発見しておけば除去出来たであろうが、時すでに遅し。これは顔……しまった! 肛門が飛び立った時に化学変化を起こし、更には地中深く10キロまでその根は伸び、掘り起こす事も困難。そして体自体が硬い材質に変化してしまい、場所的にもシャッターの前のど真ん中で、運搬の際フォークリフトの通り道にある為、搬入作業が困難となってしまった。それに困った結果、硫酸や王水など色々な物を用い溶かしてみるも、溶けたのは表面の作業着のみで醜い裸体が露になり、なんと生殖器まで克明に残ってしまった。

元はと言えば、自らの行いで招いた悪事を、アリサや元仲間の従業員達の糾弾に追いつめられ、逃げた割に体はしっかりとここに残し、居なくなっても迷惑をかけてしまっていると言う事だ。全裸のままではまずいと作業着を着せてみるも百日紅(さるすべり)の様な表面の為、するっと滑って全て脱げてしまう。ベルトをしっかり閉めても、翌日ズボンがずり下がり、股間が露に……生前も余程露出が好きな男だったのだろうな。さりとてこれは何か原因があると原因究明の為この抜け殻の成分を調べて見たところ。何とびっくり伝説の金属


【オリ春斗(ハルト)ン】


だったのだ。それが変化した後徐々に伸び、最終的に地中20キロまで伸びて根付いていたという事。周りの地面を掘ってみたら両足が伸びている事が確認出来た。これだけ長ければクレーンでも引き抜く事が出来ないであろう。

これは捏造したにも関わらず、鈴木に執拗に攻撃したあの狂精神から引き起こせた奇跡だろうな。だが、追い詰められた割にはしっかりと先を見据えている。

だがもし、これを取り出し名工に打たせれば、主著の剣が作れるぞ! 本数にして35000本も作れる計算だ。だが現在ではこれを溶かせる技術は無く、パンチしようがキックしようがビクともしない。そして主著の剣は道具として使用すると、風の最強呪文バギワロスの効果がある。故に原材料にもわずかながら風を起こす力が秘められている。その結果、折角着せた服もその微風が当たる事で次第に滑り落ちてしまうのだ。うっすらと風を出しつつ何をやってもビクともしない。厄介な金属。彼の抜け殻になぜこんな変化が起こってしまったのだろうか? これは私の推理であるが、語らせていただこう。

彼の年齢は75。それでも何故かここで働けている。それは彼にとって幸せ。だが、ずっと働けると信じていた木林製作所に、アリサが彼の過去の暴露をしてしまったせいで、突然のピンチが襲う。流れ的にも追い出されると本能的に察した。だがそれでもずっとここで働きたい。85歳も、95歳も、205歳もずっと、命果てるまで。それなのにそれがたったの75で終わってしまう……それだけはやだ。どうすればこの場を切り抜けられる? 必死で右往左往しながら考えた結果、偶然進化条件を満たしああなってしまった訳だ。結果、偶然から一時的にこの場から離れれば良いと言う結論に達し、体だけ残し顔……おっと失礼! 肛門だけで旅立ったのかもしれない。で、ほとぼりが冷め、また元の体に戻れるのかどうかは分からぬが、それを信じ旅立ったのだろう。人の記憶は薄れていくもの。仮に大激怒したとてどんな人間も怒り続ける事は出来ない。時間を空ければ消える。内藤の必殺技、


