110 ストッキング炎上
はいこんにちは。
こちらのエッセイ、ひさしぶりですねえ。
前回ご紹介した「侍タイムスリッパー」はどんどん全国に上映館が広がって、いまだに上映されつづけていてすばらしい!
今回、遂に主役おふたりのアクリルスタンドまで発売されることになったらしく……つい、あっという間にポチりました(笑)。
という話は置いといて。
今回の話題はストッキング!
最近この話題でちょっと某SNSが炎上していて、つらつらと考えたこと、調べてみたことを交えつつ書いてみようかなと。
よろしかったらお付き合いください~。
まずは流れをかいつまんでご説明しましょう。
とあるアカウント(おそらくは女性)が、愚痴吐きがてら書いた言葉が恐らく発端。
曰く「破れにくいストッキングは技術的に作ることが可能。それなのにストッキングがあんなに破れやすいのは、すぐに破れることですぐに次を買わせようとするストッキング製造会社による陰謀!」というもの(原文の言い回しとは異なります。これは趣旨です)。
まあね、この言説は私もどこかで聞いたことはあります。
電化製品なんかでも聞いたことあるしなあ。
それで。
別にもとの記述はどこの会社のこと、と名指ししていたわけでもなかったのですが、これに某靴下を扱う会社の広報アカウントが敏感に反応しました。
それはこんな言葉でした。
「何回も言うけど、『破れないストッキング』は都市伝説、陰謀論の領域です。作れるんなら作ってます」
「『そんな繊維でストッキングとか靴下作ったら、指飛ぶで?』っと。」
こうした言い方が、「高圧的」「男性目線」ということで女性たちから批判を浴びてしまったわけです。
いや、わかるんですよ。「別にそんな意図があってストッキングを脆弱な作りにしているわけではない、デマを広めるな!」と怒りを覚えるのは、プロの製造会社として当たり前のことなんで。
しかし、すでに文言をご紹介した通りですが、この広報さん、ちょいとやりようがマズかった。
別に女性たちは「絶対に破れないストッキング」なるものを求めていたわけではないと思うのですが、なぜか話が「絶対に破れないストッキングなんて不可能!」という主張に変わっている。
さきほどの文言の『』の中は、一般のおそらく男性によるコメントだったんですが、「絶対に切れない繊維でストッキングなんか作ったら、事故でもあったら足がミンチになるぞ、指が飛ぶぞ」と。これを広報さんは引用して、なんとなく女性を見下したようなコメントまでしてしまったわけです。
私もある程度見ていたのですが、言葉遣いのそこここにどうしてもちらつく「女ってバカだからね~」みたいなニュアンス。無意識なのかもしれませんが、恐らくこの広報さん(男性であることは確定)は、どこかで主たる顧客であるところの女性を見下したい、小ばかにしたいという欲求を抱えているタイプなのかな、と思わされるような言葉遣いだったわけです。
ここに女性たちが怒ってしまい、炎上。
週末に起こったことで、週明け、平日になった途端に会社から謝罪文が出され、もとの投稿についてはすべて削除されました。
謝罪文は「広報アカウントとしてふさわしくない投稿でご不快にさせ、申しわけありませんでした」という内容。
ま、広報さんのお気持ちもわかるんですけどね。
人間だもの。
でも個人のアカウントが言うことと一起業の公式広報アカウントが言うことが同列のレベルであっていいはずはなく。
「(バカな)女の顧客めんどくせー、絶対に破れないストッキングなんて作れるわけないっつーの」みたいな空気をぷんぷん匂わせてしまうようなコメントは個人アカウントですべきこと(いやそれでも問題ないとは言い切れませんが)。
もとの「ストッキングをたくさん買わせるために、会社はわざとすぐ破れるような商品を作って売っている」というのはデマでしょうけれども、公的な会社の広報という立場からはまず「そんな事実はございません」と事実の否定をしたうえで、「貴重なご意見ありがとうございます。今後もひきつづき皆様のニーズにお応えすべく、商品開発に努めてまいります」ぐらいにしておけば、なにも問題はなかったこと。
今回のもとコメントはクレームというほどのものではなく、一部デマではありつつも顧客のニーズを知るいい機会ではあったと思われます。
「女性たちは、なるべく電線の入りにくい商品を求めているんだな」と事実を受け止め、ご意見に共感し寄り添って、以降の商品開発に生かせばよかった。
今回の広報さんは「何度も何度も言ってるけど、丈夫なのがいいならタイツや靴下をはいてください」みたいな、ちょっと「ウエメセじゃない??」と感じるような言い方までしていて、女性からの「いやいや、冠婚葬祭ではストッキング履きがマナーって言われてるやん……」という反応も見られました。
ともあれ今後は「広報として」どのようにみなさんのご意見を吸い上げ、反応すればよいのか、もう少しスキルを磨いたうえで活用されたらいいなと思います。
ちなみに私は、ものすんごくストッキングは苦手です。ですので、可能な限り履くことはありません。
べつに職場でもどうしても履かねばならないわけではないですし、本当に苦手なもんで、ほぼ日常では履きません。ほぼほぼパンツスタイルで、そこに靴下履きです。
それでも卒業式や冠婚葬祭など、パンツスーツでもストッキングにならねばならないタイミングはどうしてもあり、毎度「イヤやな~」と思っているクチです。
今回、この件に関連していわゆる「ストッキング」というものがどのように発展してきたかを見てきたんですが、かなり古い時代から存在してきたもののようですね。古代ローマ時代からあるとか。そのときは男性がブーツの下に着用していたらしいのですが、女性も履いていたと推察される記述もあるとか。
そういえば中世、近世の肖像画などでも、白のストッキング的なものを履いた男性の絵がけっこうありますもんね。つまりやっぱり「正式な場での装束」という位置づけ。
それが近年になっても続き、結婚式や葬式など冠婚葬祭の場、正式な式典などの場ではほぼ「社会人としてのマナー」として定着。男性が履く場面は消えていき、女性にだけ残ったマナーとも言えるようです。
しかし、男性がスーツに靴下でいいのなら、女性もパンツスーツに靴下でいいような気がしますがねえ。パンプスなんかもかなり足が痛くなりやすいですから、男性と同じように靴下に革靴を履く……に変わっていってもよさそうなものです。とりあえず、「その方が美しく、見ている人が心地いいから」というだけで、着る人に痛い思い、しんどい思いをさせるのはどうかと思う。
ちなみに日本女性であれば、王族が来るようなパーティの場ならむしろ和服にする方が、格の高いお着物を選べばどんな場に出ても失礼ってことはないですし、いいと思うんですよね。その場合、履くのは足袋やけど!(笑)
という、とりとめもないお話でした~。
ではでは。




