第30話 再会
「「あ、暑すぎる…。」」
ヒルマとネシュカは21階層に来ていた。
21階層から30階層は、活火山のようなエリアになっている。
あちこちで溶岩が流れ、火山性のガスが噴出している。また、生息する魔物もラーヴァスライムやモノギガスと呼ばれる一つ目の巨人、ファイヤーリザードなど、炎耐性を持つものが多い。
「ネシュカさんが水魔法を使えて助かりました。水分がないとすぐに干からびそうです…。」
「ですね…。これ、金属鎧の人とか大変ですよねっ!」
「高性能な魔道具を用いて、冷却したりしながら進むらしいですよ。あとは、常に冷風を纏う魔法をかけてもらうとか。」
「そ、その魔法、ちょっと練習してみます!」
「ぜひ、お願いします…。」
黒々とした岩石を踏みしめて進んでいく。
熱風が吹き、空は黒い雲が覆っている。汗が滝のように流れ、歩くだけで体力と気力を消耗する。
セグレタダンジョンにおいて、この21-30階層が大きな関門となっており、上位冒険者でさえ苦戦すると言われている
「「シュルルルッピシャーッ!!」」
岩の上から鳴き声がした。
「ファイヤーリザードです! 2匹います! 炎を吐いてくるので注意してください!」
「了解ですっ!」
ファイヤーリザードがとびかかってくる。この巨大なトカゲはCランクの魔物で、群れる習性がある。また、炎を吐きかけてくるため、注意が必要だ。地を走る小型のワイバーン、といったところである。
「プヒャアアアアアッ」
一匹のファイヤリザードがヒルマに炎の息を吐きかけた。
「シッ」
「ピヒャッ!?」
ヒルマの剣は炎を斬り裂き、そのままファイヤーリザードを両断した。
「アイシクルランスッ!」
「ギュピッ」
一方のネシュカ、慌てることなく氷の槍を発射し、ファイヤーリザードを串刺しにする。
すでに、Cランク以上の実力者となっていた。
「お疲れ様です。危なげなく倒せましたね。」
「はい!事前に氷系の魔法を練習した甲斐がありました!」
「この調子で今日は23層くらいまで行ってみましょう。モノギガスには要注意で。Bランクの魔物なので、もし遭遇したらちゅー魔法とビームを解禁して戦います。」
「Bランク…大丈夫でしょうか…?」
「大丈夫ですよ。絶対にネシュカさんには近づけさせませんから。」
「っ!!あ、ありがとございましゅ…。」
「っ! い、いえ…。」
二人の汗の量が増えた。
◎
「ウォータージェット!!」
ぶしゅううううううううっ
溶岩で体を構成されたスライム、ラーヴァスライムに大量の水が浴びせかけられる。
大量の水蒸気が上がり、ラーヴァスライムが黒く変色し、動きを止めた。
「ヒルマさん、今です!」
「ふんっ!」
ばごっ!がらがら…
「やれやれ、ラーヴァスライムは剣士の天敵ですね。斬りつけても再生するし、剣自体も高熱で摩耗してしまう…。」
「現状、水魔法で固めてから一撃で斬り殺すのがベスト、ですね…。」
「しばらくはこの方法で乗り切りましょう。」
ヒルマとネシュカが21層に進出してから一週間、二人は25層まで進出していた。
危なげなく攻略を進めていたが、ラーヴァスライムの討伐に少し難儀しているところであった。
「ん?どうやら誰かが戦闘しているようです。」
小高い岩石の丘の向こう、目を凝らすと誰かが戦っていた。
二人組の男女で、相手はモノギガス。それも、二体。
「どうやら苦戦しているようです!助太刀しに行きましょう!」
「了解ですっ!」
◎
「だぁから無理だって言っただろうがッ!なんであたしの制止を振り切って突撃したんだこのアホ!」
ドワーフの女性が巨大な槌を振るい、モノギガスの拳をいなしている。
「うるさァいッ!俺たちに不可能はないッ!現に戦えているではないかッ!」
一方はエルフ。細身の体には見合わぬ戦斧を振り回し、モノギガスをけん制する。
振り回される戦斧は炎を纏っている。
「吹き飛べェーーッ!フレイムグレネードッ!」
エルフの男が戦斧を地面に突き刺し、強力な炎魔法を放った。
指先から飛び出した高熱の炎の塊は、モノギガスに着弾。そして。
ボグゥォオオオオオオオオオオン!!
大爆発した。
「ぶはははははは!見たか!これが俺様、“炎熱”の力よッ!って痛ぇっ!!」
ドワーフの女性が容赦なくエルフを槌の柄で殴りつけた。
「このドアホ!!!あたしまで殺す気かァ!!」
「武器でぶん殴るやつがあるかァッ!貴様こそ殺す気かァッ!」
「「ガガガダァアアアアアアアアッッ!」」
突如、巻き上がる爆煙の中よりモノギガス二体が飛び出してきた。
全身から血を噴き出しているが、まだまだ元気そうだ。
それもそのはず、ここは活火山エリア。このエリアに生息する魔物は軒並み、高い炎耐性を持つ。
「「あ、やべ。」」
無防備な二人にモノギガス二匹の拳が迫る。
「プロテクションッ!」
突如二人の前に、光り輝く魔法障壁が展開された。
その魔法障壁はBランク魔物であるモノギガス二匹の拳を受け止め切った。
フッと。
拳を防がれたたらを踏むモノギガス二匹の前に、ふわりと青年が現れた。
「「ギガァアアアアアアアアアアアアアアアスッッ!!」」
イラ立ちからか、モノギガスたちは雄たけびをあげて青年に突進する。
豪ッ、と音を立てて迫りくる巨体。身長は10mは優に超えている。
青年は水平に長剣を掲げ、跳躍。
神速の速さで剣を二度、振りぬいた。
「「ガァッ!?」」
モノギガスの視界が暗黒に染まる。
唯一の弱点とも呼べる、一つしかない眼球をつぶされたのだ。
「「おんどりゃあああああああッ!」」
エルフとドワーフの女性が、それぞれ戦斧と槌を振り上げ、モノギガスの頭に叩きつけた。
ぐしゃっ
ズパッ
一方は頭を完全に潰され、一方は首を斬り落とされた。
「…こんなところで会うとは。助かったぜ、ヒルマ。」
「こちらのセリフですよ、グレラさん。お久しぶりです。」
ダンジョンにて、ヒルマとグレラは再会を果たした。
「ヒルマさ~ん!ご無事ですか!」
「う、うおおおおおい!!なんだあんたら!!すげえ強ぇじゃねえか!!」
それぞれの仲間と共に。
作者のおしり炒飯と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
本作、カクヨム様にて、先行公開しております。
続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。
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