表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

裏の縁談

3部作構成話で予定。

 ――その後。

 長い身体検査後、盗みなどがなかったとわかり改めて信用されたユウたちだったけれども、過ちを犯したことは変わりなかったために株式会社フィジアークからユウたちだけ追い出され、そのまま帰途についた。久遠時名花は監査官としてまだ業務があると中に残っている。

 ユウは帰途につきながら夕焼けの赤い空は青く染まりだして、夜へ変わる空を見つめた。

 そんな夜空を見上げると過去に幾度となく孤児院の中庭で姉やレナに茜と見た星空の景色をユウは思い出した。

 その時にぎゅっとお互いに離れないようにと握りしめたあの右手。

 フィードバックするがごとくよみがえるのはその右手があったあの会社の金庫室での光景だった。

 おぞましく財産のごとく保管された右手。あれをどこかに売り飛ばそうとしているのはいい気分ではない。


「くそっ」


 荒ぶる感情をどこかへ追いやり切れず先ほどから毒を吐き捨て物を蹴りつける。

 行きかう人がユウのその行動を見て距離を取ってひそひそと話す。

 今は、ユウはただ一人となっていた。

 久遠時名花に送迎を勧められたがユウは一人になりたい断りを入れて、こうして一人で帰途につき街中を歩いている。

 レナは久遠時名花のリムジンで寮に送迎してもらっていた。当初、レナがユウに同行をしようとしたがユウがそれを拒否し、強引に彼女を茜に押し付けてしまった。


「謝罪の電話を改めてしないとな」


 冷静になってきた頭で次第にそんなことを考えた。

 ふらっとした体を抑えるようにして壁にもたれかかった。

 いつのまにか隔離区の街に来てしまっていた。

 ついぞ、笑ってしまう。ここには懐かしいものがおおく散在してしまい卑屈な気持ちになった。


「ハハッ、俺ってやつはとことん過去にすがりついてんな」


 とぼとぼとした足取りで危険な隔離区の夜を歩き続けると道中で『cybarz社』の製品らしいAIの部品を持ち運んでる連中と行き違う。


「げへへ、コイツを星宮の関係者に売っちまえば金持ちだぜ!」

「これ、すげぇ重」

「うだうだ言ってねぇで運ぶんだYO!」


 3人は隔離区を散策し、星宮のいいなりとなって雇われてAIを壊してその部品を持ち運んでいるようだ。どうせ、殺されるとも知らずに彼らはその荷物を慎重に持ち運んでいる。

