第三十三話 BLOOD
「行くよ?ワンコ、グリーン。」
先ほどまでは圧倒していたはずの男が、今度は逆に押されている。“親衛隊”を名乗る男の攻撃を避け、二対の剣を操り的確に急所を切り裂いていく一人の“人間”。回し蹴りを腹部に直撃させ、怯んだその瞬間に片腕が切り落とされる。
「人間風情が!この私を誰だと思ってる!?私は魔王親衛隊の一員だぞ!?」
「別にあんたが誰だろうとどうでもいい。でもあんたを“殺さないと”罪の無い人間が犠牲になるんだろ?」
残った片腕で反撃をするも、回避され腹部が切り刻まれる。
「この…化け物が!」
「少なくともあんたには、言われたくないよ」
血飛沫が飛び散る、戦いはフィナーレを迎えようとしていた。
「魔王様!親衛隊隊長!私は、この反乱者を!」
勇ましく突撃する“親衛隊”の男。
戦いは“親衛隊”の死によって幕を下ろした。だが、それと同時にもう片方の男も気を失い、地面に伏した。
~to be continued~
「二つのクリスタルが破壊されたか…面白い。」
薄暗い一室で、魔王に行われた報告。
「それで、王都は占拠したか?」
「はい。あとは…」
魔王が一声発すたびに、底知れぬ邪気が部屋を満たし外へ溢れでる。
「では任せたぞ、“親衛隊隊長”よ」
「かしこまりました」




