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猫獣人の元聖女、辺境で孤児を鍛えます。  作者: べちてん


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第28話 リーリャ、本題に入る

「えっと、そろそろ本題いいかニャあ」

「「「は~い」」」


 あの後収拾が付かなくなり質問攻めに遭ったリーリャを、ミレアさんは一声で救い出してくれた。そしてそこから質問タイムがあったのだが、話があっちこっちへ飛びまくる子供達の会話に、リーリャは少し疲れてしまった。


「じゃあまずウチについてもう少し詳しく話すニャ。さっきも言ったけど、ウチの名前はリーリャ・フェリーベン。騎士爵を賜って、今はオフィーリア・フォン・アルステリア第一王女殿下の護衛として働いているニャ」

「すげ~」


 騎士という言葉に反応したフィルマがまたもや質問攻めにしたそうな表情を浮かべるが、気にせず話を進めていく。


「ミレアさんには先生が来るって聞いていると思うニャ。どうしてウチが先生としてここに来たのか、それは君たちに王宮で働いてもらいたいからニャ。王宮に行って、ウチと一緒に第一王女殿下を守る。ウチは君たちを第一王女殿下の臣下にするためにここに来たんだニャ」

「臣下ってなんですか?」

「臣下っていうのは、う~ん、家来とか、偉い人に従う人、っていえばわかるかニャ?」

「なるほど、わかりました」

「じゃあ俺らは王宮で働くために勉強をするってこと?」

「簡単に言えばそうニャ……」


 リーリャは思わずうつむいてしまう。まだ10歳のこの子達には、これから自分で好きな道へと足を進めていくだけの時間と未来がある。しかし、この子達の未来はもう決まっていて、いくつかの分岐点はあるものの、彼女らの前にはすでにレールが敷かれてしまっている。

 きっと悲しむだろう。もしかしたら怒ったり、泣いてしまったりするかもしれない。そう思い恐る恐る顔を上げると、そこにはリーリャが思っていたのとは又違う表情を浮かべる彼女らの姿があった。


「王宮勤め! 王都暮らしだぞぉっ!」

「出世ですっ、すごいすごいっ、王女様~!」

「しゅっせ? しゅっせ!」


 ばんざーい、ばんざーい、とうれしそうに走り回る3人。若干一名、具体的にはエルビアはなんだかよくわかっていない様子で走り回って、机にぶつかって転んでいるけれど、又立ち上がって2人を追いかけながら跳びはねている。


「コラアンタたちっ、じっとしてなさい――」





 ミレアさんの叱責の後、しょんぼり座った3人は、再び静かにリーリャの説明を聞く。


「私たちは王宮で何をすればいいんですか?」

「それはまだ決まってないんだニャ。これからウチがみんなにどんな仕事が向いているかを確認して、それに合った訓練を受けてもらうんだニャ」

「騎士っ、騎士になれるのか?」

「向いていれば成れるニャ。それもウチが確認してからニャ」

「よっしゃっ、騎士なんてかっけ~」


 うれしそうに笑顔を浮かべる3人を見て一安心したリーリャは、腰についていたポーチから水晶のかけらのようなものをひとつ取り出した。それを3人の前に置くと静かに姿勢を正した。


「まだ訓練は始めないニャ。また明日いろいろ持ってくるニャから、そこでみんなの得意なものとかを確認しようと思うニャけど、先にみんなにはこの石を使って魔法適性を計ってもらいたいんだニャ」


 リーリャが取り出した無色透明な石は、魔力を抜き取った魔石で、魔力を持っている人がこの魔石に触れると少量の魔力が抜き取られ、魔石の色が変化する。その色の変化と濃さをみて魔法の適性を図るというものだ。

 色が変わらなければ魔法の適性はなし。色は変わるけれどその変化がごくわずかな場合も基本的には適性なしと判断される。ただ、訓練次第では多少の水を出したり、マッチの代わり程度の火が使えたり、いわゆる生活魔法と言われる魔法が使えるようになる人もいる。

 この検査用魔石を作るためには魔石から不純物と魔力を抜き取る必要がある。

 魔石から魔力を抜き取ること自体は簡単だ。その魔石を使っていけばいずれは魔力を使い切る。ただ、それでは無色透明にはならない。不純物を取り出して、本当に何も入っていない純粋な魔石にしなくてはならない。ただの水晶と見分けは付かないが、触ると魔力を吸収する。精製に手間が掛かるため割と高価な物だ。


「じゃあ誰から行くかニャ?」

「俺から行くっ」


 元気に手を挙げたフィルマは、リーリャが頷いたのを確認すると勢いよく魔石に手を伸ばす。


「10秒くらい握っててニャ」

「わかった!」


 声に出して10秒数えるフィルマ。その様子をリーリャを含めた3人はじっと見つめ、フィルマは少し照れたように魔石を握る手をじっと眺める。

 10秒数え終わった後、ゆっくりと手を開くと、そこには先ほどと何の変化もない無色透明な魔石があった。


「フィルマは魔法の適性がないニャね~」

「えぇ~、じゃあ俺魔法使えないの?!」

「そういうことニャね」


 リーリャがそういうと、フィルマはしゅんとなってしまい、その様子を見ていたレネットはそんな様子を全く気にすることなく、次は私ね、と言って魔石を握りしめた。

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