第32話 道中
予約した日を間違えて、さっき気付いた所です。遅れましたが、続きをどうぞ。
リリィ達はディガムに乗って、魔人の国へ向かっていた。
「このペースなら、2、3日で着きます!」
「普通に地上を歩いていたら……?」
「1週間ぐらいですかね。運が悪かったら、向こうにある迷いの森で迷ったら大変ですね」
『おい、魔物が現れたぞ。ワシは回避に集中するから、アレらはリリィ達に任せたぞ』
「わかった」
向かってくる魔物は、羽根を生やした魚だった。体長60センチしかないが、襲ってくる数が多い。
「アレはデビルフィッシュ! 強くはないけど、数が多いよ!!」
「『黒炎』」
闇魔法の炎がデビルフィッシュを焼いて、蹴散らしていく。頑張っているのは、リリィだけではなく、イーナとウルガも頑張っていた。
「はぁっ!」
「うらぁっ!!」
イーナは魔法、ウルガは剣で敵を減らしていく。だが、敵はなかなか減っていかない。この場はやはり、少し強い魔法を使わないと駄目のようだ。次はもっと強い魔法を使おうとする。
「第6之魔法『黒滅陣』!」
リリィが視線を向けた場所に直径100メートルはある黒い魔法陣が現れた。そして、その範囲内にいた魔物達は身体を崩して、地面に落ちていった。
「うげっ、アレは喰らいたくはないな……」
「大丈夫だよ。闇魔法を使える人は希少なんだし」
「あ、だったらアレをルードにぶつけたら?」
「無理。ルードだったら、魔法陣を展開している間に範囲外へ逃げられそう。それに、これは1人相手に使うような魔法ではないわ」
新しく使えるようになった、『黒滅陣』は魔法陣の中にいる敵の身体を崩す魔法で威力がとても高いが…………一対一向けではない。何故なら、魔法陣を展開させると、必ず使用者には隙が出てしまい、高レベルの者なら、魔法陣の範囲外に出て反撃をするだろう。
「そうか、上手い話はないか。というか、ルードは強過ぎるだろ」
『ルード? 確か、リリィの父親だったな。強いのか?』
「あぁ、ディガムでも苦戦すると思うぞ」
ルードは隊長であり、指揮者でもある。闘いになれば、指揮者は1人でドラゴンに向かうことはないから、ディガム相手には千を超える部隊で対応するだろう。そうなれば、ディガムでも苦戦するのは間違いない。
「お嬢様、生き残った魔物は逃げ出しました。どうしますか?」
「今は魔人の国が優先だから、放っておく」
魔物は逃げ出したが、今回は放っておく。いつもなら、スキルのレベルを上げる為に追撃をしていたかもしれないが、魔人の国でも戦いが起こるのは確実なので、スキルのレベルはそこで上げればいい。
逃げ出した魔物を見送り、先に進もうとしたら、一体だけはこっちへ向かって飛んでいた。更に、その魔物の近くを通り過ぎた魔物が突然に命が消えたように地面へ落ちていた。それが一体だけではなく、近くを通った数十体が同じ結果だった。
そのことにリリィは変だなと思っていたら、ディガムがギョッとした表情になっていた。
『ひ、一つ目の鳥ーーーーイビルコカトリス!? アレから逃げるぞ! いいな!?』
返事を聞く前に、ディガムは咄嗟にこの場から離脱していた。イビルコカトリスと呼ばれた魔物はこっちを追っていたが、しばらくすると、諦めたのか追わなくなった。
「ドラゴンと言うものがどうしたんだ? アレはあんなにヤバいか?」
『戯け、リリィ。このガキに言ってやれ。アレはイビルコカトリス。一つの目で睨まれたら、石化するぞ』
「アレはイビルコカトリスと言うって。あの一つの目で睨まれたら石化するって」
「石化!? 逃げて正解ですね」
「石化? 身体が石になる奴だよな?」
「ウルガは知らないんですか? 石化を治す薬は1種類だけで、とても希少なんですよ。だから、今は石化してしまったら、助ける方法がないので、気を付けて下さい」
「うわっ、思ったよりヤバい魔物だったんだな」
『距離に気を付ければいい。50メートル内の生き物を石化するから、離れていれば、問題はない。戦うなら、不意打ちから一つの目を先に潰すしかないが、逃げるのをオススメする』
「まぁ、確かにね」
思ったより危険な魔物だったことにげんなりしつつ、次も会ったら逃げの一手にして置こうと思うウルガだった。
「そんな魔物がぞろぞろと出たら大変わね。デリカ、魔人の国の近くにもこんな魔物もいるのか?」
「えぇと、街の周りは片付けているので、迷いの森に行かなければ大丈夫です」
迷いの森とは、魔人でもおいそれと入ろうとは思わないぐらいにヤバい魔物が沢山いる。リリィ達は空を飛んで、森を超えるから地上を歩くよりはマシだが、空を飛べる魔物に襲われるのは避けられない。
「まぁ、このメンバーなら大丈夫か。ディガム、そのまま森の上を飛んで下さい」
『了解だ。任せるがいい』
このまま、迷いの森を迂回せずに森の上を飛ぶことに決めた。迷いの森を越えれば、魔人の国だったがーーーー
突然、森から蔓が伸びてディガムの脚に絡み付いた。




