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仮想胃袋∞系ようじょはリアル底なし胃袋系女子  作者: 猫猫全猫
波乱続きでもデザートは欠かさない3章
75/76

73品目:岩が如く

小説を閲覧いただきありがとうございます。

感想、評価、ブクマ等いただけましたら、作者は大変喜びます。

どうぞよろしくお願いします。

右にガンデカイワ。左にガンデカイワ。

さっきまで、あちこちに散らばっていたガンデカイワが、今は左右へ綺麗に並んでいる。

必然的に真ん中が綺麗に開けて、道が現れた。

これが、ボスデカイワへの通りガンデカイワロードか。


さっきまでの絶望的な状況から一転して、現れた一本の道。

私とアリアはその道を進んでいく。

なんでこんなに都合よく道が現れたかというと。


『そのまま進むし! うちがガンデカイワに話をつけといたし!』


天丼で一緒に共闘したダークエルフのプレイヤー。

シャルルさんが協力してくれたからだ。

ガンデカイワ達に襲い掛からないようにしてくれたらしい。

一体、どうやったんだろう?


「……もしここで、こいつらの気が変わって襲い掛かられたらひとたまりもないわね」

「ひえ。もう、やめてよアリア。怖い事言わないで!」


アリアが馬車を走らせながら怖いことを言う。

散々追い掛け回されたから、トラウマになってるようだ。


私は大人しく整列しているガンデカイワ達を見上げる。


ふむ。こうしてじっとしていれば、ただの巨大な岩壁だ。

だけど、この一体一体が動いて、こっちを追いかけてくるモンスターなのを忘れちゃいけない。


「……(じー)」

「…………」


一瞬、一体のガンデカイワとばっちり目が合ってしまった。

思わず息を飲み込む。


「……(じー)」

「ど、どーも……」


とっさに笑顔で、敵意はないですよーアピールをしておく。

モンスター相手に愛想笑いって効果あるのかな……ははは。


特に何も起こらず、ガンデカイワの横を通り過ぎた。

あー、びっくりした。心臓に悪すぎる。

後ろを振り返って、様子を確かめる……なんて度胸は私にはない。


早くシャルルさんのところに着かないかな。


「……こんなに近いとガンデカイワがこっち側に倒れるだけで、アウトだね」

「ひぃ……くぅーねる? 

