本物の冒険者へ向けての冒険へ出発
コホン…と咳払いして姉さんが声を出す。
「えー、話が逸れちゃったけど、次はふーちゃん……まぁ昨夜聞いたけど、どうぞ」
話を戻し続ける。
「私はアスに付いていくけれど、旅に出たいわ」
それだけ言うとニッコリ笑って姉さんと視線を合わせる。
次は自分かと、リュート兄さんが口を開く。
「俺は正直言うと、旅に出たいとは思った事はないな。
ただアスやマコが危険に遭うかもしれないと思ってついて行こうと思っただけだから」
そこまで言うとカップを手にして水を一口飲み、口を湿らせて続ける。
「……昨日…初めて人の命を奪って……本音はとても怖かった。
今まで剣を持ってても、動物を狩るか、威嚇に使うくらいしかなかったから、剣は簡単に人の命を奪えるものだと初めて実感したんだ。
……正直言ってもう剣を振いたくないとも思った。
でもその怖さよりも、アスやマコの安全の方が大切だと、アスやマコに同じ思いをさせたくないと思う気持ちの方が強いんだ」
そこまで言うと、コタに視線をやり、
「コタの言葉にも考えさせられた。
人を簡単に殺そうなんて絶対に思えないけど、皆の命が危なくなったら俺は躊躇わない。
……いや、躊躇うかもしれないけど、必ず守る。
だから旅を続けるなら俺はついて行くぞ」
リュート兄さんの言葉にアス姉さんがありがとうと告げ、続いてボクを見る。
「ボクは…ボクも皆と同じで姉さん次第だけど、ボクはボクで旅を続けたいと思う」
考えた答えを告げると姉さんは頷き、私は…と話し出す。
「旅を続けたいわ。
昨日の出来事はショックだけど、これからも同じようなことがある度思うけど、リュート兄さんやマコに負担をかけるかもせれないけど…旅を続けたいわ。
ずっとなりたかった冒険者になって、やっと旅に出れたのだもの、このまま続けて、あの山脈を越えて…まだ見ぬ地を見て回りたいわ。
コタの言う色んなモンスターや、冒険者ギルドとか言うのにも行ってみたいの」
いや、あるかどうかわかんないよ、と言うコタの呟きは聞き流して言葉を続ける。
「私もリュート兄さんのようにコタの言葉で考えさせられて、今のコタの言葉で気持ちがさらに固まったわ。
皆、私の我がまま……私の夢に付き合って!」
お願い!と勢いよく頭を下げるアス姉さん。
「アスちゃん、私も行きたいのよ。
初めはアスちゃんの夢だったかもしれないけど、今は皆の夢だと思うわ」
ね、とふーちゃんが皆を見る。
勿論皆頷いたよ。
「……ふふふ、ありがとう。
じゃあこれからもよろしくね」
涙の滲んだ瞳をキラキラさせて笑うアス姉さん。
「それじゃあグズグズしてないで、今からでも出発しょうか?
夕方までには次の村に着けるよ」
ミトさんの言葉に
「早速?まあ荷物もそのまま準備できてるけど、朝飯は食べさせてくれよ」
リュート兄さんが笑って言う。
「あら、屋台で何か買って歩きながら食べるのも楽しそうじゃない?」
「アスちゃん、お行儀悪いわよ」
「オイラは食べてから出たいな。
村より王都の方が食べ物の種類沢山あるから食べ納めて行こうよ」
「食べ納めか……そうね、じゃあさっさと食べて一休みしたら出発よ!良いわね」
「勿論」
「良いわよ」
「おーー!」
「行きましょう」
「出発〜!」
「…………何でみんなバラバラなのよ!」
まとまらない皆に笑うアス姉さん、それに釣られて皆笑う。
やっぱり笑っている方がいいよね。
この先楽しいことばかりじゃあないだろうけど、皆で沢山笑える旅になればいいな……いや、そんな旅にしよう。
こうして冒険者の居ない国で、ボク達は冒険者として本格的な旅に出た。
村に戻るときにはボク達はもっと大きな人間になっているといいな。
アスマコ姉弟の冒険はここからなのでしょうけど、成長した二人はこれからも仲間と支え合い、険しい山脈も越えて、昔話の冒険者が居た国へと旅を続けるでしょう。
でもここからはよくある冒険奇譚になるので、一番書きたかった【成長】……楽しいばかりじゃなく、時として怖い目にもあうし、人の命を奪ってしまうこともあり得る、それが私の考える異世界の冒険者なので、その部分を乗り越えて……
マコは目の前の惨劇に、リュートは命を奪ったことにこの先も夢でうなされることもあるだろうけど、まだ見ぬ未来の夢や希望が有れば乗り越えられると思います。
ふーちゃんも短い結婚生活の苦い思い出を、新しいワクワクで忘れられなくても、薄れる事はあるでしょう。
コタは…元の世界で読んだ小説や漫画の半端な知識で周りを振り回して行きそうだし、ミトは一人で楽しそうにしていそう。
皆少しずつ成長して……いるんだよな?
拙い文章で少しでも伝わるといいなと思います。
お付き合い頂きありがとうございました。




