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マリア  作者: 深森みずち
5/5

5.

あの時は、本当に何も考えなかった。


高校生なんて、みんな少し変な話をする。


死にたいとか。


殺したいとか。


世界が終わればいいとか。


冗談みたいに言う。


本気だとは思わない。


まりあは昔からそうだった。


「刑務所って入ってみたくない?」


とか、


「麻原彰晃って頭良かったと思うんだよね」


とか。


危ない話を、妙に軽い口調でする。


でも同時に、コンビニの新作アイスで盛り上がったり、恋愛番組見て笑ったりもする。


だから、どこまで本気なのか誰にも分からなかった。

卒業文集に、「犯罪を起こしそうな女子ランキング」が載っていた。


マリアは一位だった。


みんな笑っていた。


本人も笑っていた。


私も笑った。


今思えば、あの空気自体が異常だったのかもしれない。


でも当時は、ただの悪趣味な冗談だった。


マリアは家の話をほとんどしなかった。


でも時々、急に吐き出すことがあった。


「妹の方が出来いいんだよね」


とか、


「親と話すとイライラする」


とか。


「あんなやつ死ねばいいのに」


と、小さな声で言ったこともあった。


父親は公務員らしかった。


薬の資格を取ったとも聞いた。


マリアは薬品の話になると急に楽しそうだった



私はその中で彼女を止めることができた1人なのかもしれない。



ずっとモヤモヤしてた事件。

彼女に手紙を書こうと思いましたが書けず、整理するために書きました。

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