チューヨウ国
もう一度ケサンドラ家にやって来たタナカ氏に招待されチューヨウ国に入る。
ケープとユキとノースそしてウェリーまではわかるけど、何故か嬉しそうにシェリューがポポロが引く幌荷馬車に乗っている。
同乗している侍女長のレッカさんが何故か嬉しそうだ。
タナカ氏の別荘に着いたと言われたが中々の豪邸だ。
ただ周りは本当に畑しか見えない。
皆綺麗だと感激している。
位置的にはサンマール村より北にあるのに、ここは温かく年中作物が作れるらしい。
やはりここにも温泉があるので、地表が温かい。
タナカ氏の畑に直行し、トメトに赤い色を付けてタナカトメトにしていく。
三割ほどは普通のトメトとして残しておく。
料理に使うにはこちらのトメトが美味しい。
「私の国では、研究を重ねいろんな種類を増やすの。トメトしても葡萄にしても」
いろんな作物が人によって開発されているのを教える。
畑を見て回ると枝豆がある。
「大豆も作っているのですか?味噌や醤油はありますか?お米は?」
「ミソやソーユはありますよ。オコメはないですが主食のパン・パスタ以外だとライスという物があります」
やった!思わずガッツポーズをする。
夕食は豆腐なども有り和食に近かった。
料理を持ってきたモーズが深々と頭を下げる。
元気そうで安心する。
「アーヤ様は“流れてきた人”だったのですね。
初代王も初代大統領も“流れてきた人”でワ・ショクが好きだったそうです。
ミソやソーユの作り方は勇者の方が持ち込んだらしいです」
ユキを見たモーズがまだ強張った顔で説明を行う。
シェリューが「アーヤはチューヨウ国のことに詳しいわね……」
「日本人ですからね。名前もそうだし……元々は同郷ということです」
シェリューは首をひねったまま、理解は難しそうだ。
ただ大人数で食べるご飯は美味しいし、楽しい。
夕食後、大騒ぎしたのはケープだった。
「アーヤ様、本に色が付いています!」
そうだ。今まで気が付かなかった。
ここは国外になるのだから多くの物に色が付いている。
本も当たり前なのだが、気付かなかった。
皆で色の付いた本に魅入られた。
挿絵が入った絵本も、動植物の本も感動した。
私はとても眠かったが、ケープは一晩中本を読んでいた。
今日は本宅の方にお邪魔した。
目の前の広場に銅像があった。
どこかで会ったような顔の人だ。
「あれは誰?」
「あの銅像の人物は、約百六十年前チューヨウ国の初代大統領になった勇者ケープ・ガベルです。
僕の名前も勇者ケープから取っているんですよ」
「横の人は?」
「勇者の友レン・ガベルで、共に魔王狩りで戦った騎士らしいです。
後に勇者の養子になりダッサク共和国で貴族となっています」
「養子?勇者より年齢がかなり上じゃない?」
「貴族籍で養子になるのに年齢は関係ありません。籍を売るぐらいですから」
「そうなんだ……しかし、見れば見るほど圭兄に似ている」
「ケイニイ?」
「私の兄です。血は繋がらないけど」
―― 中庸は私の嫌いな言葉だ。
自分の心を殺すために常に中庸を心がけた。
目立たぬように全て平均を取って生きてきた。
「中庸って言葉が好きだわ。
偏りが無く中立的、生きていくうえで重要なことだもの」
そう圭兄に話したことを思い出す。
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