 彼らも明日の奴隷にされるのであろうことは明白だ。

 ユウはその3人を憐れみの目線で背中を見つめ続けてふと、気付いた。

 その部品の一部に見覚えのある金属があった。


「おい、そこのあんたら止まれ」

「あんだぁ?」


 見覚えのある部品はブローチのようなもの。

 それは過去にユウがいた孤児院の生徒が『数馬孤児院』の院生である証としてつけていたものに凄いそっくりだった。

 今のユウも腕に首にかけたネックレスにブローチをくくりつけている。

 そもそも、なぜAIの部品にそのようなものが組み込まれてるのか。

 ただの、似てるだけでユウの勘違いと言うことも考えられたがユウには確信があった。

 いやな考えが浮かぶ。

 AIの移植実験。『妖獣』の捕縛。銀燭の戸棚にあった『数馬孤児院』の同期の仲間の名前。



「そのAIの部品を見せてくれ」

「と、突然なんだよ」

「あんた、ここらの住民じゃねぇな。その服装、成城の生徒か?」

「ケケッ、こりゃぁいいかもだYO!」


 3人のうちのリーダー格の赤い短髪に隻腕の男が右腕に掲げた部品を見せびらかすようにして宙へ放り投げた。


「オレはここらじゃあ有名なんだぜ。この腕も『妖獣』と殺し合って奪われたんだ。腕力じゃあ負けねえよ!」

「っ!」


 そっちに気を取られた瞬間に、隻腕の男は拳を振り上げた。

 視線誘導による巧みな攻撃。ユウは長年の経験でその行動を見え透いてるかのように動いて拳を受け止めていた。


「なっ」


 そして、部品が地面に落下して粉々に砕ける音だけが隔離区内に響いた。

 足元に転がるブローチ。それは確実に『数馬孤児院』のブローチだった。


「っ! 離せ! このぉ!」


 止められた拳を必死で離せともがきユウへ蹴り続けてくる隻腕の男を憐れんだ目で見下ろした。

 隻腕の男の仲間も続いて飛びかかってくる。

 一人は金髪に長身、肩に入れ墨のある男、もう一人はスキンヘッドに角ばった顔の男。両方とも隔離区で生きてきただけあってガタイはよく鋭い拳を放った。

 ユウは容赦なく隻腕の男でその拳をガードした。

 男の背中に二つの拳がめり込み隻腕の男が苦悶の叫びをあげた。


「てめぇら俺にあててんじゃねぇ!」

「すまねぇぞ」

「こいつ卑怯だYO!」


 隻腕の男をユウは放り投げつけ足元に散らばった部品の一部を手に取った。

 ブローチを握りしめて走る。

 ブローチの裏は血さびで赤黒く変色しわずかに変色していない個所に名前の書かれてあった存在を確認する。

 同期の仲間のものだと知った。

 それはつまりは『cybarz社』は姉だけでなく他の子供でも何かよからぬ実験をしていたということを示唆した。


「わかってたさ。あいつらが飛んでもねぇ悪党だって! くそっ! こんなことってあるかよ!」


 ユウは『数馬孤児院』との因果関係を考えた。『cybarz社』は明らかに狙っていたような感じである。

 じゃあ、もしかしたら『数馬孤児院』の院長先生は知っていたのか。

 頭の中には明るかった過去が黒に染まっていくような映像へ切り替わっていく。

 吐き気が込み上げる。


「なぁにごちゃごちゃ言ってよそ見してんだぁ!」


 隻腕の男の拳がユウの顔面に入った。男は微笑んだ。だが、次に垣間見たユウの顔を見て血の気が引くように青ざめた。ユウの瞳はまるですべての憎悪を宿す人間が出せぬような瞳をし、唇を引きつらせて怒ってるのに笑ってるというあまりにも狂気じみていた。


「な、なんだよこいつ」

「に、にげるぞ!」

「や、やべぇYO!」


 3人がその束の間に逃げようとしたが瓦礫の奥から何かが飛びかかってきた。

 真っ先に食われたのはピアスの金髪。肉と骨が砕け引きちぎられるような音が響き、金髪男の絶叫が夜闇に轟いた。

 男の仲間の二人は何が起こったのか分からず茫然自失と自分らの仲間の上にまたがって咀嚼する怪物を見た。

 銀色の体毛に4つある赤い瞳。まるでキツネのようでいるが足はウサギで尾っぽはトカゲのように鋭い。

 『妖獣』だった。


「なんでこんなタイミングで『妖獣』がでてくるんだ!」

「うわぁあああ!」


 スキンヘッドは隻腕の男を置いて逃亡を図った。

 隻腕の男が置いていかれたことに腹を立て怒鳴り散らした。

 ――しかし、その瞬間だった。

 砕けた舗装道路を逃亡経路として駆けだしていたスキンヘッドの男が目前で数体の『妖獣』に群がられた。

 結果として逃亡ではなく自殺に行った形となった。


「な、なんでこんなに群がってるんだよぉ」


 いつのまにか気づけば同じような種類の『妖獣』が何百と群れをなして廃墟となった建造物の陰から顔を出してこちらをうかがっていた。

 周囲を一帯を囲っていてどこにも逃げ場はなかった。

 ユウは冷静にその光景を見てから足元に転がった部品を見た。


「さっき、この部品を落とした音で呼ばれてきたか」


 この状態をどこで知ったのかいつの間にか上空には『cybarz社』のドローンの存在もあった。

 あまりにもタイミングがよすぎた。

 彼らはあらかじめ観測していたのだろう。



「なんて奴らだ。結局コイツらを『妖獣』に捕食させる気だったの」


 ユウは自衛のために拳銃を引き抜こうとして手を止めた。

 ユウは自らの格好を見て嘆息する。

 『黒衣者』の時に装備してる一式の服装ではなかったし今はただの学生でしかない。

 防弾防刃のトレンチコートを着込んでれば警備ドローンを通してこの状況を見てる彼らにも『黒衣者』の存在が黒木勇であるとばれる可能性が大きい。その身体的行動からアイツらは検索をかけるだろう。

