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ふーちゃん

「………アス、出発を少し遅らせていいか?

ちょっと南の村まで行ってくる」

「リュート兄さん、私も一緒に行くわよ」

「ボクも行くよ」

「じゃあミトとフルフラリフルはここで待っててくれるか?

ちょっと行って斬ってくる」

「それなら私は逃げないよう、足を射抜くわ」

3人で頷き席を立とうとすると、フルフラリフル姉さんがボク達を止めた。

「フルフラリフル姉さんは優しすぎるわ!

ギッタンギッタンにしないと私の気が済まないの!」

「いいのよアス、自分のことは自分でちゃんと始末してきたから。

抱えて飛んで、ちょっと高い所から落っことしてやったの」

落っことしてやった?

フルフラリフル姉さんの言葉にボクは若干引いたけれど、アス姉さんとリュート兄さんは、「生温い!」とか言ってるよ。

「落としたくらいだと、足の骨折るくらいでしょ、もっとギッタンギッタンのぐっちょんくっちょんにしてやらないと気が済まないんだってば!」

…姉さん……何か擬音が増えてるよ………。

「ふふふふ、私のために怒ってくれてありがとう。

でも大丈夫、村長の家の2倍くらいの高さから落っことしちゃったから、手も足も変な方に曲がっちゃってたわ。

一応死んではいなかったから、そのまま放って王都まで飛んできたの」

村長の家の2倍の高さって、四階建ての屋根の上程の高さ?

既にぐっちょんくっちょんににしてきたの?

「……そ…そう…、手足が変な方向いちゃってたんだ…………」

「ま……まあ生きているならいいんじゃないか?……」

いつものように「ふふふ」と笑うフルフラリフル姉さんの笑顔が怖い……。

「そ…そうだね」

としか言えないボクだった。



     *****


「はっ!オイラ寝ちゃってた?

いやーいい夢みたよ、おはよアス姉さん、マコちゃん、リュート様、ついでにミトさん………と……」

気がついたコタがタヌキ姿から人型に戻り、皆の顔を見ながら時間外れな挨拶をする。

「はうっ!ラミシェル様!!

これまだ夢の中なの?

リアルラミシェル様がオイラの事を見てるよ、なんのご褒美?

やっぱり夢なのか?

そうだよね、夢だよね……………ならちょっと触っても良いかな…」

「いい訳あるかい!」

鼻息荒く、両手をワキワキしているコタの頭に、アス姉さんのチョップが決まる。

「コタ落ち着け、また変な名前言ってるけど、コイツは俺たちの幼馴染のフルフラリフルだ」

リュート兄さんが言うと、チョップされた頭を押さえていたコタは、キョロキョロと皆を見回して、息を一つ吐く。

「ごめんなさい、余りにも推しキャラそのままだったから、ちょっとリアル感が無くて。

えっと初めまして、マコちゃん達と冒険に出てるコタです。

ラミシェル様と呼んでも良いですか?」

「いい訳あるかい!」

アスチョップ再び。

「アス姉さん痛いって!」

そんな二人のやりとりを見て笑うフルフラリフル姉さん。

「ふふふふ、面白い子なのね。

初めまして、フルフラリフルよ。

私のことはフル姉さんと呼んでくれるかしら」

フルフラリフル姉さんが微笑んで告げると、コタは赤くなった後、真面目な顔をして、

「フル姉さんはちょっと『古い姉さん』みたいだからやめて欲しいです。

…………ふーちゃん……とか?

いや、ちゃん付けなんて馴れ馴れしい、ふー姉さん?

フルフル……ポテトかよ!

え?難しい」

コタが小声でボソボソ言っているけど、丸聞こえだ。

「まぁ、ふーちゃんって可愛いわ。

私ふーちゃんが良いわ、それに決めた」

満面の笑みのフルフラリフル姉さんに、コタは再び顔を赤くして頷いた。

「はい、喜んで」

コタの名付けは変わってて面白いと思うと、後日コタに言うと、

「こんなの全然変わってないよ、普通だよ。

あだ名がないこの世界がかわってるんだよ」

と言われたけれど、世界によってそれぞれなんだなと言うことで落ち着いた。

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