:無敵の力
とうとう再砂が忘却をすべて服用します!
一閃すら適わない力です・・・。
道敷大神はどうするのか。
また来てくださった方ありがとうございます!
はじめての方はこれからもよろしく!
みんな、楽しんでくれれば幸いです^^
『道敷大神』と再砂が戦っている場所では砂が大波乱していた。
「どうした『正義』!!!この程度の攻撃でしまいでわあるまい!」
フッと荒い息と共に、持っていた砂の大斧を横薙ぎに振るう再砂。
それをまるで初めから予測していたかのように刺さっている再砂の砂の大剣で防ぐ『道敷大神』。
「嘗められたものだ、天下の『七皇』がたかがこれしきの幼子に遅れをとるわけあるまい・・・・・」
感情すら入っていない冷淡な一言なのだが、その実内心では混乱が生じていた。
【大胆な攻撃の割には一切の隙がない、ワザと見せる隙に食らいつけばおそらくは死が待つだろう・・・・・・どうするか・・・・・】
そこまで考えた所でその考えを打ち切り、新たな考えを巡らせる。
【久しく『情』でも使うか、こいつに手加減は出来ないからな、これで少しは読めるのだから】
『道敷大神』の『情』はおそろしく単純なものでもあり、それ故に一番扱いにくいものに属する。
彼の場合、生まれてこの方全ての記憶が頭に入っている、ただの一片も忘れてはいない、陰の『過去の現実』の最高の状態である。
そして元々が高い予知能力を有している『正義』にとって、陽の『未来の想像』とは、鮮明ではっきりとしている。
「本気を出すというわけか、ならこっちもそれ相応の態度でもって接しようか」
「本気か、出来れば加減したままで死んで欲しいんだが」
「そんなことすると思うのか?私が――――――!・・・・チッ、少し副作用がきたか」
再砂は頭を抑えて少し力を入れて頭を抑える。
それが致命となる、そんな完璧すぎる隙を『道敷大神』が見逃すはずがなかった。
再砂は次の瞬間には『道敷大神』の渾身の一撃を身を以て受けるはめになる。
【がっ・・・・!!クソっ!肋が何本か逝ったか!肺に何本か刺さってやがる!!】
再砂は痛みでくる隙を攻撃させない為に、素早く『道敷大神』に蹴りを放ち、自分を思いきり後退する。
蹴りは『道敷大神』には当たらなかったが、それでも回避の為に開けられた間合いはすぐには詰められない。
「致命傷だな、何をしていたかは知らないし知る気もないがリスクがデカいようだな、さっきの隙で勝敗は決まった」
『道敷大神』の表情に感情など一切ない、ただ的確に今の状態の述べているだけだ。
そう・・・・・今の――――――状態を・・・・。
「そうね」
覚悟を決める、もはや言語の心配など思考から消し飛ばす、そしてその専心を目の前の敵を殺すことにむける。
「あ~あ・・・・・確かに勝敗は決まっちゃったわね、この状態を脱出するには一つしか方法はない」
手の中に最後の丸薬、惑星ほどの質量を持った不安定な丸薬、『存在』すべてを無に帰す秘宝の丸薬が握られている。
『道敷大神』にもその気配が掴めたのか、わずかに眉を寄せた。
「まぁいいわよ、私の不注意なんだし・・・・・でもこの丸薬を食べて自制できる気はしないわよ?」
はったりか、再砂はとても楽しそうな笑みを持っている。
退く頃合いか、そんな事を思っている『道敷大神』は一瞬で視界から消え去る為に足に力を篭め、追って来れないように言い放つ。
「お前がここから離れれば、俺の仲間が攻め込むぞ!」
ガリッ!ドンッ!
二人の動作は同時だった。
『道敷大神』は一瞬にして、再砂の視界から出るほどな後退に成功した。
再砂は三つ目の丸薬を噛み砕いて、狂気の笑みを浮かべている。
勝敗は決した、空間を越えてきたと言っても信じられるほどの速さで以て間合いを詰めた再砂の正拳は『道敷大神』を貫いた。
だが攻撃は止まない、一秒間の一方的な暴力の嵐は『道敷大神』から原型の形を奪い、血肉を裂き、コマ切れにした。
だが攻撃は止まない、コマ切れの肉片を今度は粉塵に帰し、大地にしみこんだ血は再砂の砂に吸引される。
だが攻撃は止まない、『道敷大神』であったものはすべて再砂の砂により押し固められていき、手持ちの瓶に詰め込まれた。
攻撃が止んだ、再砂は狂気に満ちた目でその瓶を見つめる。
「お前はもう私のコレクションだ、フフフフ・・・・・!」
そう『道敷大神』はその取り巻く自立の砂により、死ぬ事は許されず、絶えず、死ぬはずだった場面を繰り返される。
『無限地獄』、三個目の丸薬『忘却』を服用した砂の最終奥義、抗う事の出来ない無限螺旋に強制的に組み込まれる。
「あ、時間だ・・・・・・」
全身から力が抜けた再砂は、重力に抗うことなく倒れた。
静粛に包まれているその場所に倒れている再砂に影が並ぶ。