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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
112/125

110.英雄への誘い

クリホワを覚えていますか?

エリカは絵を凝視しながらもクリホワのことを思い出していた。


「(私がクリホワから聞いた話って・・・)」


クリホワとの出会いを思い出す。

初めて出会ったときに感じた美しさと高貴さ。

テストで感じた強さと凄さ。

別れで感じた悲しさと切なさ。

そして、託された願いと思い。


「(そうだ、クリホワからのお願いを叶えないと・・・)」


クリホワからの願い。

アクシデントの連続で忘れかけていたそれを再度胸に刻み付ける。


「(まずはクリホワの子供を探しt━━━━!)」


エリカは独り、何かに気づく。

そんなことなど露知らず、エリカから反応がないことを確認したレオは エリカを放置し壁画へと目を向けなおす。


「壁画の中央には赤黒い巨大な火山、そこから岩や火が吹き出ている。たぶん噴火だろうな。

んで、その上で龍と赤岩人がぶつかり合うような絵。

これは間違いなく戦っているよなぁ。

火山の火口近くには大槌を持ったドワーフと。

他には~と」


目立つように描かれた部分を確認するようにチェックし終えると、次に細かいところに目を向け始める。


「火山の周りは、水?

いや、これは【海】だろうな。

その海の上、絵の隅っこには船と小さな棒人間のような何かが・・・

これは祈ってるのか?」


小さな人影のような絵たちが膝を折り手を胸の前で握るように合わせているのが、なんとなくだが読み取れる。


「それで龍と赤岩人のさらに上には暗雲・・・と」


まるでこのボルバック諸島の崩壊を書いた絵。

それがレオの素直な感想だった。

二体の強者に島が蹂躙される様をただただ見守り、島の安否を人々が祈ることしかできないと状況に見えたためだ。


「(けど、今なら違う考えも出せる)」


レオは絵画を眺め終わると、祭壇へと歩き出す。


「大槌を持ったドワーフと龍に赤岩人なんてさっき見たばかりの組み合わせだしな。

それで、起きた状況も間近で見た。

ドワーフと龍、赤岩人での二勢力争いと見るならば、この絵の意味は変わってくるよな」


自身の中の結論に達したレオは同時に祭壇上にも達していた。

そこにあったのは四角い溝。

レオはそこに躊躇いなく手を入れる。

レオの握り拳よりも大きな溝ではあるため、すんなりと手が入ってくるがある地点に入った瞬間、何かに弾かれるようにレオの手が跳ね上がる。

突然弾かれた手に驚きながらも、口許には笑みを浮かべていた。


「エリカ!エ・リ・カ!!」


祭壇の上からレオは未だに心ここに非ずのエリカに声をかける。

それがダメだと判断すると、祭壇から飛び降りエリカの前に行くと目の前でパンっと手を叩く。


━━━━━轟ッ!!!!━━━━━


軽く叩かれたはずなのに音は轟音となり、部屋に響き渡る。


「ぅううううう、うるさいです! 何するんですか!?」

「何って、お前がさっきから声かけてるのに反応しないからちょっとばかしのいたずらを」

「いたずらって・・・」


いたずらの度合いではないでしょ、とエリカは顔をしかめる。

レオは手を叩くと同時に音を魔法により膨張させ何倍にも膨れ上がらせたのだ。

それに加えて音を反響させるような仕掛けまで施すなど、手の込んだいたずら、もとい、技術の無駄遣いであった。


「さて、一度戻るぞ」

「え? 戻るんですか?」

「あぁ、一通り見たからな。

これ以上は俺だけじゃ意味がないらしい」

「それってどういう?」

「詳しくは戻りながら話すよ」


レオはエリカの話を無理やり打ちきり来た道を戻り始める。

何が何やら分からないままのエリカはレオの後を追う他なかった。


「言われた通り30分以内に戻ったぞ~」

「レイさん、ただいま戻りました」


レオとエリカは何事もなくレイたちの元へと辿り着く。


「レオ様、エリカさん、おかえりなさい。

キチンと時間を守れたんですね!」

「なんで嬉しそうなんだよ・・・」


時間厳守されただけでレイの中でのおかん魂が呼び起こされていた。

今のレイの心情を説明するならば、幼い我が子が一人で買い物をキチンとできたことを誉めちぎると同時に喜び安堵している。

そんな感じである。


「それよりもジンチュとハイズーの姿が見えないですけど何かあったんですか?」


レオとレイのやり取りを極力巻き込まれないように避けつつ、話題代えを試みる。


「彼らならあちらに」


話題変更に成功しつつ、エリカとレオはレイの示す先へと視線を向ける。

そこには目を覚ましたジンチュが片隅で体育座りしながら暗いムードを漂わせていた。

そんなジンチュを心配するようにハイズーか周りをうろちょろうろちょろしながら様子を見ていた。


「起きてからずっとあの調子で。

どうやらよっぽどあの大槌が壊されたことにショックを受けているようです」

「そうだったんですか・・・」

「ふ~ん」


エリカはどう声をかけた方がよいのだろうかと居たたまれない気持ちになる。

たが、それとは真逆に興味なさそうな返事と共にジンチュ近づく影一つ。


「なぁジンチュ? 英雄にならないか?」

「・・・は?」


突然のレオからの言葉に、いじいじモードのジンチュも堪らず声をあげるのだった。


英雄は君だ!

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