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第29話 休息

本日2話目

 


 炎竜王を倒したその翌日、リリィとディガムは身体を動かせない程だった。ディガムは最後の一撃が効いたようで、再生があっても1週間は掛かるようだ。リリィの場合は、オルクの力を借りて、本来なら筋肉がズタズタで動かすだけでも、痛みが走っていたのに、それを無理矢理に動かしたから、その反動が来たわけだ。

 ただ、両人とも命に関わるような傷を負ってないのは幸いだった。


「『小治』。後は、自然回復に任せるしかないですね」

「う~、筋肉痛は魔法で治らないの……? 魔法、もっと頑張りなさいよぉ」

「最近は動きすぎたから、たまに休息を取れよ」

「休息はいいけど、筋肉痛は余計よぉ~~」

「はぁっ、あの竜と戦って、この程度で済んだのは奇跡みたいなモノだ」


 イーナとウルガも最後の技を遠くから見ていたのだ。それで、リリィが厄介な相手をしていると心配していたのだ。結果はリリィ達が勝ったといえ、死ぬ可能性もあった。

 2人はリリィの側にいれなかったのが悔しかった。


「今度は、俺も横に立つからな」

「うん? そうだね、楽しみにしているわよ」

「私だって!」

「ふふっ、2人ともやる気満々だね」


 リリィの介護でやれることが無くなったから、2人共、外に出て訓練をやり始めた。

 1人になったリリィは眠くもなくて、暇だった。


「うぅ~、暇ぁ……」


 本を読みたくても、腕も筋肉痛でまだ動かせない。誰か来ないかなと考えていたら、願いが叶ったのか、扉をノックする人がいた。


「入ってもいいわよ」

「失礼します……」

「あら、デリカ? どうしたのかしら?」

「い、いえ。昨日のことで……」

「まだ、そんな事を気にしているの? もう終わったことじゃない」


 デリカは途中から恐怖に震えてしまい、最後の拘束でしか戦えなかったことを気にしていた。

 リリィは寧ろ、途中で消えてくれたお陰で最後は無警戒だった所に拘束を成功出来たと思っている。


「あのね、何回言わせるの? 貴女が途中で消えてくれたから、最後は拘束に成功したのよ。もし、貴女の存在が明るみに出たままだったら、最後の攻撃を外してしまったかもしれないのよ」

「それはわかりますが……、自分では納得出来ないんです」

「…………わかったわ。罰を与えるわね」

「!! は、はい! 何でも、受けます!!」

「今回の罰は、次の戦いで活躍すること。それで許すわ」

「……えっ?」


 今回の戦いは、ディガムが無理矢理に参加させたようなモノだ。今回のことで重い責任を乗せたって、意味はないのだ。


「知っているかしら? 責任は何のためにあるか」

「……」


 デリカの頭の中では様々な言葉が浮かぶが、デリカの答えはーー




「わかりません……」




 責任は何のためにあるか。それは、聞いた本人にしかわからないのだから。


「そうね。責任には色々あるわ。規律を守る為にとか、協力性を高めさせる為とかね。私の思う責任は、私にしかわからない。わからなければ、聞けばいいのよ」

「……リリィ様の責任とは?」

「私が思う責任のあり方は単純よ。責任は成長する為にあると考えているわ」

「成長ですか……」

「えぇ、今回の責任は誰にもないわ。だって、戦っただけで成長する機会は無かったもの」


 成長、それが責任のあり方だとリリィはそう思っている。だから、気にしなくてもいいのよと言われた様な気がしたデリカ。


「……話を聞いてくれて、ありがとうございます」

「いいわよ。私は10歳の少女なんだから、話したことを深く考えなくてもいいし」

「あ、10歳でしたね……」

「もしかして、10歳に見えない?」

「あ、いえ……、話を聞いている内に、歳上の人と話しているような気分になっただけなので……」

「むぅ、精神年齢がデリカより上だと言われている?」

「そ、そんなことはありませんのでッ!!」

「なら、いいけど……」

「…………」

「…………」


 話が続かず、沈黙で部屋の中が静かになってしまう。だが、デリカが意を決して、言葉を張りだす。


「リリィ様! お願いがあります!!」

「お、おう。お願い?」

「はい」


 リリィは次の言葉を予測しておらず、アホみたいな顔になってしまう。それ程のことをデリカは言った。いや、言ってしまった。





「魔王を殺して下さい!!」






「…………はい?」










まだ続きます。

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