第30話 大犯罪者
本日3話目
デリカからお願いされたことは、皆が元気になってから話し合うと決め、それまでは普通に過ごしていた。
そして、1週間の休息が終わった。ディガムの傷も完治して、皆はログハウスの話し合い場となっている部屋に集まっていた。
「ここは、これからのことを話し合う場所にしよう。議題であるデリカからのお願いのことを話し合いたいが……、その前に私の目的を話そうと思う」
「目的か、確かに聞きたいな」
「私もまだ詳しくは聞いていませんでしたからね」
「ドラゴンと戦った後に聞かせると言っていましたね」
『目的か、何か波乱がありそうな気配がするな!』
ディガムも人間の姿になっており、全員がリリィが目的を言うを待っていた。
「まず、言っておこう。これから言うことは全てが本当のことで冗談類の話ではない。それを理解した上で、聞いて欲しい」
リリィが本物のリリィではないこと、学園に入ると破滅してしまう未来しかないこと、リリアーナ・オリエントを破滅に追い遣る敵が何人もいる。それに両親も含まれている。
その破滅を回避するために、今まで禁忌に染めてまでも動いていたなどーーーー
「……と言うわけだ」
「「「…………」」」
リリィの目的を聞いた皆は黙っていた。もしくは、まだ頭の処理が出来ていないのか。
「お嬢様は本物のリリィではないと?」
「えぇ、5歳の時に心臓が止まったでしょ? その時、リリアーナ・オリエントは死んだのよ」
「そう……」
イーナは複雑な顔をしていた。でも、イーナがリリィに着いていくと決めたのは、変わった後なのだ。
「なぁ、俺はお嬢ちゃんの御主人様のままだよな?」
「そうね、買ったのは変わった後だから、御主人様は私で間違いないわよ」
「ならいいや。お嬢ちゃんが何をしようとも、俺は着いていくだけだ」
ウルガは難しく考えるのが苦手で、単純な性格だが、そこが美徳だとリリィは思っている。
『がはははっ、面白い人生を送っているな。よし、ワシもリリィの為に動いてやろう! 何処が相手でも、蹴散らしてやるわい!』
「そうか、助かるわ」
『任せとけ!』
ディガムも別に人間や魔人の味方をしていないので、個人の為に動くことに躊躇はなかった。
最後にデリカは…………
「私は私の為に、リリィ様の目的に関わりたいと思っています。だけど、その前に……」
「わかっている。私もまだ時間はあるから、デリカの目的を先にやっても問題はないわ。だが、皆で話し合ってからね?」
「はい!」
リリィの目的を聞き、皆の気持ちを聞いておいた。イーナは複雑な顔をしていたが、最終的に手伝うと言ってくれた。というより、選択がそれしかなかったのもある。成功したら、イーナにお金を沢山払ってあげようと思うのだった。
「皆が一緒にやってくれるのは、嬉しいと思うわ。ありがとう!! では、次はデリカの議題なのだけどーー」
「ここからは、私が説明します」
デリカがリリィにお願いした内容とは、「魔王を殺して欲しい」だ。
「私の国は魔王の所為で、生存率が急激に落ちていっているの。魔王が戦争狂で戦争ばかりをしているからなのよ」
「だから、魔王を殺して欲しいと?」
「はい、炎竜王を倒したリリィ様なら、魔王に勝てるかもしれないと思い、お願いしました。どうか、国を救って下さい!! 国を守れるなら、自分の命をいくらでも使っても構わない!!」
頭を下げ、自分の国を救って欲しいと。成功するためなら、命を賭ける覚悟はあると。
「……聞かせてもいいかな? デリカは、何故犯罪者になって、追われていたの?」
「はい、私は四死魔将の1人を殺したからです」
「っ! あの四死魔将を!?」
「四死魔将って?」
『聞いたことがあるな。魔王の近衛武士みたいなのが、4人いるんだったな』
「つまり、幹部みたいの? よく殺せたわね?」
幹部となれば、強い奴がなれるのを想像しているが、その1人を殺したのだ。
「ほぼ、不意打ちだったので殺せました。だけど、あと2人は厳しいです」
「あれ、3人じゃないのか?」
「もう1人はまだ四死魔将になったばかりの子供で、ダスティス王国へ攻めました。だけど、その兵力だけでダスティス王国に勝てるとは思えないので、もう死んでいると予想しています。ダスティス王国には、あの女がいますから」
「……あの女?」
「はい、魔人の国では、結構有名ですよ。第二王女のエリーナと言う者は武芸に長けており、禁書の力を得ていると……」
「待って! そんな奴がいるの!?」
「は、はい」
ゲームをやった記憶を掘り出しても、第二王女やエリーナの名は全く出てこない。更に、禁書の力を得ていると。
……チッ、厄介な敵が増えたわ。
第二王女のことが気になるが、今はデリカの議題が先だ。
「話を戻しますが、四死魔将を殺したせいで、大犯罪者となってしまいました」
「よく魔人の国から出られたわね」
「仲間が手引きをしてくれたお陰で」
「ふーむ、その仲間を引き入れるのは可能?」
「魔王を倒すなら、何でもやると思いますが……」
「わかっている。私の目的に関わらせるつもりはないわ」
「はい。出来れば、残りの四死魔将も片付けたいのですが、それは後にしても大丈夫でしょう。まず、魔王を殺さないと、国は終わってしまうわ」
まず、魔王を殺して、後は何とかなるとデリカはそう言っている。なら、自分は魔王を殺すことに集中すればいい。そしてーーーー
「私はこの依頼を受けてもいいと思っているけど、終わったらーー」
「禁書ですね?」
「わかっているね。あるよね?」
「はい、3冊ほど保管していたの確認しています」
「よし、私はいいけど、皆はどうする?」
「言うまでもねぇな」
「私はお嬢様に着いていきます」
『魔王に苦戦するなら、ワシに任せたって、いいぜ』
全員がリリィに着いて行くと言い、次は魔人の国へ行く事に決まった。
「あ、ありがとうございます!! すぐに出発しますか!?」
「いえ、出発は3日後にしましょう」
「3日後ですか? 1か月や1年ではないなら、大丈夫ですが、何かやることが?」
「あぁ、念の為に武器を増やして置くわ」
武器と言われても、リリィは何も使わない魔術師タイプなのを知っているだけに、疑問を浮かべていた。
そして、3日経った。デリカの案内を元に、魔人の国へ向かうのだったーーーー
今日はここまでです。