 今は顔も普通にさらして成城の制服を着こんでいればさらに学生の中で簡単にヒットする。

 『株式会社フィジアーク』ではただの学生ボディーガードマンとしての同行だったため、制服姿で問題はなかった。


「どうする?」


 この場からの脱出方法を計算して考える。

 真っ先に想いついたのはレナへ連絡をすることだった。

 ニューワーカーを起動して通信を開始したら『エラー』となる。


「なに?」


 電波回線がつながっておらずまるで、外部から遮断されてるかのようだった。

 これでは助けさえ呼べない。


「そうか、今までの奴らがどうして仲間も呼べずに簡単に食われたのか。これか」


 救援の連絡遮断。

 警備ドローンが明らかに遠方からこちらをじっと観察している。

 『妖獣』がじりじりと迫ってきているのに助けようとさえしない。

 食わせる気なのだ。


「やっぱり世の中は変えなくちゃいけないな――となれば、おい、そこの隻腕の男」

「っ! なんだ? 急に話しかけんじゃねぇ!」

「慌てるな。奴らは今観察してるだけに過ぎない。刺激を与えなければ奴らから攻撃はしかけない」

「あぁ!? なんで、そう言いきれんだ! ダチは食われたんだぞ! なにもしてないのに!」

「それはだ、金髪の男はまずピアスをつけていたことが原因だ。夜でも金属系は反射をする。それが『妖獣』の眼には光がわずかに映り込み刺激を与えたんだ。そして、スキンヘッドは逃亡して動いた。それが原因だ」

「な、なんでそんなことわかるんだよ」

「……」


 その質問には口を閉じ、ユウは細めた眼でAIを伺った。


(盗聴器の存在はなしか。この会話だけでも危ういが状況はやむなしだ)


 懐から常に携帯してる銃を一丁取り出し、それを隻腕の男に放り投げた。


「それは道端で拾った銃だ。それをまず一匹に向け発砲しろ。俺も続けて発砲する。そのタイミングで獣が群がってくるだろう。だが、群がる寸前北へ全力疾走しろ」

「んなっ! さっき刺激するなっていっただろ! 矛盾してるだろうが! つか、逃げ切れるわけねぇだろう! 相手は『妖獣』だぞ!」

「いいから、やれ。やらないとお前の頭を俺が撃つ」


 ユウは容赦なく冷血なまなざしで男の脳天に照準を合わせていた。

 もう一丁、もちはこんでる拳銃を使って。


「く、くそぉ!」


 隻腕の男にとっては今は策がない。

 その為にユウを信じて発砲した。

 発砲をしたのはユウの足だった。


「うぐっ!」

「簡単に信用できっか! てめぇが餌になりやがれぇ! あははは!」


 男はユウを囮にして逃亡をする。

 しかし、逃亡先に待っていたのは大型のあのアルマジロの『妖獣』だった。


「なっ!」


 ユウはおもわず息を呑んだ。

 あの『妖獣』が生きていた事実に。


(どうやって抜け出したんだ!)


 アルマジロの『妖獣』は目の前にいた隻腕の男を食った。

 男の悲痛な叫びが隔離区内に反響する。

 アルマジロの『妖獣』の足元に下半身だけとなった隻腕男の一部が落下した。


「くそっ! どうする!」


 ユウの足は動けそうにない。

 アルマジロの『妖獣』はじりじりと近づいた。

 そして、ユウの目の前に立つ。


(『cybarz社』と『妖獣』……実験……やっぱり……母さんと父さんの実験を奴らは最悪な方法で引き継いで……ごめん、父さん、母さん、それに姉ちゃんみんな……オレは結局みんなの仇を……)


