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仮想胃袋∞系ようじょはリアル底なし胃袋系女子  作者: 猫猫全猫
波乱続きでもデザートは欠かさない3章
76/76

74品目:岩島組、継承騒動 ~空気を読まない乱入者、現る!?~

小説を閲覧いただきありがとうございます。

感想、評価、ブクマ等いただけましたら、作者は大変喜びます。

どうぞよろしくお願いします。

「ツラー親分さん!! ちょっと待ってくれませんか!!」


 この話はこれで終い、という雰囲気のツラー親分に私は待ったをかける。


 周囲のガンデカイワがガタガタ震え、地面を揺らす。

 おそらく、私がツラー親分へ勝手に話しかけたことを怒っているのだ。


『おのれ! 女子供がしゃしゃってくるんじゃねぇ!』

『誰の許しを得てしゃべってる! 潰すぞ!』

『親父ぃ、無礼な人間の小娘を潰す許可をくだせぇ!』


 ほらぁ! やっぱり怒ってた!! 裏稼業の岩、怖すぎる!

 でも、ここで引くわけにはいかないっ!


「ツラー親分さんは、責任を取るって言ってますけど! 一体、どうやってですか!?

 この騒ぎはすでに国にバレてるんですよ!!」


 ガタガタガタガタッ……カタッ。


 地面の揺れが止まる。

 ツラー親分が周囲のガンデカイワたちを威圧し、黙らせたのだ。

 はぁ。助かった……。

 ぺしゃんこ即死ルートは回避できたか。


 それにしても、少し騒がしくなっただけでこの揺れか。

 本格的なドンパチが始まったら、この辺りはただじゃすまないぞ。


 慎重に言葉を選んで、穏便にいかないと……。


『小岩どもが邪魔したのぉ。娘、国が動いとるいうんは、どういうことだ?』

「この騒動は、マキナリウムの上層部で把握されてます」

『ワシらの馬鹿騒ぎが筒抜けっちゅうことか……』

「はい。その証拠に、こうして私たち冒険者に依頼が出されてますから」


 エイジスさんは国が警戒してる、としか言わなかった。

 つまり、私の依頼は国からの直接依頼ではない。


 でも、物は言いようだ。あながち間違いでもない。


「そういうことだし。隣国と共同討伐って話も出てるし。

 こっちはまだ可能性の段階だけど、これ以上騒ぎが大きくなったら……どうなるか分からないし」


 シャルルさんの方では、そんな話になってたんだ。

 これで、ツラー親分も身内で処理できる問題ではないと理解してくれただろう。


『お前ら。この娘たちと大事な話がある。しばらくワシから離れてくれるか』


 ツラー親分はしばし考え込む。

 そして、私たちと三人だけで話をしたいと周囲の手下たちに呼びかけた。

 またガタガタ揺れが始まるのかと思いきや。

 ガンデカイワたちは素直に、ツラー親分から離れていった。


「ツラー親分さん。

 人払い(岩払い?)をしてくれたということは、話し合いの余地はあると考えていいんですか?」

「うちらは戦いを避けたいし……」

「慎重に考えた方がいいわよ。人間たちの力は侮れないんだから」

『……血気盛んな若い奴が多いんで、言えんかったが。

 実はワシは、タイドーに岩島組を譲ろうと思っとるんじゃ』


 まさかの告白だった。私たちは言葉を失う。


『そもそも、最初からタイドーと戦う気はないんじゃ。

 ここを見てくれるか……』


 何かやら足元の岩が盛り上がったかと思うと、紫色の宝石が出てくる。

 これは、ガンデカイワのコアか!

 ドクンドクンと脈打って、まるで心臓みたいに鼓動している。


「つらちん……どうして、この状態で動けるし?」


 私とは対照的にコアをみたシャルルさんの顔色が悪い。


『アンタはワシの状態が分かるのか。そんなに、悪いんか……』

「……うちは呪術医ウィッチドクターだし」

『はっはっは。お医者様だったつぅわけだ!

