この世界について
誤字などありましたら申し訳ありません。
呆然としていた僕だがこのメイド(仮)さんの連れてきたお医者様の
「お嬢様お身体は大丈夫なのですか?」
という声にハッと意識を取り戻し、そういえば腹を刺されたのに痛くないことを思い出した。
服をめくって確認するが傷のあとすらない。
服をめくる時にメイド(仮)さんの注意する声がしたが無視した。
その後、ベットに戻り医師からの診察を受けた。
僕は嘘いつわりなく、医者に今までに起きたことを話した。
「頭を強く打ったからか記憶の消失や混濁があるみたいです。ふとしたことが原因で思い出すことがあるかもしれませんので思い出ばなしとかをしてあげてください。では、私は帰る前に旦那様にお嬢様の容体を伝えてから帰りますね。」
医者が出て行って、しばらくすると金髪が綺麗で整った顔立ちをしている男性と黒い髪が綺麗な清楚な雰囲気を持っている女性が入ってきた。
男性は泣きながら「無事で良かった。」と喜んでいた。
女性が「記憶がなくなってしまったというのは本当なのですか?アリス!私達のことも忘れてしまったのですか!」と言われたが僕には本当のことを言うしかなく、悲しそうな顔をしていた。
その横にいた男の人が「生きていてくれているだけでいいじゃないか。先生だって言っていただろう。そのうち思い出すかもしれないと。」と言い女性を落ち着かせていた。
落ち着いた後に
「さて、まずは自己紹介からだね。
私の名前はオリバー・ウィリアム。
君の父親で、
隣にいる彼女は僕の妻のソフィア・ウィリアム
君の母親だ。」
その後、オリバーさんは今の僕について色々話してくれた。
今の僕の名前はアリス・ウィリアム
とても綺麗な黒髪に黒い目の美少女と呼んでも差し支えない程整った顔立ちをしていると思う。
母親譲りなのだろうか?
ここの家はウィリアム家。
由緒正しい公爵家らしい。
この、アリスちゃんは5歳で年相応におてんばなお嬢様らしく、木登りをしていたところ足を滑らせて落ちたらしい。
頭を強く打ち一週間ほど目が覚めなくて
「もう2度と目覚めないことも覚悟していてください。」と言われていたらしい。
(…ん?アリス・ウィリアム?どこかで聞いたことがあるような…
あ。そういえば兄さんからもらったゲームの悪役令嬢にアリスちゃんって名前のキャラががいたような…
そういえば容姿も似ている…
とゆうことは、ここは、あのゲームの世界…?)
そして、メイド(仮)さんは僕の専属メイド、エミリーさんらしくほんとうのメイドさんであることが証明された。
色々聞いて混乱してきた頃にオリバーさんが
「色々と話したから混乱しているだろう。少し、休んだほうがいい。顔色も、悪いからね。」と休憩タイムをくれた。
オリバーさんとソフィアさんが出て行き一人になった時、僕はあの乙女ゲームを思い出そうと必死に考えていた。
僕はヒーローの真似をするためにしていただけであってやりこんでもないしストーリーも細かいところまで把握していない。かろうじて覚えているのがヒロインのアメリアとメインヒーローのヘンリーそして、この悪役令嬢役のアリスちゃんのストーリーくらいだろう。ほかの攻略対象は初めのキャラ紹介で顔だけなら知っている残り4人とライバル令嬢4人程度だ、この4人は攻略情報を読んだがおぼろげであまり詳しい記憶もない。
そんな中なぜ、悪役令嬢アリスちゃんをフルネームで覚えているかというと中々この子は所業がひどい。そしてそれに比例して最後のしっぺ返しもひどい。とてもインパクトがあるキャラだったからだ。
アリスちゃんはメインヒーローでこの国の第2王子であるヘンリー王子に一目惚れをする。
家の権力を使いアリスちゃんはめでたく王子の婚約者候補の中に入る。
ヘンリー王子は無類の女好きだから、アリスちゃんにもとても優しい。その態度のせいでまっすぐなアリスちゃんは自分のことが好きなんだ!と勘違いをする。
いいところのお嬢様であるからかジャイアニズムまっしぐらなアリスちゃんはヘンリー王子は私の旦那様!誰にも渡さないわ!邪魔をする奴は潰してやる状態
水面下でほかの婚約者候補に嫌がらせをして潰していく。ひどい時は家ごと潰してしまう。
そして、16歳になると貴族が通う学校に通わされる。
そこでヒロインであるアメリアちゃん登場
アメリアちゃんは庶民で頭の良さを買われて奨学金で入学してくる。
そんな子は今までいないので入学した途端に有名になる。
そんな有名な女の子ならさぞ面白いだろうとヘンリー王子は落としてやろうと近づいてくる。
予想とは裏腹に、ほかの女の子のように自分にメロメロにならないアメリアちゃんに興味が湧きヘンリー王子がストーカーとなる。
その様子を面白くないのがアリスちゃんでアメリアちゃんにひどい嫌がらせをする。公爵のご令嬢なのでとりまきがいて、そのとりまきに煽られて嫌がらせが加速していく。
どんだけひどいかというと、トイレの水を飲ませたり、ゴミを口の中にねじ込んだり、服をズタズタに切り裂いたりと、本当にひどい。
挙げ句の果てには屋上から落として殺そうとする。
その後、ヘンリー王子によりこの嫌がらせがばれて殺人未遂で牢獄に幽閉。
その後自分を守ってくれたヘンリー王子にアメリアちゃんが惚れて結婚。
バットルートはアメリアちゃんが死んじゃって殺人罪で打ち首。
たしかに、当然の仕打ちだろう。
だが、それは、他人事であるからである。
僕は今回打ち首にされるほう…いやだ!死にたくない!
どうにかしないと、どうにかして僕の平穏な日常を守らないと。
どうしたら。どうしたらいいんだ…
あ、女の子を落として味方につけよう。
そうすれば死ななくて済む…。
よし、僕の未来のためにヒロインおよびライバル令嬢をメロメロにさせてやる!
そして、ヒーロー達が僕に手出しできないようにしてやる…絶対にだ!
僕はこの世界を生き抜くために前の世界のポテンシャルを発揮することを強く誓った。
ありがとうございました。