 ユウの顔には悲嘆の表情が浮かんでいた。

 しかし、『妖獣』はユウをいつまでたっても食べようとしない。

 代わりに『妖獣』は群衆である『妖獣』へ向かってむさぼり食らい始めた。


「へ? な、なんだこれ?」


 アルマジロの『妖獣』はさらに警備ドローンも攻撃を始める。

 ユウは唖然としたが逃げるチャンスだと思い逃亡を開始した。

 今までにないケースを目撃してわけのわからなくなる。幻でも見ていたのだろうか。

 痛みが現実だと思い知らせる。

 どうにか、妖獣がいた拠点から大分離れた廃墟の密集地に到着した。

 そこで、数名の男がたむろして遠方から聞こえた叫びに同情を抱くような会話をしていた。


「おい、今の悲鳴どっからだ?」

「たぶん、星宮の連中に雇われた奴らだろうよ。食われたんだろうな。ここ最近大分隔離区も人が減ってるし」

「だよな」


 ユウは男たちに近づいた。


「なぁ、あんたら星宮って言ったよな? どこで彼らが取引していたかわかるか?」

「ん? なんだクソガキ、おめぇのようなガキがかかわる仕事じゃないぞ。帰れ」

「そうだそうだ。なんなら、身ぐるみはがされてぇのか?」


 彼らは舌なめずりをし近づいてきた。

 ユウはその場から離れる。

 相手にするだけ無駄だったようだった。


「星宮源内、懲りずに奴隷の手配にまだ活動してるのか」


 彼と言う存在にはつくづく幻滅を抱いた。

 彼の娘はあれだけいい子なのにどうしてなのだろうか。


「ん? あれは源内!」


 基地へ向かい歩いてる道中に数名の男女を目撃した。

 件の噂の十中にいた星宮源内、その娘の星宮香苗に20代くらいの金髪の青年。どこかで見覚えのある顔をしていたが思い出せない。


「ふむ、なるほどなるほど。では、まだ決めかねると」

「ああ、そうだ。だから代わりに別の者を提供する」

「では、その者はどこです?」

「もう少し待ってくれ!」


 何かのトラブルのようだった。

 物陰に隠れて聞き耳を立てる。


「はぁー、あのですね。これは懇意な関係になるチャンスだとわからないんですか? 私はあなたのお嬢様を気にいってるんです。ですから――」


 若い金髪の青年は鐘の腕をひいて顎先に指を添える。

 香苗は抵抗してその身体を突き放すと金髪の男が鋭い眼光で睨みつけた。


「おい、なに拒否してんだ?」

「ま、待ってくれ! まだワシも承諾できない! 娘はまだ結婚するには早い! だから、君たちが望むものを提供してそれでなかったことにはできないか!」

「ええ、それでも構いませんよ。ですから、それがあればでね」


 不穏な会話。

 どういうわけか、金髪の男と香苗お嬢様による縁談交渉だった。

 しかし、縁談には先方の星宮源内は反対らしくどうにか別の供物で交渉を取り持とうとしていた。


「はぁー、もう待てませんねぇ。ならば、こうしましょうか。明日は本来婚姻発表日でしたが代わりに明日に両方やりましょう。ボクの正式なフィアンセになることを決め発表する」

「い、いや! 私には心に決めた人がいますわ! あなたなんかとお付き合いいたしませんわ!」

「へぇー、拒みますか」


 彼は指を鳴らすと上空から駆動音が聞こえた。

 ユウは空を見ると一基のドローンが彼らの前に着陸した。

 ドローンの上には何かが乗っていた。

 星宮親子が引きつった声を上げ香苗は泣き叫ぶ。


「これが源内議員、君が供物にささげる予定だった代物だよね、ボクはねぇこんなもので悦ばないよ。僕がほしいのはキミの娘のように綺麗で純粋無垢な乙女さ」

「な、なんて卑劣な行いを」

「よく言うねぇ、どうせ捨て駒にする気だったように先に彼らを扱ったのは君だろう?」

「わ、ワシはただ彼らにAIの部品を調達させただけで」

「はあ? あれは僕のお父様が開発したもんだ。ボクがほしがると思った?」


 そこで、いろんな話が結び付いた。

 ドローンの上に乗っていたのは人の下半身だ。それも先ほどの隻腕の男の下半身である。

 着こんでいたジーパンがその証拠だ。

 隻腕の男たちが行っていた『星宮に雇われた』という遠まわしに言っていた言葉。彼らはこの青年に供物をささげるためのブツを運んでいたんだ。

 しかし、『妖獣』の奇襲を受けた。

 『警備ドローン』はタイミングよく表れたことから察するに『妖獣』を仕向けた? とでも考えるべきか。

 金髪の男は先ほど『警備ドローン』の部品を『お父様のが開発した』と言う言葉から彼が何者アk特定できた。


(木藤栄治社長の息子か!)


