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第35話 霧の夜

はい、続きです!

 


 魔人族のことをよく知らないリリィは一緒に遊んでいるアルデとイルマに聞いていた。デリカに聞いても良かったが、調べ物で忙しいから2人に聞くことにしたのだ。トランプをシャッフルしていたアルデだったが、その質問にキョトンと手が止まった。


「ん、俺達の種族のことを知りたいのか?」

「うん、魔人は魔法が得意な種族だとしか知らないからね」

「そうか。なら、角のことも知らないかな?」


 アルデは自分の角を指して、聞いてくるが、リリィは知らないので教えて貰う。


「知らないんだな。角はその人の魔力の強さによって、数が違うんだ」

「え、そうなの?」

「うん。俺とイルマは1本だけだから、そんなに強くはないんだ。この村には2本の角を持った人もいるけど、3本以上はいないなぁ」

「デリカは髪で隠しているが、2本あるのを見た事があるな。2本だけであの強さか……」

「噂だけど、ジャック・リーパーの奴は角が3本あるとか」

「成る程……」


 角を見れば、強さが大体は測れるのは助かるな。鑑定は自分のしか見れないし、魔人に強さの定義があるのは自分にしたら、有利な情報だ。


「んー、後は人間のと変わらないな。心臓や頭を潰されたら、死ぬのは同じだよね?」

「そう、弱点は同じなのね」

「なら、それぐらいだね。さぁ、続きをやるよ!」

「おー」

「遊びでも、手加減はしないわ」


 トランプはこの世界にないが、手先が器用なアルデに教えて、作らせた物だ。元から知っているリリィに有利なゲームだったが、手加減せずに本気で勝ちに行っていた。そしてーーーー




 勝ったのは意外にも、イルマだった。




「やった、私の勝ちー!」

「ぐはっ」

「俺の妹ながらも強ぇ……」


 ババ抜き、七並べ、ポーカー、大貧民など、色々なゲームをやったが、殆どがイルマの独擅場だった。ゲームの神が降りているのかと疑う程だった。


「強いわね……」

「えへへっ」

「あー、負け続きだが、楽しいな! 他に面白い物があれば、言ってくれよ。作ってやるからよ」

「凄いわね。他にもあるからそれも作って貰おうかしらーーーー」

「失礼します。そろそろご飯になります」

「あら、そんな時間?」


 もう夕陽が落ちており、もうご飯の時間だと。ウルガとイーナは自主訓練で外に出ていたようで、少し疲れが見えた。

 イーナと一緒にリビングへ向かう。リビングには村長と知らない顔の村人がいた。


「これで16人か……」

「これ以上はやらせるにはいかないので、捜索隊を編成して、ジャック・リーパーを討つべきです!!」

「しかし……、この村で1番強かった者も殺されたのだぞ?」

「それは不意を取られたからに決まっている! 数人で掛かれば、勝てる筈だ!!」

「……わかった。明日には編成しておこう」

「ありがとうございます!」


 既に被害が16人まで膨れ上がり、自分達から探し出して討伐すべきだと申請があったようだ。余所者のリリィ達には関係ないので、村長にはその話をすることはなかった。村長もリリィ達を巻き込むつもりは無かったようで、捜索隊の話はなかった。むしろ、半分が子供のパーティだから期待はしてなかったと思うが。

 食事は終わり、デリカはまだ調べ物が終わってないようで、もう1泊させて貰うことになった。ベッドでゆっくりして、瞼が重くなってきた所にーーーー




「お嬢様、イルマを見かけませんでしたか?」

「いや、見てないが?」

「実は、イルマが家にいないんです。アルデが慌てた様子で外に出ていたのを見掛けて、村長に聞きました」

「む…?」


 家にいないなら、外に出たのだろう。だが、この村はジャック・リーパーと言う殺人者がいて、この時間だ。早くイルマを見つけないと危ないだろう。別にイルマは友達でも仲間でもないから、放っておくのがリリィだがーーーー