【少し時間を開け、しれっと戻ってくる】


という行為。これはマジで有効なのだ。だが戻るまではその場所に体だけは留めておかなくてはならない。更に言えば、絶対に体の一部分が欠けてしまったり壊されてはいけないという事。それを彼の防御本能が、抜け殻になった瞬間オリ春斗ンに材質変化させ、更には深く根を張ったのかもしれない。そうすれば壊されないし移動させる事も出来ない、そして肛門に酷似しているとは言え一応顔なので、その中にはいい感じに低下した脳もしっかりと入っているから、それをフル回転させ、思い出し、体の元へ飛んでいきさえすれば怒りを薄れさせた上で完全体に戻れるのだ! 内藤は鈴木一号にまるで捏造をしている男とは思えない程ごく自然に振る舞い続け、過去の悪事を鈴木の脳から忘却させようとした程のずる賢い男。それが本当に効果があるかどうかは分からなかったが、鈴木曰く、危うく忘却する寸前まで行ったと恐れていた。内藤はそれで何とかなると本能的に知っていたのかもしれない。そして、ほとぼりが冷めたらまたこっそり体と合体し、人の形に戻り、しれっと作業を再開しようとしたのかもしれないな……木林製作所の連中もその異変を自然と受け入れてくれそうな程戯け者が多そうな会社であるからな。

何せリーダーの木林が彼を大事にしていたからな……何故あんな黒い塊を大切にしようと躍起になっていたかは永遠の謎であるが……波長が合うのだろうな。彼は結果的にちゃうに変化し一時的に抜け出し、数日空白の時間を作り、従業員達の怒りを薄れさせようとしたのだ! 体さえ残っていればクビに出来ないと考えてな。恐ろしい機転だ。現在75歳の内藤。だが、自分が生き残る為に必要な解を見つけ出す事にかけては天賦の才があったという事だろう。そんな、誰も思い付かないし、仮に思い付いても実行は出来ない奇跡の方法を、彼は実行してしまった。決断力が半端ない。そこまでしても残りたい程の愛着のある会社だったのか? まあいい。そして、近い内に彼は必ず帰って来るだろう……その時、地中深くに根付いたオリ春斗ンも内藤の体に戻っていくだろう。そこが……いや、そこだけが、彼の、居場所なの、だから、な……フッ……そして、このオリ春斗ンへの変化は内藤の呪文で変化したのではないかと考えられる。皆さんはアストロンという呪文をご存じだろうか? これはアストロン系の呪文の中では最低ランクの呪文である。そう、3ターンの間鉄の塊になるだけ。だが内藤はオリ春斗ロンと言う、アストロンの上位の呪文を唱えてからちゃうに変化して逃げたのだ。なぜ上位か? と言うと、継続ターンは自分の解きたいと思う時までずっと継続し、更には変化した後、自分の念じたプログラムをゆっくりであるが遂行してくれると言う事。この場合の命令は、変化した後、地中に根を伸ばし固定せよという内容。それを行えば移動させられる事はない。それよりも上位にニャストロンという呪文がある。これは怒虎のみが使えるアストロン系の呪文の中で最上位。理由は材質はアダマンタイトに変化させつつ、スピードが5分の1に落ちてしまうが、移動も攻撃も可能なのだ。攻撃が受け止められアダマンタイトの爪でひっかかれれば相手は死ぬ。何もなす術もなく絶望しながらな……おっと、話がそれてしまったな。申し訳ない。しかし、内藤春斗を追い詰めるととんでもない事になるな……ある程度嫌な奴の秘密を握って優位に立ったとしても、追い詰めすぎるといけないというと言う良い教訓だな。まさか追い詰められたからって胴体と別れて飛んでいくなんてトラウマもんだよ……何事も程々にしなくてはいけないという事なのだろう……あんな喋り方で油断させておいて、内藤はものすげえ賢い男だったのだな……しかし、半信半疑で語っていたがこれだと整合性があるぞ! やっぱり私って……すげえ……結果、現状体は肛門が戻るまでどうしようもない為、木林製作所の銅像ならぬ


【内藤春斗オリ春斗ン像】


となり木林製作所のシャッター前の名物となり、数多の観光客が、それを観光地にある顔だけ繰り抜かれた有名キャラクターのあの


【顔出しパネル】


の様に内藤の体の後ろに回り込み、内藤になり切り記念撮影する観光客が後を絶たなかった。これもあのMADの影響であろう。世界で最低の工場と動画の説明文にも記載され、その住所も動画の概要欄に赤文字の大文字で記載されていれば、誰でも行きたくもなるであろう……すると?


プルルルル プルルルル


電話が鳴り響く……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おや? 電話がかかってきましたね。何の用でしょうか?

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