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   :紗代

「まさかここまでとわね、さすがは一閃の見立てでそれなり自信があった故ね・・・・・・」

紗代は自分の焦げ付いた手を見て、少し苦い顔をする。

目の前には、焦げて横になっている角理の姿があった。

「まさか私の手に焦げをつける『人』が出てくるとわな・・・・・・それを除いても『八皇』くらいしか傷つけられなかったのに」

別に自分がすごいなんて思っていない、だがただの人間の『才気』が自分に届いた事に純粋に驚いた。

「こんなとこに引きこもってるからかしらね?世界にはまだまだたくさんいるかもしらない」

「手を汚したままでするなよ紗代、それでなくともお前は・・・・・」

「大丈夫よ、気にしないで、さっきのは純粋に驚いただけだから」

そういって心配そうに近づいてくる大我からタオルを貰い、手の汚れを綺麗にふき取る。

大我は始終不安そうに眺めているのだが、汚れが落ちたくらいに安堵の息を漏らす。

「この女はそんなに強いのか?」

「そうね、かなり強いわ、それに多分彼女はもう陽の『情』にも気が付いてる気がする、それを少しだけ無意識に使ったんでしょう」

そう考えなければさきほどの威力は考えられない、というより考えたくない。

相手は自分よりもはるかに格下の相手なのだから。

自分が常に纏っている不可視の海、紗代の絶対防御『渦潮』は、大抵の攻撃は防御する。

たかが陰の『情』だけではどうしても攻撃があたることはないのだ、当たったということは陽も入っていたのだ。

「無意識でそれほどの力か、今の内に殺して置いた方がよくないか?」

「大丈夫だよ気にしないで、私を殺せる人間なんて数えるくらいしかいないよ、それもごく一握りのね・・・」

紗代はもう一枚タオルを使って焦げて倒れている角理の焦げをふき取る。

「この子はそんな人間じゃないわ、まぁそれでもかなり上位の人間で間違いないのだろうけど」

「そうだな、正直お前が負けるなんて想像もつかないからな、それにさっきの説明の時訂正しなかったろう?」

表面上綺麗になった角理を抱っこで持ち上げ、そのままベッドに横にする大我。

「自分もブラックってことは黙ってただろ、何故なんだ?」

「さっきの言い方からして多分それを言えば私を『八皇』と勘違いして攻撃してくるかもしれなかったからよ」

「そうだな、そう言えばこいつには『八皇』の記憶があるからおそらくなんらかの形で生き残ったやつなんだろうな・・・・・」

「ええ、『八皇』に対する憎悪なら相当なものだったわよ、ちょっと怖かったかも」

フフフ、微笑を浮かべる紗代。

「冗談はさておきだ、そろそろ移動する時期じゃないか?楚良の見聞を広げる為にな」

「もういいのよ、良い事考えたから」

「ほう、どんなことだ?」

「この子を護衛させる、そうすれば多分移動するより多くの物事を見れる気がするしね、それに二人の目的は結構近いけど正反対だ」

「なるほど、一閃を殺すと殺さないの違いだな、でも楚良可愛がってたろう、いいのか?」

「いいのよ、もうそろそろ独り立ちの時期でしょう」

ガタッと小屋の外で物音が聞こえた。

紗代はヤレヤレと肩をすくめる、大我は別に気にした様子はない。

「ちょっと強引に行こうかしら、フフフ・・・・」

「お前の教育の仕方には口出し出来ないから何も言いたくないが、これだけは言っておく」

「一応聞いておこうかしら」

「殺すなよ」

「・・・・・・・・・・・私を鬼か何かと勘違いしてるんじゃないかしら?そこまでしないわよ、教育期間中動けなくなるくらい」

紗代はニコニコ顔なのだが、今はその笑顔が大変怖い。

ゆっくりと立ち上がって、己が『情』を解放していく。

紗代には迷いがない、自信の行う事、行った事全てを正しいと思っている、『肯定の意思』。

そして、今は自分の子供にこうなって欲しいという望みがある、それは強い『望む心』。

陰陽二つを解放している状態のまま、さっきの物音の主へを追いかけ始める。

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