 衝撃的な事実に息を飲み緊張感の中交渉の結末を見守った。


「す、すまない! こんなものしか今のワシには出来ぬ! 娘だけは勘弁してくれ!」

「おい、ジジイ」


 木藤栄治の息子は容赦なく星宮源内の胸倉をつかんだ。


「あんまりチョーしに乗ってるといつか殺すよ。ボクはねぇ人を壊すのがだ―いすきなんだ」


 そう最後に言って彼は香苗の手の甲にキスをして去っていく。

 紳士的な最後の振る舞いは今までの発言で恐怖的な概念を植え付ける行動でしかない。 

 最後に残った星宮親子は憔悴しきっていた。


「お、お父様、どうしてですか? なんで、あんな人の――」

「この街で生きていくためなんだ。わかってくれ!」

「私、嫌です! あんなおぞましい人なんかと私は……私は……」


 彼女が泣き叫ぶ声が響いた。

 どこから着信音が鳴った。

 星宮親子が周囲を確認するように首をめぐらし続けていた。

 ユウは自分のニューワーカーだと気付いた。


「な、なんで通信このタイミングでつながってんだ!」


 慌てて着信に出ると相手は崎守雪菜だった。


『もしもし』

「い、今は取り込み中だ。後で頼む!」

『何言ってんのよ。聞いて頂戴。明日の『cybarz社』社長のパーティーでわかったことがあるの』

「あ?」

『どうやら、明日は婚約発表でもあるらしいの。それもあなたの元契約してるお嬢様、星宮香苗お嬢様と『cybarz社』社長の息子、木藤正義まさよしの』

「どうやら、そうみたいだな」

『だなって知ってたの?』

「つい先ほど知ったばかりだよ」


 そういいながら物陰から顔をのぞかせると親子はもうとっくにいなくなっていた。


「んで、それがどうかしたのか?」

『どうかしたのかって重要な情報じゃない?』

「まぁ、そうだな。もしこの街の資金の提供者と開発者が懇意になれば街であらゆることが可能になるだろう」

『そ、それとね』

「なんだよ?」

『あすのパーティーで全街の警察部隊の出動要請がかけられた』

「なに?」


 全警察部隊の出動要請という言葉は穏やかではない。


「どういうことだ?」

『わからないわ。一応警備にあたれというはないなんだけどおかしな話、それはあくまで外部警備の身。内部に関しては情報公開禁止のために警察官は入れないわ』

「じゃあ、つまりは警察を頼ることはできないのか?」

『ええ。だけどね、聞いて頂戴。今回の開催場所は明らかに怪しいのはそうなんだけど地下施設がある』

「地下……ということは」

『おおよそ、研究所よ。しかも、その屋敷は元々は別の人が所有権をもっていたのよ』

「うん? それってどういうことなんだ?」

『だから、研究所にしてるってのは元からその場所が研究所であったわけ。それでこの屋敷の元所有者なんだけどね『黒木愛美』『黒木正一』って名前の人。あなたと苗字同じだけどなにかあるの?』


 ユウはその言葉を聞いて自らの時間が停止いたかのようにすべての音が聞こえなくなり幻聴に入った。

 その名前の二人はなぜならば――


「そうか、結局思った通りだった」

『え? ちょっと、話聞いてるの?』


 ユウは彼女の聞こえてきた電話の声を無視してきると、通話ができる状態になってるのを機会に愛瑠レナを通話帳から選択してコールする。

 1秒で出た。


『ユウ、今どこ!』

「今、隔離区だ。それよりも、レナ至急調べてほしいことがあるんだ」

『え? 何?』

「隔離区の住民の行方不明者リスト。富裕区の行方不明者リストだ」


まずは前編終了です。

次回の更新は未定。

予定としては1週間後を予定。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