 ほんじゃ、ワシの状態で抗争なんざ、できるわけがないとわかるじゃろ』


 宝石は今もキラキラと光り輝いていて、綺麗だ。

 だけど。これはあまり、良い状態ではないらしい。

 ツラー親分は、一体どうしたのかな。病気? あるいは怪我か。


「……そう、だったんですね」


 ここはゲームの中で、相手はモンスター。

 どういう状態ですかって聞けばいい。

 でもなぁ。空気が重苦しい。

 妙に感情移入しちゃうんだよな。こういう話題は聞きにくいや。


『なぁに。ただの寿命だ。誰にでも来るもんじゃ。

 あんたたちみたいな真っ当な者も――ワシらのような日陰者もな』


 私はシャルルさんの顔を見る。

 彼女はこちらを見て、こくんと頷き肯定した。


『本当はな。もう少し、時間があると思っとった。

 なぜなら、ワシと同等の力を持つガンデカイワがいなかったからじゃ』

「タイドーは違うんですか?」

『そこが奇妙な話でのぉ。

 タイドーの奴。急に力が増したんじゃ……一体どういうカラクリ使ったかはしらねぇが……』


 ツラー親分の話はこうだ。


 自分はもう長い年月生きてきた。

 己の寿命が近いということも、自覚があったという。

 そのため、自分の死後。岩島組をまとめてボスデカイワとなる候補を選んでいた。

 それがタイドーだった。

 奴がボスとしての力を付けるには、もう少しかかると思っていた。ところが……。


『急にじゃ。タイドーの奴が突如、ボスデカイワとして力を付けてな。

 ワシのところにカチコミに来たんじゃ。

 その時はワシがその場を収めて……タイドーは去っていった』


 驚きこそあったものの、元々次期ボスはタイドーと決めていた。

 次にタイドーがツラー親分のところに来たとき、岩島組のボスの座を譲ると告げたそうだ。

 すると、タイドーが激怒したという。


『そこからは、売り言葉に買い言葉。醜い言い争いよ。

 そのうち、うちの組のタイドーを気に入らん奴が、ボスとは認めんなんて言いよって。

 ほんじゃあ、抗争じゃいうてな……。

 そこからじゃな。タイドーがガンデカイワを引き抜いてまわって、よそ様に迷惑かけとるっちゅう噂が流れてきたのは』


 ふむ。急にタイドーがボスデカイワとして進化した、か。

 システムとしては、モンスターが急に強くなることは珍しいことじゃないな。


『ワシが老いて弱ったばかりに面倒をかけて、本当にすまん』

「なんでタイドーは怒ったし? ボスになりたくなかったし?」

『わからん……。タイドーは常々、ワシを超える親分になると言っていた。

 いつかお前を倒して、頂点取ったると豪語していた。むしろボスに喜んでなると思ったがな』


 おっと。これって。

 もしかして、ツラー親分とタイドーですれ違いが起こってるんじゃないか?


「シャルルさん、もしかして……」

「くぅちん。これは男と男の熱い戦いだし!」


 シャルルさんは目をきらきらさせて、うんうんと納得していた。

 アリアは男ってめんどくさい生き物ねぇとあくびをしている。


「ツラー親分。実は――」


 ゴオオオオオォォォ!!!!


「な、なに!?」

「ゆれるしぃぃいい!!」

「危ない! 落ちないように捕まりなさい!!」


 私が口を開きかけると、地面が一際大きく揺れた。

 咄嗟にアリアがツラー親分に根を張る。

 ツタを伸ばして、私とシャルルさんに巻き付く。


 あ、危なかったぁぁ……。

 アリアが掴んでくれなかったら、うっかり落下死してたよ。


「なんか、揺れが近づいてませんか!?」


 地響きがどんどん大きくなる。

 なんだあれ!? 向こうから砂埃を巻き上げて、何か転がってくる!?


『おまえ、タイドォォ!!!!』


 ツラー親分と同じくらい立派なガンデカイワ!!

 って、アイツは!! てっぺんに木が生えてる奴!!

 あれ、見たことあるぞ!!


「アリア!! あいつだよ! マキナリウムまで私たちを追い掛け回してきた!」

「はぁ!? まさか、あのガンデカイワがタイドーだったの!?」


 鋭い眼光。ガンデカイワにしては異常な転がりスピード。

 頭のうえの木がトレードマークの憎い奴。


『おいおいおいおい! この老いぼれがよォ!! ええ?

 人間なんざと結託して、のらりくらりと逃げようなんざ。どんだけ落ちぶれりゃ気が済むんだ!!

 このタイドーッ! アンタがそこまでの男だったなんて、ガッカリだぜ!』


「誰かぁぁ。ここどこなの? 地震がすごくてぇ、動けなくてぇ」


 ……あれ? なんか今、ガンデカイワ以外の声が聞こえたような?


『ワシは言ったはずだ。岩島組の座はお前に譲ると!

 それの何が気に食わんのじゃ!!』

『何が気に食わないって? ええ? 全部だよ、全部!!

 アンタァ、俺をバカにしてんのかよォォ!!』


「困ったわぁ。この岩さんはいつも怒って、動き回ってるから、私も動けないし。

 やっぱり、律子と一緒にダイブインすればよかったわ。全然分からないんだもの……」


 ちょっと待って! ツラー親分とタイドー!

 あのね! 盛り上がってるところ悪いけど、なんか聞いたことある声が聞こえた!

 え、あれ? もしかして。

 いや、でも……。そんな偶然ある?


「む、むぎー先輩?」

「あら? 誰かしら?」


 私の声に反応して、タイドーの上の木が揺れる。

 光のエフェクトが輝く。

 光と共に、妖精の羽が生えた女性が現れた。


「誰だし? プレイヤーだし?」


 シャルルさんもタイドーの上にいる人物に気が付いたようだ。


「あら。こんにちはー。貴方たちもこのゲームで遊んでるの?」


 殺伐とした中で、気が抜けるようなのほほんとした女性の声。

 間違いない。この声といい、さっきの発言といい。


 このプレイヤー、ムギー先輩だ!

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お姉ちゃんキター(・∀・)
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