私にやめろって言っといて、自分だって怖いことを言ってるじゃない!」

「う……ごめん」


アリアとあーだこーだ言い合っているうちに、ボスデカイワの足元に到着する。


「くぅちん! アリアリ! やっほーだし!」


遥か上空の方でシャルルさんの声が降ってくる。


「ちょっとその場所で待ってるし!」


言われた通りに待機してると、上空から高速で何かがこちらに向かってズドンと打ち込まれた。

何事かと思って覗き込むと、地面に鎖付きの錨が食い込んでいた。


「あ。これって、シャルルさんのアンカー銃だ。これに捕まって上がれってことかな?」

「ぴんぽーんだし! 掴んだら教えるし! 一気に引っ張り上げるし!」

「了解です!」


アリアには一旦、精霊石に戻ってもらおう。

馬車を収納して、鎖にぎゅっとしがみついた。


「シャルルさんっ、準備できました!」

「まかせろしー!!」


がくん、と勢いよく身体が引っ張られる。

私は振り落とされないように、ぎゅっと鎖にしがみつく。

高速で巻き取られていく鎖と一緒に、私はボスデカイワの身体の上へと運ばれた。


***


「くぅちん、アリアリ。天丼ぶりだし!」

「シャルルさん! そうですね、元気でしたか?」

「うちは元気いっぱいだし!」


無事にボスデカイワの上に到着すると、シャルルさんと再会を果たす。

ガンデカイワに囲まれて緊張しっぱなしだったけど、見知った顔に出会えて身体から力が抜ける。


「シャルルさんのおかげで助かりました。ところで、シャルルさんはどうしてここに?」


私はエイジスさんからの依頼でこの場所に来たこと。

そして、ボスデカイワに近づく手段がなく、立ち往生していたことを説明した。

私の説明にシャルルさんは目を丸くして驚く。


「うちも同じだし。あ、うちの場合はその板前ロボからじゃないけど。

別ルートからのクエストだし! でも、内容は同じだし」


なるほど。国がボスデカイワたちの動向を警戒してるって言ってたからな。

色んなところでクエストを発行して、水面下で解決しようとしてるのかも。


「うちはダークエルフだから、自然と会話できるし。

だからガンデカイワと直接話してここまでやってきたんだし」


あ、そっか。ダークエルフも自然の住人エルフの血族だ。

そういえば、森や岩山のような自然と会話ができたわ。

ガンデカイワはモンスターだけど、自然から発生したものだもんね。


『ガンガガガ、ガガンガガ……』

「そうだし。この二人はうちの友達で、くぅちんとアリアリだし。

敵じゃないから安心してほしいし」

「お邪魔してるわ。貴方がこの辺りのガンデカイワのボス、よね。

このダークエルフの子の言う通り、敵対する意思はないわよ」


低い岩と岩が擦れるような音がする。これがガンデカイワの声か。

私には何を言ってるかさっぱり分からない。騒音にしか聞こえないや。


南瓜公園でモングさんにもらった翻訳飴玉(ニンジン臭強め)がここにあればなぁ。

これを機会に今度レシピを聞きに行こうかな。


シャルルさんとアリアは受け答えしてる。

って、あれ? アリアもガンデカイワの言ってることが分かるの!?


「アリア? え、もしかして、ガンデカイワの言ってること分かってるの?」

「私だって精霊よ。自然の声くらい分かるわ!

このボスデカイワ、ツラーの言ってることなら、何とか分かるわ。

他は、訛り? ちょっと意味の分からない言葉があって難しいけどね」


思わぬ収穫だ。よし、アリアに通訳してもらおう。


「えっと、私たちが立っているこのガンデカイワはツラー。こんなことを言ってるわ」


『ワシはツラー。この辺り仕切っとる岩島組いわじまぐみの長じゃ。

うちの若いのが粗相をしたと聞いた。

カタギに手ぇ出して迷惑かけるなんざ、恥さらしもいいとこじゃて。

これも、ワシの躾が足りんかったせいじゃ。すまんかった』


怖っ! 別の方向でさらに怖くなった! こんなこと言ってたの!?

これは完全に裏社会の、ヤのつく家業のモンスターじゃん!

そりゃ、国も警戒するし、表立って言えることじゃないよ!


エイジスさんめ。何が私なら難しいことじゃないだ。

しれっと厄介事を押し付けたな! 

はぁ。エイジスさんの黒い笑みとキリミの高笑いが脳裏に浮かぶ。とほほ。


『親父! やめてくだせぇ! 親父が頭下げる必要はありません!』

『クソったれ。タイドーのやつ……親父の面に泥塗りやがって!』

『おい。お前ら。誰が喋っていい言うた? 

親父の許しもなしに発言するなんざ、タイドーのガキと変わんねぇぞ』

『……兄貴。す、すんません』


「――って言ってるわ。

ところで、親父とか兄貴って言ってるけど、ガンデカイワって全員家族なの?

……あとカタギって何?」


ガンデカイワたちの独特な言い回しに、アリアは始終首を傾げながら通訳してくれる。

私もそういう人たちの口調は、ゲームや漫画程度の知識しかない。

だから、なんとなく、ふわっとした感覚でガンデカイワたちの言ってることを理解する。


『タイドーのことはワシが責任をとる。だから、お前らはもう静かにしろ』


岩島組の組長ツラーの一言で、周囲のガンデカイワはしんと黙った。

ツラーはどうやって責任を取るつもりなんだろう。

タイドーを実力行使で分からせるのかな。


『……』


重苦しい沈黙。このままだと、いつ抗争が始まってもおかしくない。

そうなったら、クエストは失敗だ。


――なんとか、打開する方法を考えないと!

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