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第21話:夜の襲撃、そしてアンデッドの出現

数日後のとある夜のこと、王都でのリサンダー第2の館での真夜中:


闇の中の微かな音......


この時間、屋敷は静かであるはずだった。


しかし、俺の直感がそれを否定した。


微かな軋む音。空気の動き。何者かの気配。


俺は身を固くした。何かがおかしい。


そして——


ガラガラッ!


エレノア嬢の部屋の窓が砕け、覆面を被った影が月光に刃を輝かせながら飛び込んできた。


エレノア嬢は飛び起き、恐怖で目を見開いた。


「な、何——!?」


俺は躊躇しなかった。


すぐに動いた。


「ふーん!」

力強い一歩で前に飛び出し——近くの椅子を掴んで、最も近い襲撃者にぶつけた!

バコ――!


暗殺者はよろめいたが、さらに二人がかりが俺に向かってきた。


俺はかろうじて身をかわし、耳元をかすめるように飛んできた短刀を避けた。

「くっ!」


ドクンドクンドクンー

心臓が高鳴った。これはただの強盗ではない——暗殺だ。


そして、彼らの標的はエレノア嬢だった。


「エレノア嬢は殺らせない!」

力強い声を出しながら、俺は近くの暖炉から火かき棒を掴み、即席の武器として振るった。


「「―!?」」

暗殺者たちは一瞬、躊躇した——

それが彼らの誤算だった。


「ぬっー!」

俺は踏み込み、鉄の棒を一人の襲撃者の腹に突き刺した。

グサー!

「ぐあぁー!?」

男は喉を詰まらせ、よろめきながら後退した。


「調子に乗るなー!」

もう一人の暗殺者が襲いかかり、俺の喉元を斬りつけようとした——


カンッ!

俺はかろうじて刃を受け止め、衝撃で腕が震えた。


襲撃者たちは速い。訓練された殺し屋だ。


しかし、呑み込みが早い俺はこれまで数えきれない訓練の日々と素振りの練習を続けてきた。

こいつら如きで遅れを取るつもりはない。


「はあー!」

ボキー!

「がっー!」

鋭い回転で、肘をもう一人の暗殺者の肋骨に叩き込み、満足のいく骨の折れる音を聞いた。


しかし——


彼らは数が多すぎた。


そしてその時——


「うぎぇ~げえぇ~」

「ゲゲェ~ゲェ~!」

低く、不自然なうなり声が部屋に響き渡った。


アンデッドの出現!


俺が振り向くと——ちょうどその時、二人の暗い影が砕けた窓から這い入ってくるのが見えた。


「うぎぇ~げえぇ~!」

「ゲェ~ゲェ~!」

血が凍りついた。


奴らは人間などではなかった。


肌は灰色で、異臭を放つほどに腐敗している。目玉は不気味で穴から垂れ下がり、死の光を放っていた。


アンデッド【不死者】だ!


「う……こんなものが...」

俺は息を呑んだ。

この世界にきて初めて『人ならざるモノ』と遭遇した!


エレノア嬢は恐怖で息を飲んだ。

「ネクロマンシーよ……!」


暗殺者たちは死者を呼び出していた。


「うぎぇ~げえぇ~!」

「ゲェ~ゲェ~!」

歯を食いしばった。事態はさらに悪化した。


アンデッドの怪物が爪を剥き出しにして襲いかかってきた——


しかしその時——


ピ―――カ!!

眩しい光が部屋の闇を一瞬で照らし出した!

「不浄なるものよ、静かに消え去りたまえ―!」

「ぐええーー!?」

「ガケケーー!!?


聞き覚えのある声。

その詠唱につられて次々とアンデッド達が沈んでいき、床に肉片も残らぬまま跡かたもなく分解した。


俺が振り向くと——


オフィーリア神官がドアの前に立ち、聖なる力に輝く聖杖を握っていた。


「無事でしょうか、エレノア様!クロードさん!」

「あぁ!」

「え、ええ...」


「良かった~!では!」

オフィーリアは次に両手を上げた。


「サンクタム・ルーメン!」

眩しい閃光が爆発し、アンデッドの怪物たちに直撃した。


怪物たちは後退し、聖なるエネルギーに焼かれた腐った肉を引き裂きながら叫び声を上げた。

「ぐぎゃああーー!ゲクー!」

「ゲカ―!ガキャア―!」

................

じゅじゅじゅじゅ....

床に、ただゾンビー達が聖なる光で焼かれた痕が残っているだけだ。

それも徐々に霧散し、聖なる魔力で跡形もなく浄化され、床の黒く燃えた灰だけがそこら辺に点在した。


俺はその隙を逃さなかった。

前進し——即席の武器を一体の残っているアンデッドの頭に叩き込み、床に倒れさせた。


しかし、もう一つのアンデッドがエレノア嬢に襲いかかった。


心臓が凍りついた。


「エレノア!」

彼女の名を叫んだ!


「きゃああー!」

彼女は必死に腕を上げて身を守ろうとした——


しかし、アンデッドが攻撃する前に——


オフィーリアが彼女の前に立ちはだかった。


「ディバイン・バリア!」

黄金の盾が現れ、アンデッドの攻撃を防いだ。

ガタ――ン!カチャ――ン!


エレノアは息を呑んだ。

「オ、オフィーリア様……!」


神官は少し頭を傾け、微笑んだ。

「わたくしの後ろにいて下さいまし、お嬢様」


俺も武器を握る手に力を込めた。


暗殺者たち、アンデッド——彼らは止まらない。


顎を固く結んだ。


これを終わらせなければならない。


「はああーー!!」

俺は回転し、もう一人の暗殺者の膝を打ち、男を地面に倒した。


倒れた襲撃者の短刀を拾い上げた。


これで本物の武器を手にした。


よし。


残りの暗殺者は二人。


まだ立っているアンデッドは一匹。


そして、エレノアの命はまだ危険にさらされている。


オフィーリアと目を合わせた。

「バリアを維持できるか?」


彼女はうなずいた。

「全力を尽くしますわ」


俺は鋭く息を吐いた。


そして——


動いた。


「ぬうー!」

俺は前進し、残りの暗殺者たちに正面から立ち向かった。


カチャ―――ン!カンカン!キンカン!

新たに手に入れた短刀が彼らの刃と火花を散らしながら交錯した。


一人の暗殺者が低く斬りつけてきた——俺はかわした。

「甘い―!」


もう一人が背後から襲いかかってきた——転がり、かろうじて斬撃を避けた。

「その程度かー!」


相手を侮蔑のこもった声で挑発しながら反撃した——短刀で襲撃者の腕を切りつけた。

「があ!」

苦悶のうめき声。一瞬の隙。


それだけで十分だった。


バコ―!

「ぐあっ!?」

拳を男の顎に叩き込み、意識を失わせた。


残る暗殺者は一人。


そして、彼は違っていた。


覆面を被った影が、じっと立って見ている。


干渉しない。助けもしない。


ただ待っている。


目を細めた。


この男は……


本当の脅威だ。


ピカ―――ン!!

そして、最後のアンデッドがオフィーリア神官の聖なる魔法で倒れた時——


覆面の暗殺者がついに前に出てきた。


「見事だ、諸君」

ヤツは何気なく呟いた。


「ふぅぅー」

俺は息を吐いた。筋肉は燃えるように熱く、体は痛んだ——


しかし、まだ終わっていなかった。


「......」

本当の戦いが今始まろうとしているからだ。

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