決断
このまま、ハーネルはエルフの森で暮らす事になり、ハーデル様が時々訪れる事になった。
ヒロ・ガベル・ムトーはリコール運動の最終段階らしい。
帝都では新王ライエルとシェリュー王妃が共同した政が始まったらしい。
ケサンドラ家の本家ケルンドラ家が本格的に動き出したようだ。
一年半後どうなるのだろう?
元許嫁は騎士団長レンゲルの娘だと聞いた。
私はどうする?どうなる?
ゼノス様が水晶を取り出し私に見せてくれる。
私が覗くと、変わらず病院のベッドの上で寝ている私。
「こちらで行きていく事を選べば、むこうでは私はもう目覚めないのでしょう?」
《 そうだな 》
「圭兄はあっちに戻るの?」
「いや、彩と一緒ならどこでも良い。彩はこっちの方が自由なんじゃないか?
出来ればこっちで俺と一緒になって欲しい」
「えっ?」
「彩!俺と結婚してください!」
ウェリーが指笛を鳴らす。
サリの目もなぜかキラキラしている。
皆の期待を裏切れない。
「はい。こっちで圭と暮らします」
《 結婚するつもりならば、身体を持ってこなければならん 》
「身体?」
《 こちらでの今の身体は仮の姿。本物がいる。
あっちの世界から アヤの身体を持ってこられるのは、ケイおまえだけだ 》
「俺?」
圭兄の目の前に黒い穴が現れる。
《 これが最期になるがいいか? 》
「はい。行ってくる。何かいる物あるか?彩」
欲しいものが次々と浮かぶ。
「ひとつお願いが……」
耳打ちすると、圭はにっこり笑って頷いた。
直ぐに私の身体を持った圭が現れた。
「どうして?」目の前にある私の身体は冷たくなっている。
《 大丈夫だ。この身体の上に寝てごらん 》
私の額をゼノス様が触ると、冷たい海の中に沈んでいく感覚?
「キャー!」と私は悲鳴を上げる。
圭が私の手を握っているので徐々に落ち着き、そこから身体が温まっていく。
《 完全に同化出来たようだ。気分はどうだ? 》
「大丈夫です」
圭が私を抱き締めて泣いている。
死んでいく私をこちらに連れてくる時、不安だったに違いない。
そんな時に私のお腹が鳴り、二人で笑う。
二人が大好きだった昔懐かしいあんパンを口にすると、ホロリと一粒の涙が零れる。
あの時、向こうの食べ物が食べたいと囁いたが……。
たくさんの食料や食に関する本など多くの物を持ってきてくれた。
やはり日本の食べ物は美味しい。
美味しい物を食べると幸せだ。
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