127 小説「ババヤガの夜」
はい、こんにちは。
本日はこちらの小説!
いや皆さまご存じですよね。つい最近、日本人作家として初めて「世界最高峰のミステリー文学賞」と言われる「ダガー賞」を受賞したのが今作です。
前回もお伝えしておりますが、小説「国宝」と同様、書店で平積みになっておりまして、迷わず購入いたしました。
○「ババヤガの夜」
王谷 晶・著 / 河出書房新社(2023)(単行本は2020年)
ページ数としては前回の「国宝」の上・下巻800ページに比べれば200ページ程度でかなり短いので、非常に読みやすくこちらも一気読みでした。もちろん短いからだけでは一気読みにはならないです。面白いのです、引き込まれてしまうのです!
ダガー賞受賞にあたって作者である王谷晶さんがおっしゃっていた通り、こちらの作品は相当バイオレンス描写がきつめです。まあヤクザが出てくるお話なので当然と言えば当然なのですが、女性に対する性的な暴力についての言及も結構きつい感じなので、トラウマがあったり嫌悪感があったりする方にはお勧めしません、はい。
半分ぐらい読み進めたところで私も「これが……? ダガー賞? なぜに???」と思うぐらいの感じではあったのですが、そこは! そこはね! 素晴らしいどんでん返しに見事な叙述トリックがかっちりとはまって、非常に驚くとともに感心しきりでした、わたくしは!
近年、海外では日本の女性作家が注目を浴びることが多いとニュースで紹介されていましたが、これは「なるほどな」と思わざるを得ません。女性であるからこそ描ける部分、女性だからこそ感じている世界に対する感覚があってこそ描ける部分が非常に多いのです。いや単純に女性というか、いわゆるマジョリティに対するマイノリティの人々の視点と言ったらいいのかな……。
というわけでいろんな意味で「ネタバレは絶対禁止!」な作品ですので、本当に冒頭の部分を少しだけご紹介するにとどめたいと思います。
新道依子は、長身で鍛え上げられた肉体を持つ22歳の女性。常に心の中に他人との暴力の応酬を望む気持ちを抱えている人なのですが、ある日ひょんなことから関東有数の暴力団・内樹組に拉致されます。その喧嘩の腕を買われ、否応なしになぜか組長・内樹のひとり娘、尚子の護衛兼ボディガードをさせられることに。
尚子は大学生。大学と、数多くの習い事でスケジュールがびっしり組まれており、その送迎で依子の一日が終わってしまう。そんな日々の中、生まれも育ちもまったくちがい、最初は相いれなかった依子と尚子が少しずつ話をするように。やがて依子は尚子の過酷な運命を知るようになり……。
と、せいぜいこのぐらいでしょうか。
依子の圧倒的な喧嘩のアクション描写は好きな人にはたまらないだろうなと。でもまあ、バイオレンスと性的な暴力の描写がたくさんのため、やっぱり「学校図書館には不向きかなあ……」ということで、こちらでご紹介いたしました~。
でもほんと、あのどんでん返しは体験してほしいなと思います。
なんというか、単純に状況だけのことではなく、読者の頭の中、生きてきた中で培ってきてしまった固定観念までひっくり返された気分でしたよ、わたくしは!
ということで、よろしかったら読んでみられてはいかがでしょうか。
ではでは、今回はこのあたりで。