「ちっ、探しに行くぞ。全員に伝えろ」

「……助けに行くのですか?」

「友達や仲間でもないが、宿の借りや調べ物で本を読ませて貰っているのよ。その恩ぐらいは返すわ」

「了解しました」


 リリィもイルマを探しに外へ出て行く。夜でも霧が漂う村に不気味な気配を感じつつ、人気のない道を走っていくーーーー








 ビクッ


 イルマは後ろを振り返るが、何もない。それにホッとして、止まっていた手を動かして、花を摘んで纏めていた。

 イルマは村の入り口近くに咲いていた花を摘んでいたのだ。一杯遊んでくれたリリィお姉さんにプレゼントをしたいため、1人でこっそりと外へ出ていた。昼だと抜け出してプレゼントを作るのは難しいから、秘密にして作れるのは夜しかなかったのだ。


「出来た」


 纏めた花にリボンを付けると、綺麗な花束が出来た。これをリリィお姉さんに渡そうと家へ帰ろうとした。




 ピクッ




「な、何!?」


 また後ろから音が聞こえ、振り返るが影一つもなかった。また気のせいかと思いつつも、恐れが心の底から湧き上がってくる。


「大丈夫、大丈夫よ。このお守りがあるんだから……」


 兄であるアルデから貰ったお守り、ジャック・リーパーから守ってくれるお守りがあるから、大丈夫と自分に言い聞かせていた。早く家に帰ろうと脚を動かそうとしたがーーーー




 自分を覆う黒い影があった。




 見ちゃいけないとわかっていても、上へ視線を向けてしまう。














「イヤァァァァぁぁぁぁ!!」

「イルマ!?」


 イルマの声が聞こえ、それ程に離れてない場所にいたので、1分も掛からずにその場へ着いたーーーー


「なっ、なんだよ!? あの化け物はーーーーーーえ?」


 変な形をした生き物がいる。形は蜘蛛に近いが、手は人のと変わらないが、長い爪が伸びており、嫌悪を抱く姿だった。

 アルデの前にいるのは、一体の化け物とーーーー長い爪だと思われる物に腹を貫かれているイルマがいた。


「い、イルマ……?」


 呼ばれたイルマは反応もせず、下には束ねられた花が落ちていた。もうイルマは死んでいた…………




「イルマァァァァァァぁぁぁ!!」




 アルデは恐怖を忘れて、無謀にも化け物に突撃していた。アルデが化け物に傷を付ける奇跡がーーーーーー起きず、長い爪で反撃を食らってしまう。3本の線が身体に刻まれて、大量に血を流した。




「がはっ、ぁぁ、イル……マ……」




 まだ生きていたことが気に入らないのか、化け物はトドメを刺そうと前脚を振り上げーーーー




「『雷弾』!」




 隙を突いた攻撃で、化け物はまともに喰らって吹き飛ばされる。


「まだ生きている!?」

「り、リリィ……に、にげろ…………………………」

「アルデ?」

「…………」


 アルデも死んでしまった。リリィは間に合わなかったのだ。


「イルマも……」

「お待たせましたーーーー間に合いませんでしたか」

「あぁ。あの化け物がやったのよ」


 アルデとイルマが死んだのに、リリィは悲しいとは思わなかった。ただ、化け物にムカついただけなのだ。

 リリィの仲間全員が集まり、化け物に相対する。


「何ですか、自然に生まれた魔物だと思えないわ……」

「あの爪、まさか?」

『今まで魔人だと思っていたのだが……』

「ええ、魔人でしょう。あの額を見なさい」


 蜘蛛の頭辺りに魔人の顔があった。額には、3本の角があった。あの角があるということは、アレが魔人なのは間違いない。






「醜い姿だったのね。ジャック・リーパーさん?」






 この醜い姿をした化け物は、大量殺人犯の魔人であるジャック・リーパーだったのだーーーー







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